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【高校物理】波動分野「光波」         <改訂版>

具体的な波(波動)の例として「光波」を扱います。
「光波」も波動の一種なので,
「反射」「屈折」「回折」「干渉」の現象が見られます。
さらに「光波」特有の「分散」「偏光」も加わり,
面白い現象がたくさん「見られ」ます。
「反射による位相のずれ」「球面鏡」「組み合わせレンズ+鏡」など,
ほとんどの参考書では詳しく論じられていないテーマ
についても扱っています。

それぞれの一連のツイートの後に,
そのツイート内で取り上げた問題&解答解説をまとめたPDFファイル
を添付しておきました。こちらも是非活用してください。


【光波 その1】
「光速の測定」(導入・例題2題)
 東京工芸大学(フーコーの実験)・
   渋谷教育学園渋谷中学校(フィゾーの実験)
   過去問解説

1600 年代までは「光の速度は無限大である」
というのが一般常識でした。
初めて地上の実験で光速を測定したのは,1849年,
フランスのフィゾーでした。
回転する歯車とハーフミラーを利用して,
巧妙に光速を測定しています。
その仕組みについては小学生でも理解できるということです(例題2)。
そしてその翌年の1850年,フランスのフーコーは,
回転鏡を用いて,より正確な光速の測定を行いました(例題1)。
19世紀半ば,光学(物理学)の最先端はフランスやったんやね。

最後に,「ハーフミラー」を使った面白いものを紹介しています。
私の学校の中学1年生がつくりました(文化祭の出し物)。
題名は「タイムトンネル」。
なかなか良いネーミングです。

 

【光波 その2】
「薄膜による干渉」(講義・例題)
 新潟大学(1993年) 過去問解説

「シャボン玉」が膨らむとき,
はじめは色づいて見えないのに,大きくなると色づいて見えます
そして,場所によって色が異なって見える理由が
この問題を解くことで明らかになります。
半球状のシャボン玉を机の上などに作ってしばらく経つと,
シャボン玉の上側に「黒い穴」が開いて見えます
(数研出版「改訂版 物理」(薄膜による光の干渉の図など)を参照)。
明らかに穴が開いているのにシャボン玉は割れていないのです。
一体これはどういうことなのでしょうか?
この問題を通して考えていきましょう。

ツイートの最後に,
「ビーカーが見えなくなる」実験の動画があります。
これは毎年,中学物理の講義の中で生徒に見せる実験です。
「透明人間のつくり方」を考えさせるきっかけとして活用しています。
実際に目の前でビーカーが消える瞬間,
生徒からは感嘆の声が上がります。


【光波 その3】
「薄膜による干渉」(実戦問題)
 河合塾全統記述模試(1994年) 過去問解説

通常このタイプの問題は「光路差」で議論をするのですが,
「個数差」で議論しています。
反射による位相のずれ に注意をしながら,
強め合いの条件を立ててください。
さらに,マナブ追加問題で,「位相差」でも考えてみましょう。
☟「波の性質 その15」参照
https://twitter.com/manabu_physics/status/1654051675584483329?s=20
この「光路差」⇔「個数差」⇔「位相差」
自由に行き来できるようにしておいてください。


【光波 その4】
「ヤングの干渉実験」(講義・例題)
 甲南大学(1992年)<改題> 過去問解説

 よく使われる「近似公式」(2種類)について導出した後,
「ヤングの干渉実験(二重スリット)」の典型問題を解きます。
「経路差」の計算方法を3種類紹介しました。
 最後に,この実験の意味について考察しています。
「定規で光の波長を測れるようにした」という点が
(3つ目のツイートの内容を参照してください)
この実験のスゴさだと個人的には考えていますが,
みなさんはどう考えますか?


【光波 その5】
「ヤングの干渉実験」(実戦問題1) 
 河合塾全統記述模試(1990年)<改題>
 過去問解説

「光波」の範囲で一番重要な実験は?と問われれば,
私は迷わず「ヤングの干渉実験」と答えます。
それくらい画期的な実験なのです。
この「ヤングの実験」からさまざまな応用が考えられる
ことにも注意が必要です。
また,実際にこの実験(二重スリット実験)をすると,
スクリーンのO点付近にしか明暗の縞模様が見えません
なぜなのか,気になる人は「光波 その28」を参照してください。

訂正:問5の解説の中に「飼料」とありますが,
   これはもちろん「試料」です。訂正します。 
   (PDFファイルは訂正済みです)


【光波 その6】
「ヤングの干渉実験」(実戦問題2)
 東北大学(2018年) 過去問解説

通常,「二点波源問題」は「経路差」か「位相差」で議論をします。
この問題は,穴 AA' 内と穴 BB' 内の温度が異なるので,
波の速さ(波長)が変化
します。
そのような設定の時には 「個数差(波の個数)」で議論をする
ことを勧めます。
音波ですが,ヤングの干渉実験と同様に考えます。
途中,「比例公式」などを駆使して解説していますが,
この問題の基本は「波の基本式」です

ツイート内でも紹介していますが,
東北大学(2018年)の過去問の解説動画です。


【光波 その7】
「ヤングの干渉実験」(実戦問題3)
 九州大学(1996年) 過去問解説

𝟐スリットのあるついたてをはさんで左側は空気,右側は水で満たし,
さらにそのついたてを傾けると,明線はどうなるのでしょうか。
その際,𝟐つの経路の光路差を求めるのですが,
方法はいくつか考えることができます。
是非,図を描いて考えてみてください。


【光波 その8】
「くさび形空気層」(講義・例題)
 代々木ゼミナール全国マーク模試(1996年)
 過去問解説

講義内で述べた
半波長ごとに描いた平面と上の平板ガラスとの交線が暗線となる
という事実は重要です。
この事実から,くさび形空気層の場合,
上から見ると暗線が等間隔に並ぶことが分かります。

空気層に液体を満たしたときに縞間隔が狭くなる理由,
また,「ニュートンリング」において,
外側ほど明暗の縞模様の間隔が狭くなる理由もこの事実から分かります。

ツイート内でも紹介していますが,
平面ガラス板(スライドガラス)2枚を使った実験です。
それぞれの平面が合うように重ね,
指で圧力をかけながら斜め上から見ると,
下図のように干渉模様が見えます。

スライドガラス2枚干渉実験(指で圧力をかけたとき

スライドガラス購入時に,
ピタッとくっついてはなれなくなった2枚のスライドガラスで
干渉模様を見ることもできます。

スライドガラス2枚干渉実験(購入時


【光波 その9】
「くさび形空気層」(実戦問題)
 広島大学(1988年) 過去問解説

広島大学は,「光の干渉」の応用例を示してくれています。
「こんな使い方もあるよ」という出題者の声が聞こえてきそうです。
私が好きな問題です


【光波 その10】
「反射による位相のずれの数学的説明」
  (講義)

「境界条件」を考えていきます。
「境界条件」は,大学物理では電磁気学や量子力学など,
さまざまな分野で目にすることになります。

屈折率のより大きい媒質との境界面で反射するとき,
   反射光の位相が反転する(位相が 𝝅 ずれる)

とどの教科書・参考書にも書いています。
しかし,その理由が述べられることはほとんどありません。
数学の力を借りて,その説明を試みてみます


【光波 その11】
「ニュートンリング」(講義・例題)
 三重大学(1981年) 過去問解説

「反射による位相のずれ」に関しては【光波10】で解決したので,
反射光が入ってきても大丈夫!(笑)
ニュートンリングの考え方は「くさび形空気層」とまったく同じ
です。
ただし,「経路差」がレンズの球面半径(曲率半径)と
レンズの中心軸からの距離とで表されます

「講義」の最後に導かれた式は公式として覚えておいた方が
いいかもしれません(毎回,導出してもエエけど)。


【光波 その12】
「プリズム・光の分散」(例題)
 北海道大学 過去問解説

例題1問目の「プリズムを通った光波の波面に注目させる問題
(北海道大学過去問)は地味な問題ですが,
個人的にはかなり重要だと考えています

2問目は「光の分散」で,虹の原理に関わる現象。
この問題を解くと,
レンズでは常にこの現象が起きていることに気づきます。
例えばカメラでは,
色の違いによって像を結ぶ位置が異なってくるのではないか
ということも予想できます(「色収差」といいます)。
この不都合な状態を実際のカメラはどう修正しているのでしょうか?
是非,調べてみてください。

最後にプリズムの説明を。
「プリズム」:
滑らかで均質な,光学的平面を2つ以上もつ透明体で,
少なくともその1組の面が平行でないもの。
光を屈曲,分散,全反射させるために用いる。


【光波 その13】
「光の分散・虹の原理(虹を消す)」(実戦問題)
 東北大学(1985年) 過去問解説

前半で「虹のできる原理」をおさえます。
「正弦関数の値の表」または「近似式」を利用して,
偏向角を求めていきます。
そして後半で,
入射角の大きさに対する反射率に注目し,
虹の光が偏光であることを確認します。

4年前,偏光シートを使って虹を消す実験の動画をあげました。
まだ見ていない方は,是非!
https://twitter.com/manabu_physics/status/1204764923248594944?s=20
下の動画は,
偏光シートを使って「主虹を消す」のと同時に「副虹を強調して」います。
https://youtu.be/KWrIk87n758

ツイート内でも紹介していますが,
東北大学(1985年)の過去問の解説動画です。


【光波 その14】
「干渉計」(例題)
 法政大学(2018年) 過去問解説

 「マイケルソン干渉計」問題は,
どの出版社の教科書傍用問題集でも
「発展問題」「応用問題」「STEP3」の最後に配置されています。
ということは,「難しい」と一般的には考えられているのでしょうか。
「マイケルソン干渉計」は応用範囲が広い装置で,
しかも有効数字の桁数が多い「精密な測定」ができる
という特徴があります。
実は,アインシュタインの相対性理論と密接な関係があります
「エーテルの風」を測定しようとしました)。これは後日扱う予定。

 マイケルソンは干渉計(恒星干渉計)を使って,
「オリオン座のベテルギウスの大きさ」を測ろうともしました。
これも後日扱う予定です(2003年京都大学後期日程)。


【光波 その15】
「干渉計」(実戦問題)
 電気通信大学(1986年)
 東京大学(1982年)<改題> 過去問解説

 平面鏡の1つが傾いています。どのように扱えばいいのでしょうか。
ヒントとして,
「半透明鏡 𝐇 による鏡 𝐌₁ の像」を描いてあります。
これをうまく使ってください。考え方は2通りあります。
思いつかなければ,
【光波 その8】と【光波 その12】を参考にしてください。


【光波 その16】
「回折格子」(講義・例題)
 センター試験(1993年) 過去問解説

回折格子には「透過型回折格子」「反射型回折格子」があります。
講義では「透過型」を,例題では「反射型」を扱います。


【光波 その17】
「回折格子」(実戦問題1・2)
 山口大学 過去問解説

回折格子の練習問題を2パターン。
1問目。
回折格子の問題で,
スクリーンが円筒面になることはたまにあるのですが,
この問題では平面スクリーンが光源に対して面白い位置にあります

2問目。山口大学の過去問です。
回折格子を裏返して使っています。
この問題については解説動画をつくっています
参考にしてください。

ツイートの中でも紹介していますが,
2問目の解説動画です。


【光波 その18】
「見かけの深さ」(講義・例題)
 愛知工業大学 過去問解説

「屈折による浮き上がり」
これは日常生活で実感する光の不思議な現象です。
頭の中では「屈折」だと理解していても,
やはり浮き上がって見えるのです。
「見かけの深さ」には公式があります
その導出から応用までを講義・例題を通してみていきましょう。

例題2は,「浮き上がり」と凸レンズを組み合わせた融合問題です。
まずは作図で「浮き上がり」を確認して,写像公式を立てよう。


【光波 その19】
「凸レンズ なぜ焦点で強め合うのか」
  (例題) 東京工業大学(1990年) 過去問解説

すべての教科書は,凸レンズの話をするときは「作図」から入ります。
「光軸に平行な凸レンズを通った平行光線がなぜ焦点で強め合うのか?」
という疑問には答えてくれません。
「そういうものだから」で済ませています。
もしくは「虫眼鏡」という単語でお茶を濁す程度です。
例題の東京工業大学の過去問では,
「近軸近似」「近似を高める」という手法を使って,
この疑問に答えます。


【光波 その20】
「レンズ」(例題)
 早稲田大学教育学部(1997年) 過去問解説

例題1は,早稲田大学教育学部の過去問(1997年)です。
レンズで,光は実際には2度屈折をしています。
そのそれぞれの側面では屈折の法則(スネルの法則)が成り立ち,
「近軸近似」および「レンズの厚み無視」により,
写像公式が導かれます

出題された1997年は,新課程入試1年目で,
高校物理に「レンズ」が久々(20年ぶり)に入ってきた年でした。
本格的なレンズの問題ではありませんが,
レンズを習っていない浪人生には不利であったと想像できます。
早稲田大学教育学部は浪人生には冷たいということが明らかに…)

例題2は,「球形レンズの焦点距離」を求めさせる問題。
指導者(教員・講師)は,
この問題を何も見ずにスラスラと最後まで解き切れば,
生徒(受講生)から尊敬されます!


【光波 その21】
「レンズ 写像公式・倍率の式」(講義)

レンズの基本に関する講義です。
凸レンズと凹レンズの性質を押さえた上で,光の経路の作図により,
「写像公式」「倍率の式」の導出を行っていきます。
凸レンズについては,
物体が焦点より(凸レンズに)遠い位置にある場合と,
近い位置にある場合の両方について考察しています。
この講義によって,
像の位置 𝒃 や焦点距離 𝒇 の符号の意味が分かるようになります。

凸レンズの最後の【実験】では,
見えるはずのない『実像』を紹介しています
実はこの『実像』(凸レンズ近くに浮いて見える) は,
物体と凸レンズとの距離 𝒂 の値に関わらず見えます。
ただし,この像の大きさは
物体を凸レンズに近づければ近づけるほど大きくなるので,
𝒂< 𝒇 のときに見つけやすいのです。
𝒂< 𝒇 なのですが,『実像』です

この『実像』が心霊写真の正体なのではないか,
と私は考えています。
この『実像』ができる原理については,
私の個人的な予想(仮説)はあります(それはまたの機会に)が,
是非,みなさんも考えてみてください。

ツイートの中でも紹介していますが,講義動画があります。
下にリンクをはっておきました。
参考書や問題集で本格的に扱われることの少ない
「虚光源」についても考察しています


【光波 その22】
「ガラス球による像」(例題)
 防衛大学校(1980年)<改題> 過去問解説

誘導形式で「写像公式」を導出して,その公式を用いて,
実際の像の位置を数値計算します。
その「写像公式」は,ガラス球の片側でしか成り立たないので,
反対側での「写像公式」も導出しておく必要があります

「写像公式」の組み合わせで,
最終的な像の位置が分かるようになっています。
そうです。これは「組み合わせレンズ」ですね。


【光波 その23】
「ガラス球による像」(実戦問題)
 防衛医科大学校(2013年) 過去問解説

「ガラス球による像」ですが,
今回はガラス球内に像を結ばせています。
なので,【光波22】よりは無難な問題になっています。
図形的な発想力はあまり必要ありません。
誘導にのって解き進めてください。
その際,数学(図形)の使える公式はすべて使おう!
そしてやはりこの問題も近軸近似に注意です。

最後の問題[3]は,
屈折率の違いによって経路が異なることを示します。
これは虹の問題でよく見られるものです。


【光波 その24】
「球面鏡 写像公式・倍率の式」(講義)

球面鏡の基本に関する講義です。
凹面鏡と凸面鏡の性質を押さえた上で,光の経路の作図により,
「写像公式」「倍率の式」の導出を行っていきます。
凹面鏡については,
物体が焦点より(凹面鏡に)遠い位置にある場合と,
近い位置にある場合の両方について考察しています。
この講義によって,
像の位置 𝒃 や焦点距離 𝒇 の符号の意味が分かるようになります。

写像公式,倍率の式の導出にあたって,
球面の曲率半径と焦点距離との関係式を求めます。
そのときに必要になってくるのが「近軸近似」です。 

ツイートの中でも紹介していますが,講義動画があります。
下にリンクをはっておきました。



【光波 その25】
「球面鏡 写像公式・倍率の式」(実戦問題)
 都立大学(1964年) 過去問解説

かなり古い問題です。
「シャボン玉の前面と後面にうつる自分の顔の像が,
シャボン玉が膨らむとどのように変化するのか?」
を問うた問題。
こんなことを考えながらシャボン玉を膨らませる人は
いないと思いますが,よくよく考えると分からなくなります。
特に後面にうつる像については注意が必要
シャボン玉が膨らむほど,像の位置は自分から遠のいていきますが,
凹面鏡の曲率半径は大きくなります。
これは「数学の力」を借りなければなりません。

訂正: 倍率 𝒎 の正負で分かるのは,倒立か正立かです
   𝒎 が正の時 ⇒ 倒立,𝒎 が負の時 ⇒ 正立 
   実像か虚像かは,𝒃 の正負で分かります。
   𝒃 が正の時 ⇒ 実像,𝒃 が負の時 ⇒ 虚像  
なお,PDFファイルでは,この部分は訂正されています


【光波 その26】
「組み合わせレンズ」(講義・例題)

「組み合わせレンズ」は,
教科書・参考書で紹介されることはありますが,
本格的に扱われることはあまりありません。
特に「虚光源(虚物体)」が関わってくる例
を挙げて説明しているものになるとさらに少なくなります。

ここでは,「凸レンズ+凸レンズ」の組み合わせで,
両レンズの距離を変えたときにどのような変化が生じるか,
を考えていきます。
また,[補足]では,「凸レンズ+凹面鏡」の組み合わせで,
最終的に得られる像の位置,大きさ,像の種類,
正立・倒立について考察します。

ツイート内でも紹介していますが,
「組み合わせレンズ」の解説動画があります。


【光波 その27】
「組み合わせレンズ」(実戦問題)
 香川大学(2012年)<改題> 過去問解説

「組み合わせレンズ」に関しては,今後,
このレベルの問題は入試問題として出題される可能性があります

今回は「虚光源」に関する出題はありませんでしたが,
注意が必要です。
また,凹面鏡とレンズの組み合わせも演習しておきましょう。
→【光波 その26】参照


【光波 その28】
「単スリット」(講義・例題)

単スリットと2スリット(二重スリット,複スリット)の問題は,
根本的にアプローチの仕方が異なります。
この例題で「考え方」を押さえておきましょう。
ポイントは「暗部ができる仕組み」です。
最後の「補足」で,2スリット干渉実験との対比をしておきました。
参考にしてください。

「補足」で,2スリット干渉実験との対比をしておきました。
単スリットによる光の干渉が理解できれば,
2スリットでの
「点O付近にしか干渉縞が見えない」理由が明らかになります。
それはまた後ほど,入試問題を通して説明することにしましょう。


【光波 その29】
「単スリット」(実戦問題1)
 河合塾 東工大入試オープン(2001年)
 過去問解説

まずは,ヤングの干渉実験(2スリット) の暗線の間隔を求める問題
から始まり,「単スリット」(講義・例題) で学んだ内容の確認問題
を経て,この2つの現象を結びつけます。
2種類の波長の波源を用いると,
1種類の場合に生じた明暗の縞模様の一部が消えてしまう
のです。
その原因を探る問題。
今回の問題は,複スリットの手前の単スリットに注目して,
「波長による光の届く範囲の大小」を題材にしています。

ツイート内でも述べましたが,単スリットの考察は,
ヤングの干渉実験(2スリット) の明暗の縞模様が
中央付近でしか見られないことの原因に結びついていきます。


【光波 その30】
「単スリット」(実戦問題2)
 千葉大学(1989年)過去問解説

単スリット問題を突き詰めていくと,
回折格子(もしくは2スリット)のつくる明線の強度が
スクリーンの端に行くほど減少する
理由が分かります。
実験を実際に行うと出てくるそういう「素朴な疑問」
を解決できる問題が個人的には好きです。
この千葉大の問題が「光波」の最後の問題です!

(7)について。
答え以外の選択肢が誤答である理由を考える時間は,
入試本番ではないと思います。
ここでは,(補足)でその理由を考えてみました。


以上です。お疲れさまでした。
これで,光波に関してはやるべきことはほぼありません。
いや…,復習はしてください!

(光のドップラー効果,うなり については,「音波」で扱います。
また,「偏光」については,「特講 電磁波」で扱う予定です。)

マナブ


補足: 実は,この講義では扱っていないテーマが少しだけ残っています。
「多重スリット(3スリット,4スリット,8スリット,Nスリット)」「光の強度」などです。
これらは入試問題で出題されたとしても,
ていねいな誘導があるので対応できます。
ここまで解き切った君なら,解けます!
(でも私は,いつか Twitter でつぶやくと思います。)

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