
【高校物理】波動分野「光波」 <改訂版>
具体的な波(波動)の例として「光波」を扱います。
「光波」も波動の一種なので,
「反射」「屈折」「回折」「干渉」の現象が見られます。
さらに「光波」特有の「分散」「偏光」も加わり,
面白い現象がたくさん「見られ」ます。
「反射による位相のずれ」「球面鏡」「組み合わせレンズ+鏡」など,
ほとんどの参考書では詳しく論じられていないテーマ
についても扱っています。
それぞれの一連のツイートの後に,
そのツイート内で取り上げた問題&解答解説をまとめたPDFファイル
を添付しておきました。こちらも是非活用してください。
【光波 その1】
「光速の測定」(導入・例題2題)
東京工芸大学(フーコーの実験)・
渋谷教育学園渋谷中学校(フィゾーの実験)
過去問解説
1600 年代までは「光の速度は無限大である」
というのが一般常識でした。
初めて地上の実験で光速を測定したのは,1849年,
フランスのフィゾーでした。
回転する歯車とハーフミラーを利用して,
巧妙に光速を測定しています。
その仕組みについては小学生でも理解できるということです(例題2)。
そしてその翌年の1850年,フランスのフーコーは,
回転鏡を用いて,より正確な光速の測定を行いました(例題1)。
19世紀半ば,光学(物理学)の最先端はフランスやったんやね。
最後に,「ハーフミラー」を使った面白いものを紹介しています。
私の学校の中学1年生がつくりました(文化祭の出し物)。
題名は「タイムトンネル」。
なかなか良いネーミングです。
【光波1】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 22, 2023
光速の測定(導入・例題1)
1600 年代までは「光の速度は無限大」というのが一般常識でした。初めて光速を見積もったのは,デンマークのレーマーで,木星の衛星イオが木星に隠れる周期の変化と木星までの距離から光速を計算しました(1675年)。添付ファイル3・4枚目は東京工芸大学の過去問。 pic.twitter.com/uXYPiudmf3
【光波1】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 22, 2023
光速の測定(例題2)
初めて地上の実験で光速を測定したのは,フランスのフィゾー。添付ファイル(4枚)は渋谷教育学園渋谷中学校(2017年)の過去問(一部抜粋)。なんと,小学生に出題しています(笑) 初めに簡単な具体例を使って感覚をつかみ,フィゾーの行った実験の条件で光速を計算します。 pic.twitter.com/LFCPAjz4P2
【光波1】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 22, 2023
(解答・解説)
実験の内容を理解するには,簡単な数値で考えるか,文字式で考えます。文字式で考える(最後に数値を代入する)利点は次の2つです。
・計算チェックや次元解析で単位チェックができる
・この変数は,今計算している物理量へどう影響するかが簡単に確認できる pic.twitter.com/ku4GPal15X
【光波1】(オマケ)
— マナ物理 (@manabu_physics) May 22, 2023
ハーフミラー(one‐way mirror)
8年前,文化祭のクラス出し物の一つ(中学1年生作)。ハーフミラーと鏡を向かい合わせ,その間にLEDライトを配置して箱状にしたもの。スイッチOFFのときただの鏡,ONで箱の中が明るくなり,中が見え,「合わせ鏡」状態となります。上から覗くと… pic.twitter.com/k4fehcm3tN
【光波 その2】
「薄膜による干渉」(講義・例題)
新潟大学(1993年) 過去問解説
「シャボン玉」が膨らむとき,
はじめは色づいて見えないのに,大きくなると色づいて見えます。
そして,場所によって色が異なって見える理由が
この問題を解くことで明らかになります。
半球状のシャボン玉を机の上などに作ってしばらく経つと,
シャボン玉の上側に「黒い穴」が開いて見えます
(数研出版「改訂版 物理」(薄膜による光の干渉の図など)を参照)。
明らかに穴が開いているのにシャボン玉は割れていないのです。
一体これはどういうことなのでしょうか?
この問題を通して考えていきましょう。
ツイートの最後に,
「ビーカーが見えなくなる」実験の動画があります。
これは毎年,中学物理の講義の中で生徒に見せる実験です。
「透明人間のつくり方」を考えさせるきっかけとして活用しています。
実際に目の前でビーカーが消える瞬間,
生徒からは感嘆の声が上がります。
【光波2】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 24, 2023
薄膜による干渉(講義・例題)
「光学距離(光路長)」「光路差」の説明から。「例題」は新潟大学の過去問(1993年)。この「例題」により,シャボン玉が色づいて見える理由が明らかに!「マナブ追加問題」が解ければ,シャボン玉がまだ小さい(シャボン液が厚い)ときの見え方が分かります。 pic.twitter.com/yEL2OsdZvV
【光波2】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 24, 2023
(解答・解説)
実はこの例題には実験としてマズい点があります。それは,「油」が「サラダ油」だった場合です。「ガラス」とほぼ屈折率が同じなので,油とガラスの境界面で屈折や反射が起こりにくいのです。屈折や反射が起こらなければ,そこに境界面が存在することも分かりません。 pic.twitter.com/swyTDBXiSN
【光波2】(オマケ)
— マナ物理 (@manabu_physics) May 24, 2023
ビーカーが見えなくなる
ビーカーに使われているガラスの屈折率は約1.47~1.49。そしてサラダ油の屈折率は1.47~1.48となっており,ガラスの屈折率とほぼ同じ値なので,サラダ油の中のビーカーは見えなくなってしまいます。ただし,ビーカーについている「目盛り」は見えます。 pic.twitter.com/E2VHz2PUI7
【光波 その3】
「薄膜による干渉」(実戦問題)
河合塾全統記述模試(1994年) 過去問解説
通常このタイプの問題は「光路差」で議論をするのですが,
「個数差」で議論しています。
反射による位相のずれ に注意をしながら,
強め合いの条件を立ててください。
さらに,マナブ追加問題で,「位相差」でも考えてみましょう。
☟「波の性質 その15」参照
https://twitter.com/manabu_physics/status/1654051675584483329?s=20
この「光路差」⇔「個数差」⇔「位相差」は
自由に行き来できるようにしておいてください。
【光波3】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 26, 2023
薄膜による干渉(実戦問題)
添付ファイルは,河合塾全統記述模試の過去問(1994年)。通常このタイプの問題は「光路差」で議論をするのですが,「個数差」で議論しています。反射による位相のずれに注意をしながら,強め合いの条件を立ててください。さらに「位相差」でも考えてみましょう。 pic.twitter.com/mW1slaM1nM
【光波3】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 26, 2023
(解答・解説)
反射による位相のずれを考慮して「強め合いの条件」を立てるのですが,「半波長分(波半個分)のずれ」という説明がやはり苦しいですね…。その点「位相差」であれば,固定端型反射では位相が 𝝅 だけずれると考えることができるので,説明はスッキリします。 pic.twitter.com/UCNpAYO7Bt
【光波 その4】
「ヤングの干渉実験」(講義・例題)
甲南大学(1992年)<改題> 過去問解説
よく使われる「近似公式」(2種類)について導出した後,
「ヤングの干渉実験(二重スリット)」の典型問題を解きます。
「経路差」の計算方法を3種類紹介しました。
最後に,この実験の意味について考察しています。
「定規で光の波長を測れるようにした」という点が
(3つ目のツイートの内容を参照してください)
この実験のスゴさだと個人的には考えていますが,
みなさんはどう考えますか?
【光波4】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 29, 2023
ヤングの干渉実験(講義・例題)
よく使われる「近似公式」(2種類)についてまとめました。具体的な数を代入してみると「近似公式☆」は成り立ちそう。三角関数表を眺めると「近似公式★」導出前の不等式も確かに成り立っています。添付ファイル2枚目途中から甲南大(1992年)の過去問(改題)。 pic.twitter.com/uIyzp9fc7Z
【光波4】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 29, 2023
(解答・解説1)
Sの役割を考えると,スリット面ABの右側で起こることが理解できます。「経路差」の導出方法を3通り示しましたが,基本は三平方の定理からの導出。「近似公式が使えるように式変形する」が大事。別解2は40年前の一般的な導出方法。現在,教科書からはほぼ消えました。 pic.twitter.com/NT3ShIgk3i
【光波4】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 29, 2023
(解答・解説2)・(参考)
光波の波長𝝀を直接測定することは難しいですが,スクリーン上に現れる明線の間隔は定規で測定できます。ヤングの干渉実験は,𝝀を [(スリット面ABとスクリーン間の距離)/(スリットの間隔)]倍 に拡大した明線の縞として見せているのです((6)解答を参照しよう)。 pic.twitter.com/6ZhE6xzs7U
【光波 その5】
「ヤングの干渉実験」(実戦問題1)
河合塾全統記述模試(1990年)<改題>
過去問解説
「光波」の範囲で一番重要な実験は?と問われれば,
私は迷わず「ヤングの干渉実験」と答えます。
それくらい画期的な実験なのです。
この「ヤングの実験」からさまざまな応用が考えられる
ことにも注意が必要です。
また,実際にこの実験(二重スリット実験)をすると,
スクリーンのO点付近にしか明暗の縞模様が見えません。
なぜなのか,気になる人は「光波 その28」を参照してください。
訂正:問5の解説の中に「飼料」とありますが,
これはもちろん「試料」です。訂正します。
(PDFファイルは訂正済みです)
【光波5】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 31, 2023
ヤングの干渉実験(実戦問題1)
添付ファイル(4枚)は「ヤングの干渉実験」の実戦問題(河合塾全統記述模試(1990年)の改題)。明線の間隔など公式丸暗記の人はひっかかるように問題がつくられています。「(もっとも)強め合う点が点Oから移動する」とはどういうことか,を考察していきます。 pic.twitter.com/hysJtw0QuU
【光波5】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 31, 2023
(解答・解説)
スリット 𝐒₁𝐒₂ 間の距離は 2𝒅。前半は「ヤングの干渉実験」の典型問題。暗線の間隔は,実際には(誤差を小さくするために)いくつかまとめて測定して,その間隔の数で割って求めます。後半は「光学距離が等しくなる」ための条件から,試料の厚さの差を求めていきます。 pic.twitter.com/PDGhdo2IK4
【光波 その6】
「ヤングの干渉実験」(実戦問題2)
東北大学(2018年) 過去問解説
通常,「二点波源問題」は「経路差」か「位相差」で議論をします。
この問題は,穴 AA' 内と穴 BB' 内の温度が異なるので,
波の速さ(波長)が変化します。
そのような設定の時には 「個数差(波の個数)」で議論をする
ことを勧めます。
音波ですが,ヤングの干渉実験と同様に考えます。
途中,「比例公式」などを駆使して解説していますが,
この問題の基本は「波の基本式」です。
【光波6】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 2, 2023
ヤングの干渉実験(実戦問題2)
添付ファイル(4枚)は,東北大学の過去問(2018年)。問(1)はカットしました。問(2)のみを解いてください。この問題は,さまざまな解き方が考えられますが,聞かれていることにシンプルに答えてください。音波ですが,ヤングの干渉実験と同様に考察します。 pic.twitter.com/5oiUSlx8hQ
【光波6】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 2, 2023
(解答・解説1)
この問題,駿台は「位相」での説明にこだわっています(時間がかかりすぎる)。東進などでは,音波に対して「相対屈折率」を持ち出し,赤本では,音波なのに「光学距離のようなもの」を考えています。いやいや,そんな “天才的な” 発想がなくても,これは解けます! pic.twitter.com/1rVSsfQX4m
【光波6】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 2, 2023
(解答・解説2)
この問題の基本は「波の基本式」です。式変形する際の「使える比例公式」を示しておきました(導出も載せておきました)。この問題に限らず,「比例公式」を使う場面はこれから出てきます。計算を楽にしたいときはおススメ。
解説動画あります。https://t.co/MgLjjHxRy5 pic.twitter.com/HiZhNjNcAw
ツイート内でも紹介していますが,
東北大学(2018年)の過去問の解説動画です。
【光波 その7】
「ヤングの干渉実験」(実戦問題3)
九州大学(1996年) 過去問解説
𝟐スリットのあるついたてをはさんで左側は空気,右側は水で満たし,
さらにそのついたてを傾けると,明線はどうなるのでしょうか。
その際,𝟐つの経路の光路差を求めるのですが,
方法はいくつか考えることができます。
是非,図を描いて考えてみてください。
【光波7】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 5, 2023
ヤングの干渉実験(実戦問題3)
添付ファイル(4枚)は,九州大学の過去問(1996年)。スリットとスクリーンの間を水で満たした上で,𝟐スリットのあるついたてを傾けると明線はどのように移動するかを考えていきます。ついたてを傾けると,スリットに入るまでに経路差が生じることがポイント。 pic.twitter.com/tuwvI4bOYi
【光波7】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 5, 2023
(解答・解説)
(8)は「ついたてを傾けることによる光路差と,スクリーン上の点Oからのずれによる光路差の両者の和として求める方法」と,「図形的に経路の差を求め(ヤングの干渉実験の経路差の簡易的な求め方の応用)屈折率倍する方法」の2通りを示しました。君はどちらを選びましたか。 pic.twitter.com/RhHRszgcNS
【光波 その8】
「くさび形空気層」(講義・例題)
代々木ゼミナール全国マーク模試(1996年)
過去問解説
講義内で述べた
「半波長ごとに描いた平面と上の平板ガラスとの交線が暗線となる」
という事実は重要です。
この事実から,くさび形空気層の場合,
上から見ると暗線が等間隔に並ぶことが分かります。
空気層に液体を満たしたときに縞間隔が狭くなる理由,
また,「ニュートンリング」において,
外側ほど明暗の縞模様の間隔が狭くなる理由もこの事実から分かります。
【光波8】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 7, 2023
くさび形空気層(講義)
「くさび形空気層による干渉」です。講義内で述べた「半波長ごとに描いた平面と上の平板ガラスとの交線が暗線となる」という事実は重要です。上から見ると暗線が等間隔に並ぶことも分かります。
「反射による位相のずれの数学的説明」に関しては,後日講義する予定。 pic.twitter.com/lnXqn3cJ9P
【光波8】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 7, 2023
(例題)
添付ファイル(4枚)は代々木ゼミナール全国マーク模試(1996年)の改題です。講義内容をおさえた上で解こう。これは後日扱う「ニュートンリング」の要素を含むなど少し応用的な内容もありますが,基本的な考え方の組み合わせて解くことができます。最後の作図にも挑戦してみよう。 pic.twitter.com/wh1cO7V6Iq
【光波8】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 7, 2023
(解答・解説)
問4 ガラス板Bを下に下げていくと,明暗の縞模様は,どんどん中心Oに吸い込まれていくように移動。なぜそうなるのでしょうか? 問5は,半径が左側で小さく,右側で大きな輪になっていればOK。
最後の[実験]:ガラス2枚で干渉模様をつくりました。 pic.twitter.com/RS1SnvUKn2
ツイート内でも紹介していますが,
平面ガラス板(スライドガラス)2枚を使った実験です。
それぞれの平面が合うように重ね,
指で圧力をかけながら斜め上から見ると,
下図のように干渉模様が見えます。

スライドガラス購入時に,
ピタッとくっついてはなれなくなった2枚のスライドガラスで
干渉模様を見ることもできます。

【光波 その9】
「くさび形空気層」(実戦問題)
広島大学(1988年) 過去問解説
広島大学は,「光の干渉」の応用例を示してくれています。
「こんな使い方もあるよ」という出題者の声が聞こえてきそうです。
私が好きな問題です
【光波9】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 9, 2023
くさび形空気層(実戦問題)
添付ファイル(4枚)は広島大学の過去問(1988年)です。「光の干渉」にこんな応用例もあるということを出題者は示しています。向かい合った面が平行であるかどうか,また,すき間の厚さがいくらになるかを調べていきます。透過率に注目しているところが興味深い。 pic.twitter.com/IjRhnveFzU
【光波9】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 9, 2023
(解答・解説)
図2からは,OとPのどちらが高いかは分かりませんが,P側を少し上げてみて縞の間隔が小さくなれば,P側が高かったことが確認できます。後半は,波動分野なのですがエネルギー保存則を利用。透過光が極大のとき反射光が暗くなることに気づけるかどうかがポイントです。 pic.twitter.com/rX8xLMXLx8
【光波 その10】
「反射による位相のずれの数学的説明」
(講義)
「境界条件」を考えていきます。
「境界条件」は,大学物理では電磁気学や量子力学など,
さまざまな分野で目にすることになります。
「屈折率のより大きい媒質との境界面で反射するとき,
反射光の位相が反転する(位相が 𝝅 ずれる)」
とどの教科書・参考書にも書いています。
しかし,その理由が述べられることはほとんどありません。
数学の力を借りて,その説明を試みてみます。
【光波10】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 12, 2023
反射による位相のずれの数学的説明(講義1)
「屈折率のより大きい媒質との境界面で反射するとき,反射光の位相が反転する(位相が 𝝅 ずれる)」とどの教科書・参考書にも書いています。しかしその理由が述べられることはほとんどありません。数学の力を借りてその説明を試みてみましょう! pic.twitter.com/9eSs0z0JIQ
【光波10】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 12, 2023
(講義2)
「変位の距離勾配の連続性」は,「エネルギー保存則」に置き換えても同じ結論が得られます(音波等を考えるときにはこちらの方が分かりやすいのです)。実は「条件2'」からも,「条件2」を使って得られた関係式を(強引に)導くことができるのですが,今回は触れないでおきます。 pic.twitter.com/AB3ushPzcm
【光波 その11】
「ニュートンリング」(講義・例題)
三重大学(1981年) 過去問解説
「反射による位相のずれ」に関しては【光波10】で解決したので,
反射光が入ってきても大丈夫!(笑)
ニュートンリングの考え方は「くさび形空気層」とまったく同じ
です。
ただし,「経路差」がレンズの球面半径(曲率半径)と
レンズの中心軸からの距離とで表されます。
「講義」の最後に導かれた式は公式として覚えておいた方が
いいかもしれません(毎回,導出してもエエけど)。
【光波11】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 14, 2023
ニュートンリング(講義)
考え方は「くさび形空気層」とまったく同じですが,特に「経路差」がレンズの球面半径(曲率半径)とレンズの中心軸からの距離とで表されるところが重要です。中心軸から遠ざかるほど,暗線の間隔が小さくなっていくことが,作図および数式からも導けます。 pic.twitter.com/OhgThKHt2Z
【光波11】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 14, 2023
(例題 問題・解答解説)
添付ファイル(4枚)は三重大学(1981年)の過去問です(注:後半2枚は解答解説)。この問題では,ニュートンリングの半径を求めさせていますが,ニュートンリングの半径は測定できるので,逆に,単色光の波長や,液体の屈折率をこの実験から求めることも可能です。 pic.twitter.com/q5eCFuvn1J
【光波 その12】
「プリズム・光の分散」(例題)
北海道大学 過去問解説
例題1問目の「プリズムを通った光波の波面に注目させる問題」
(北海道大学過去問)は地味な問題ですが,
個人的にはかなり重要だと考えています。
2問目は「光の分散」で,虹の原理に関わる現象。
この問題を解くと,
レンズでは常にこの現象が起きていることに気づきます。
例えばカメラでは,
色の違いによって像を結ぶ位置が異なってくるのではないか
ということも予想できます(「色収差」といいます)。
この不都合な状態を実際のカメラはどう修正しているのでしょうか?
是非,調べてみてください。
最後にプリズムの説明を。
「プリズム」:
滑らかで均質な,光学的平面を2つ以上もつ透明体で,
少なくともその1組の面が平行でないもの。
光を屈曲,分散,全反射させるために用いる。
【光波12】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 16, 2023
プリズム・光の分散(例題)
添付ファイル(4枚)は「プリズム」に関する問題です。1問目は,北海道大の過去問。プリズムを通った光波の波面が傾くことにより,2種類の平面波が生まれ,干渉します。2問目は,光の分散。今回は波長による屈折率の違いを述べていますが,それが無い場合も…。 pic.twitter.com/tVw98XsxPI
【光波12】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 16, 2023
(解答・解説)・(参考)
(参考)では「光の分散」の原理的な話を少しだけ行っています(大学範囲)。絶対屈折率は近似的に「比誘電率の平方根」で求まることを示しています。マクスウェル方程式から導かれる真空中の光速度は,入試で出題されたことがありますが,暗記する必要はありません。 pic.twitter.com/iJzC4zISD1
【光波 その13】
「光の分散・虹の原理(虹を消す)」(実戦問題)
東北大学(1985年) 過去問解説
前半で「虹のできる原理」をおさえます。
「正弦関数の値の表」または「近似式」を利用して,
偏向角を求めていきます。
そして後半で,
入射角の大きさに対する反射率に注目し,
虹の光が偏光であることを確認します。
4年前,偏光シートを使って虹を消す実験の動画をあげました。
まだ見ていない方は,是非!
https://twitter.com/manabu_physics/status/1204764923248594944?s=20
下の動画は,
偏光シートを使って「主虹を消す」のと同時に「副虹を強調して」います。
https://youtu.be/KWrIk87n758
【光波13】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 19, 2023
光の分散・虹の原理(虹を消す)
(実戦問題)
添付ファイル(8枚)は東北大学の過去問(1985年)です。前半部分は「虹のできる原理」を問う典型的な問題。「正弦関数の値と近似式」については,3枚目にあります。(ウ)は「虹の問題」でいつも聞かれる角度で「偏向角(偏角,振れ角)」といいます。 pic.twitter.com/LqNOajYvxL
【光波13】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 19, 2023
(実戦問題)つづき
後半部分は,入射角の大きさに対する反射率に注目し,虹の光が偏光であることを確認します。さらに,虹の光がどのような偏光成分を持つかを調べる方法にまで言及しています(いや…「出題」しています)。実はこの方法を実行すると,目の前に見えている虹を消せるんです! pic.twitter.com/oeB6ydFRcu
【光波13】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 19, 2023
(解答・解説)
色光(しきこう)による屈折率の違いから,水滴に入るときに分散が起こります。屈折(分散)→反射→屈折で目に届きます。「副虹」についても,どんな仕組みでできるのかを確認しておこう!(雨滴内で光が2回反射)
東北大学問題の解説動画あります。https://t.co/uw4AAaX0FZ pic.twitter.com/3lNO8b2hKT
ツイート内でも紹介していますが,
東北大学(1985年)の過去問の解説動画です。
【光波 その14】
「干渉計」(例題)
法政大学(2018年) 過去問解説
「マイケルソン干渉計」問題は,
どの出版社の教科書傍用問題集でも
「発展問題」「応用問題」「STEP3」の最後に配置されています。
ということは,「難しい」と一般的には考えられているのでしょうか。
「マイケルソン干渉計」は応用範囲が広い装置で,
しかも有効数字の桁数が多い「精密な測定」ができる
という特徴があります。
実は,アインシュタインの相対性理論と密接な関係があります
(「エーテルの風」を測定しようとしました)。これは後日扱う予定。
マイケルソンは干渉計(恒星干渉計)を使って,
「オリオン座のベテルギウスの大きさ」を測ろうともしました。
これも後日扱う予定です(2003年京都大学後期日程)。
【光波14】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 21, 2023
干渉計(例題)
添付ファイル(4枚)は,法政大学の過去問(2018年)です。ただし,(ホ)~(ト)は「(音波の)ドップラー効果」を習った人のみ解いてください。「位相差」は,1989年の共通一次で本格的に扱われ,現在は法政大学レベルでも1問目から問われるようになっています。要注意です! pic.twitter.com/yCdtSTJ3XA
【光波14】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 21, 2023
(解答解説・補足)
「マイケルソン干渉計」問題は,どの出版社の教科書傍用問題集を見ても,「発展問題」「応用問題」「STEP3」の最後の方に配置されています。ということは,「難しい」と一般的には考えられているのでしょうか。実は干渉計は応用範囲が恐ろしく広いんです(補足参照)。 pic.twitter.com/DH5GIBoy62
【光波 その15】
「干渉計」(実戦問題)
電気通信大学(1986年)
東京大学(1982年)<改題> 過去問解説
平面鏡の1つが傾いています。どのように扱えばいいのでしょうか。
ヒントとして,
「半透明鏡 𝐇 による鏡 𝐌₁ の像」を描いてあります。
これをうまく使ってください。考え方は2通りあります。
思いつかなければ,
【光波 その8】と【光波 その12】を参考にしてください。
【光波15】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 23, 2023
干渉計(実戦問題・追加問題1・2)
添付ファイル(4枚)は,電気通信大学(1986年)および東京大学(1982年)の過去問です。電通大の問題は平面鏡の1つが傾いています。どのように扱えばいいのでしょうか。ヒントとして,「半透明鏡 𝐇 による鏡 𝐌₁ の像」が描かれています。考え方は2通り。 pic.twitter.com/RutqQPrh8i
【光波15】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 23, 2023
(解答・解説1)
まずは「くさび形空気層」ととらえた解答を示しておきました。「くさび形空気層」ととらえると,鏡 𝐌₁ を平行移動させたときの,干渉縞の移動する様子が想像しやすいという利点があります(追加問題1の解答・解説参照)。さらに,干渉縞の間隔も求めやすいのです。 pic.twitter.com/bIcTTdNM9C
【光波15】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 23, 2023
(解答・解説2)・(追加問題3)
(補足:恒星干渉計)
「平面波の干渉」と捉えた解答も示しておきました(角度 𝜽 を大きくとりましたが,実際には 𝜽 は微小角なので,反射光は 𝐇 を通ります)。これは【光波12】プリズム・光の分散 の例題1での考え方と同じです。参考にしてください。 pic.twitter.com/iY5uSmwxhZ
【光波 その16】
「回折格子」(講義・例題)
センター試験(1993年) 過去問解説
回折格子には「透過型回折格子」と「反射型回折格子」があります。
講義では「透過型」を,例題では「反射型」を扱います。
【光波16】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 26, 2023
回折格子(講義)
「透過型回折格子」を例にあげて,強め合う条件を導きました。回折格子の実験ではヤングの実験(2スリット)より明瞭な明線が見られます。実は,スリット自体の幅(格子定数 𝒅 ではない)も関係しているのですが,それについては「単スリット問題」として後日扱う予定です。 pic.twitter.com/9mhdlAYz64
【光波16】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 26, 2023
(例題)
添付ファイル(4枚)はセンター試験の過去問(1993年)。これは「反射型回折格子」とよばれます。透過型回折格子と同様に,隣り合う回折光の光路差を考えます。問3は「虹の色の並び」を覚えていることを前提としていますが,(7色のときにはある)「藍」と「橙」がありません。 pic.twitter.com/Yd8figyerQ
【光波16】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 26, 2023
(解答解説・参考)
可視光波長範囲を 𝟒𝟎𝟎 𝐧𝐦 ~ 𝟕𝟎𝟎 𝐧𝐦 としていますが,一般的には 𝟑𝟖𝟎 𝐧𝐦 ~ 𝟕𝟕𝟎 𝐧𝐦 という値がよく見られます。しかしそうできない理由があるのです。鋭い人は分かるでしょう。𝟑𝟖𝟎×𝟐=𝟕𝟔𝟎<𝟕𝟕𝟎,強い反射が見える角度が途切れないのです。 pic.twitter.com/ZRBSTlDyQF
【光波 その17】
「回折格子」(実戦問題1・2)
山口大学 過去問解説
回折格子の練習問題を2パターン。
1問目。
回折格子の問題で,
スクリーンが円筒面になることはたまにあるのですが,
この問題では平面スクリーンが光源に対して面白い位置にあります。
2問目。山口大学の過去問です。
回折格子を裏返して使っています。
この問題については解説動画をつくっています。
参考にしてください。
【光波17】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 28, 2023
回折格子(実戦問題1・2)
添付ファイル(4枚)は,回折格子の実戦問題(大問2問)です。1問目は,光源・回折格子が下側にあり,そして光源に対して面白い位置にスクリーンがあります。2問目は山口大学の過去問。回折格子を「裏返して」使い,ガラス板内外の回折光の本数を問うています。 pic.twitter.com/ag6Xok2i2z
【光波17】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 28, 2023
(解答・解説1)
回折格子は繰り返し繰り返しセンター物理で出題されてきました。スクリーンが平面ではなく,円筒状になることがあります(1995年,2012年本試など)。
2問目の解説は次のツイートへ続きます。解説動画2本あります。https://t.co/MejdUEjvqohttps://t.co/hMF7CHCBn4 pic.twitter.com/xGb9wAyRx1
【光波17】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 28, 2023
(解答・解説2)
2問目,山口大学の問題の解説をていねいに記しておきました。隣接する2本の光線で,光路差がどの部分で生じるかを常に考えてください。(1)~(3)の強め合う条件の整数はそれぞれ異なる文字を使用してください(理由は(4)で分かります)。(4)は「全反射」がポイントです。 pic.twitter.com/8MKwCU7lxL
ツイートの中でも紹介していますが,
2問目の解説動画です。
【光波 その18】
「見かけの深さ」(講義・例題)
愛知工業大学 過去問解説
「屈折による浮き上がり」
これは日常生活で実感する光の不思議な現象です。
頭の中では「屈折」だと理解していても,
やはり浮き上がって見えるのです。
「見かけの深さ」には公式があります。
その導出から応用までを講義・例題を通してみていきましょう。
例題2は,「浮き上がり」と凸レンズを組み合わせた融合問題です。
まずは作図で「浮き上がり」を確認して,写像公式を立てよう。
【光波18】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 30, 2023
見かけの深さ(講義・例題1)
夏,プールの中で立っている友人の下半身が水につかっているとき,その様子を遠くから見ると,友人の脚がドラえもん並みに短くなっていることに驚きます。これは「(屈折による)浮き上がり」。「例題1」では,透明な液体の層が増えたらどうなるかを考えます。 pic.twitter.com/9boIgoiopU
【光波18】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 30, 2023
(解答解説・例題2)
いきなり空気からではなく,液体1から液体2の底を見ます(ここで相対屈折率を導入してもいいです)。次に空気から,その浮き上がった液体2の底を見ます。最終的な答えに納得がいきましたか。ではもう1層増やしたら? 例題2は浮き上がりと凸レンズの融合問題です。 pic.twitter.com/cfxjF4PMsU
【光波 その19】
「凸レンズ なぜ焦点で強め合うのか」
(例題) 東京工業大学(1990年) 過去問解説
すべての教科書は,凸レンズの話をするときは「作図」から入ります。
「光軸に平行な凸レンズを通った平行光線がなぜ焦点で強め合うのか?」
という疑問には答えてくれません。
「そういうものだから」で済ませています。
もしくは「虫眼鏡」という単語でお茶を濁す程度です。
例題の東京工業大学の過去問では,
「近軸近似」「近似を高める」という手法を使って,
この疑問に答えます。
【光波19】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 3, 2023
凸レンズ なぜ焦点で強め合うのか
(例題)
添付ファイル(4枚)は東京工業大学の過去問(1990年)。この「例題」により,凸レンズに平行光線を入射させたとき,焦点で光が強め合う理由を考えていきます。光線の作図をする前に確認しておきたい問題。ポイントは「近軸近似」と「近似を高める」。 pic.twitter.com/hGNMF5bx44
【光波19】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 3, 2023
(解答解説・補足)
レンズや球面鏡の原理的な話をするときのキーワードは「近軸近似」。レンズに入る光線のうち,光軸付近の光線しか見ていないということ。写像公式なども「近軸近似」から導かれます。最後の「補足」では,個人的に気になったので問題文中の関係式を導いておきました。 pic.twitter.com/ZDHLLWFdZL
【光波 その20】
「レンズ」(例題)
早稲田大学教育学部(1997年) 過去問解説
例題1は,早稲田大学教育学部の過去問(1997年)です。
レンズで,光は実際には2度屈折をしています。
そのそれぞれの側面では屈折の法則(スネルの法則)が成り立ち,
「近軸近似」および「レンズの厚み無視」により,
写像公式が導かれます。
出題された1997年は,新課程入試1年目で,
高校物理に「レンズ」が久々(20年ぶり)に入ってきた年でした。
本格的なレンズの問題ではありませんが,
レンズを習っていない浪人生には不利であったと想像できます。
(早稲田大学教育学部は浪人生には冷たいということが明らかに…)
例題2は,「球形レンズの焦点距離」を求めさせる問題。
指導者(教員・講師)は,
この問題を何も見ずにスラスラと最後まで解き切れば,
生徒(受講生)から尊敬されます!
【光波20】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 7, 2023
レンズ(例題1)
添付ファイル(4枚)は早稲田大学教育学部の過去問(1997年)です。「 𝒉 は 𝑹 に比べて十分小さいとする」または「 𝜶 と 𝜷 は 𝟏 に比べて十分小さく」という条件,これが「近軸近似」(図を描きながら近軸近似を実感してください)。この議論の先に「写像公式」があります。 pic.twitter.com/C4wyz4JI16
【光波20】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 7, 2023
(解答解説・例題2など)
例題2は「球形レンズの焦点距離」を求める問題。球形レンズでは,レンズの厚みが無視できないことに注意です。求めたい焦点距離 𝒇 を含む図形に注目して,辺や角度の間に成り立つ関係式を考えてみてください。今回もやはり「近軸近似」をもとに式変形します。 pic.twitter.com/7PTUXWOtMa
【光波 その21】
「レンズ 写像公式・倍率の式」(講義)
レンズの基本に関する講義です。
凸レンズと凹レンズの性質を押さえた上で,光の経路の作図により,
「写像公式」「倍率の式」の導出を行っていきます。
凸レンズについては,
物体が焦点より(凸レンズに)遠い位置にある場合と,
近い位置にある場合の両方について考察しています。
この講義によって,
像の位置 𝒃 や焦点距離 𝒇 の符号の意味が分かるようになります。
凸レンズの最後の【実験】では,
見えるはずのない『実像』を紹介しています。
実はこの『実像』(凸レンズ近くに浮いて見える) は,
物体と凸レンズとの距離 𝒂 の値に関わらず見えます。
ただし,この像の大きさは
物体を凸レンズに近づければ近づけるほど大きくなるので,
𝒂< 𝒇 のときに見つけやすいのです。
𝒂< 𝒇 なのですが,『実像』です。
この『実像』が心霊写真の正体なのではないか,
と私は考えています。
この『実像』ができる原理については,
私の個人的な予想(仮説)はあります(それはまたの機会に)が,
是非,みなさんも考えてみてください。
【光波21】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 10, 2023
レンズ 写像公式・倍率の式(講義1)
凸レンズの性質の確認から,「写像公式・倍率の式」の導出を行います。「焦点より遠い位置に物体を置いた場合」について,像(実像)を求める作図の仕方(光の描き方)からおさえ,図形的な条件から「レンズの式(写像公式・倍率の式)」を導いていきます。 pic.twitter.com/1ivMoTG1AH
【光波21】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 20, 2023
(講義2)
凸レンズで「焦点より近い位置に物体を置いた場合」についても,像(虚像)を求める作図の仕方から,「レンズの式」を導いていきます。
添付ファイル4枚目の【実験】では「𝒂 < 𝒇 のとき」に現れる『実像』の写真を載せました。この『実像』のできるしくみを私は知りたい。 pic.twitter.com/D0yCHOjIxR
【光波21】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 20, 2023
(講義3)
凹レンズの性質の確認から,「レンズの式」の導出を行います。
レンズについては講義動画があります。「虚光源」についての考察もあります。
凸レンズ(2本)https://t.co/ZqNXJyoKJuhttps://t.co/j2PlkGW5CI
凹レンズhttps://t.co/TF0ViTYfGS
虚光源https://t.co/k7sKba7nKj pic.twitter.com/QKShtS5pCK
ツイートの中でも紹介していますが,講義動画があります。
下にリンクをはっておきました。
参考書や問題集で本格的に扱われることの少ない
「虚光源」についても考察しています。
【光波 その22】
「ガラス球による像」(例題)
防衛大学校(1980年)<改題> 過去問解説
誘導形式で「写像公式」を導出して,その公式を用いて,
実際の像の位置を数値計算します。
その「写像公式」は,ガラス球の片側でしか成り立たないので,
反対側での「写像公式」も導出しておく必要があります。
「写像公式」の組み合わせで,
最終的な像の位置が分かるようになっています。
そうです。これは「組み合わせレンズ」ですね。
【光波22】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 12, 2023
ガラス球による像(例題)
添付ファイル(4枚)は防衛大学校の過去問(1980年)<改題>。「ガラス球(ビー玉)を通して景色を見たことがありますか?」と出題者は問うています。写像公式を導出し,その公式を使って,できる像の位置を求めます。右面での写像公式も導くように私が手を加えました。 pic.twitter.com/0t0TLpo3Mw
【光波22】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 12, 2023
(解答・解説)
ガラス球は1つですが,球面の左右で2回写像公式を使います。そうです,これは「組み合わせレンズ」なのです。左面で写像公式(i)を使うと,その像がガラス球の右面の外側にできることが分かります。右面で写像公式(ii)を使うときに気づきます。これは「虚光源」なのです。 pic.twitter.com/RrwhaYKDCu
【光波 その23】
「ガラス球による像」(実戦問題)
防衛医科大学校(2013年) 過去問解説
「ガラス球による像」ですが,
今回はガラス球内に像を結ばせています。
なので,【光波22】よりは無難な問題になっています。
図形的な発想力はあまり必要ありません。
誘導にのって解き進めてください。
その際,数学(図形)の使える公式はすべて使おう!
そしてやはりこの問題も近軸近似に注意です。
最後の問題[3]は,
屈折率の違いによって経路が異なることを示します。
これは虹の問題でよく見られるものです。
【光波23】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 14, 2023
ガラス球による像(実戦問題)
添付ファイル(5枚)は防衛医科大学校の過去問(2013年)です。同じような図が防衛大学校の過去問(1980年)にありました。2013年度の受験生の中で,そのことに気がついたのは私の教え子ぐらい…。
誘導が丁寧なので,それにしたがってください。
(問題は次へ続く) pic.twitter.com/CZmcVIsdDm
【光波23】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 14, 2023
(問題の続き,解答・解説)
〔1〕の金属球の場合は凸面鏡となり,「虚像」をつくります(凸面鏡については後日詳しく)。〔2〕は「ガラス球」。光は球面で屈折して球の中に入っていき「実像」をつくります。この問題でもやはり「近軸近似」です。入射角が小さいので 𝜽 も小さくなります。 pic.twitter.com/Xd6yzMnIFy
【光波 その24】
「球面鏡 写像公式・倍率の式」(講義)
球面鏡の基本に関する講義です。
凹面鏡と凸面鏡の性質を押さえた上で,光の経路の作図により,
「写像公式」「倍率の式」の導出を行っていきます。
凹面鏡については,
物体が焦点より(凹面鏡に)遠い位置にある場合と,
近い位置にある場合の両方について考察しています。
この講義によって,
像の位置 𝒃 や焦点距離 𝒇 の符号の意味が分かるようになります。
写像公式,倍率の式の導出にあたって,
球面の曲率半径と焦点距離との関係式を求めます。
そのときに必要になってくるのが「近軸近似」です。
【光波24】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2023
球面鏡 写像公式・倍率の式(講義1)
凹面鏡の性質の確認から,「写像公式・倍率の式」の導出を行います。作図の仕方(光の描き方)をおさえ,図形的な条件から導いていきます。凹面鏡は凸レンズとよく似ていることが分かります(ただし,球面鏡には波長による焦点距離のズレは起こりません)。 pic.twitter.com/XD01N7UoIB
【光波24】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2023
(講義2)
球面鏡の写像公式は,レンズの写像公式と同様に求めることができます(直角三角形の相似比に注目)。ポイントは「近軸近似」です。また,倍率の式もレンズとまったく同じ形となります。球面鏡の写像公式は,焦点距離の代わりに球面の(曲率)半径を使って表せることも重要です。 pic.twitter.com/v36JtRvMpx
【光波24】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2023
(講義3)
教科書では,凸面鏡の写像公式・倍率の式の導出は省略されることが多いのですが,自分で導いておくことをお勧めします。凸面鏡は(凹レンズと同様に),物体の位置に関わらず虚像をつくります。
凹面鏡・凸面鏡の動画2本です。https://t.co/gn6al4ZMjMhttps://t.co/LjxOlqOznq pic.twitter.com/rLr9IEmSGp
ツイートの中でも紹介していますが,講義動画があります。
下にリンクをはっておきました。
【光波 その25】
「球面鏡 写像公式・倍率の式」(実戦問題)
都立大学(1964年) 過去問解説
かなり古い問題です。
「シャボン玉の前面と後面にうつる自分の顔の像が,
シャボン玉が膨らむとどのように変化するのか?」を問うた問題。
こんなことを考えながらシャボン玉を膨らませる人は
いないと思いますが,よくよく考えると分からなくなります。
特に後面にうつる像については注意が必要。
シャボン玉が膨らむほど,像の位置は自分から遠のいていきますが,
凹面鏡の曲率半径は大きくなります。
これは「数学の力」を借りなければなりません。
訂正: 倍率 𝒎 の正負で分かるのは,倒立か正立かです。
𝒎 が正の時 ⇒ 倒立,𝒎 が負の時 ⇒ 正立
実像か虚像かは,𝒃 の正負で分かります。
𝒃 が正の時 ⇒ 実像,𝒃 が負の時 ⇒ 虚像
なお,PDFファイルでは,この部分は訂正されています。
【光波25】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 21, 2023
球面鏡(実戦問題)
添付ファイル(2枚)は都立大学の過去問(1964年)。シャボン玉の前面と後面にうつる自分の顔の像が,シャボン玉が膨らむとどのように変化するのか。なかなか興味深い問題。[参考](添付ファイル3・4枚目)では,平面鏡による像の特徴を写像公式・倍率の式から説明しています。 pic.twitter.com/a2MXbj6VrH
【光波25】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 21, 2023
(解答・解説)
シャボン玉が膨らむ → 球面の半径が大きくなる。シャボン玉は「凸面鏡」であり,「凹面鏡」でもあります。シャボン玉の前面の位置は固定されいますが,後面は,シャボン玉が膨らむほど自分から遠のいていきます。自分の顔を「物体(矢印)」として,鏡による像を考えます。 pic.twitter.com/IS1BowWX0O
【光波 その26】
「組み合わせレンズ」(講義・例題)
「組み合わせレンズ」は,
教科書・参考書で紹介されることはありますが,
本格的に扱われることはあまりありません。
特に「虚光源(虚物体)」が関わってくる例
を挙げて説明しているものになるとさらに少なくなります。
ここでは,「凸レンズ+凸レンズ」の組み合わせで,
両レンズの距離を変えたときにどのような変化が生じるか,
を考えていきます。
また,[補足]では,「凸レンズ+凹面鏡」の組み合わせで,
最終的に得られる像の位置,大きさ,像の種類,
正立・倒立について考察します。
【光波26】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 26, 2023
組み合わせレンズ(講義・例題)
「組み合わせレンズ」は,教科書や参考書などで紹介はされているのですが,虚光源の場合や球面鏡が組み合わさった場合などの扱い方まで述べているものが少ないと感じます。
講義動画(2本)あります。是非!https://t.co/WiUPf8ONMQhttps://t.co/V6Flmg51FR pic.twitter.com/y0YFFGhVpk
【光波26】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 26, 2023
(解答・解説のつづき)(補足)
1つ目のレンズでつくられた像を2つ目のレンズ(や鏡)の「(虚)物体」として考える,これが組み合わせレンズの基本です。像が倒立か正立かは,それぞれのレンズ(鏡)の倍率の符号で判断できます。鏡の場合は光線の向きが反転するので注意が必要([補足]参照)。 pic.twitter.com/4qOjolqjLq
ツイート内でも紹介していますが,
「組み合わせレンズ」の解説動画があります。
【光波 その27】
「組み合わせレンズ」(実戦問題)
香川大学(2012年)<改題> 過去問解説
「組み合わせレンズ」に関しては,今後,
このレベルの問題は入試問題として出題される可能性があります。
今回は「虚光源」に関する出題はありませんでしたが,
注意が必要です。
また,凹面鏡とレンズの組み合わせも演習しておきましょう。
→【光波 その26】参照
【光波27】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 28, 2023
組み合わせレンズ(実戦問題)
添付ファイル(4枚)は,香川大学の過去問(2012年)の<改題>です。「 𝟏 枚レンズ」「組み合わせレンズ」の典型的な問題。ただし光軸を 𝒙 軸として,𝒙 座標で答えるので符号に注意!( 𝒙 座標が負の値となるときの距離の表し方に気をつけなければなりません) pic.twitter.com/LW1DaO9r7b
【光波27】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 28, 2023
(解答・解説)
問1からいきなり虚像の連続です! 有効数字にも注意をしてください。問5は最終的な像の位置から,逆に 𝟏 枚目の凹レンズの位置を考察させる問題で思考力を要します。残念ながら,今回は「虚光源(虚物体)」や「球面鏡」は出題されていませんが,対策はとっておこう。 pic.twitter.com/oSDMUY3a56
【光波 その28】
「単スリット」(講義・例題)
単スリットと2スリット(二重スリット,複スリット)の問題は,
根本的にアプローチの仕方が異なります。
この例題で「考え方」を押さえておきましょう。
ポイントは「暗部ができる仕組み」です。
最後の「補足」で,2スリット干渉実験との対比をしておきました。
参考にしてください。
「補足」で,2スリット干渉実験との対比をしておきました。
単スリットによる光の干渉が理解できれば,
2スリットでの
「点O付近にしか干渉縞が見えない」理由が明らかになります。
それはまた後ほど,入試問題を通して説明することにしましょう。
【光波28】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 31, 2023
単スリット(講義・例題)
参考書・問題集などでは本格的に扱われることの少ない「単スリット」問題。しかし入試問題では見かけます。明暗の縞模様があまりハッキリしないので,物理実験的には微妙なんですけれど…。単スリットで「暗部」ができる仕組みを例題を解きながらおさえていこう! pic.twitter.com/eRfxo7bGaZ
【光波28】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 31, 2023
(例題のつづき&解答・解説)
スリットを二等分して,それぞれの上端で同じ角 𝜽 方向に回折した光が弱め合えば,その方向では,任意の「上側で回折した光」に対して必ずそれと弱め合う「下側で回折した光」が存在します。同様に,四等分して回折光全体が弱め合う向きを求めていきます。 pic.twitter.com/ZWtpbDrmBv
【光波 その29】
「単スリット」(実戦問題1)
河合塾 東工大入試オープン(2001年)
過去問解説
まずは,ヤングの干渉実験(2スリット) の暗線の間隔を求める問題
から始まり,「単スリット」(講義・例題) で学んだ内容の確認問題
を経て,この2つの現象を結びつけます。
2種類の波長の波源を用いると,
1種類の場合に生じた明暗の縞模様の一部が消えてしまうのです。
その原因を探る問題。
今回の問題は,複スリットの手前の単スリットに注目して,
「波長による光の届く範囲の大小」を題材にしています。
ツイート内でも述べましたが,単スリットの考察は,
ヤングの干渉実験(2スリット) の明暗の縞模様が
中央付近でしか見られないことの原因に結びついていきます。
【光波29】
— マナ物理 (@manabu_physics) August 2, 2023
単スリット(実戦問題1)
添付ファイル(6枚)は,河合塾東工大オープン(2001年)の改題です。単スリット問題の難しさは,特別な2本の光について成り立つことが 他の任意の光についても成り立つという,「特殊」→「一般」の流れにあります。ただしその議論は誘導問題となることがほとんど。 pic.twitter.com/8klCQRZHwU
【光波29】
— マナ物理 (@manabu_physics) August 2, 2023
(問題のつづき,解答・解説)
二重スリットの手前の単スリットに注目します。単スリットの幅を二等分,四等分して,回折光全体が弱め合う向きを求めていきます。では,三等分は?
そうです。3等分した範囲のうち,上の2つで回折した光が打ち消し合っても,残り1つが生き残るのです。 pic.twitter.com/1VyZBriRLB
【光波29】
— マナ物理 (@manabu_physics) August 2, 2023
(解答・解説のつづき)
今回は 単スリット 𝐒₀ に注目しましたが,二重スリット 𝐒₁,𝐒₂ それぞれのスリットも単スリットと考えると,そのスリット幅によって,「光の届く範囲」が決まります。2つのスリットの「光の届く範囲」が重なったところで干渉縞が形成されるのです。 pic.twitter.com/uL7VWzHBqm
【光波 その30】
「単スリット」(実戦問題2)
千葉大学(1989年)過去問解説
単スリット問題を突き詰めていくと,
回折格子(もしくは2スリット)のつくる明線の強度が
スクリーンの端に行くほど減少する理由が分かります。
実験を実際に行うと出てくるそういう「素朴な疑問」
を解決できる問題が個人的には好きです。
この千葉大の問題が「光波」の最後の問題です!
(7)について。
答え以外の選択肢が誤答である理由を考える時間は,
入試本番ではないと思います。
ここでは,(補足)でその理由を考えてみました。
【光波30】
— マナ物理 (@manabu_physics) August 4, 2023
単スリット(実戦問題2)
添付ファイル(4枚)は千葉大学の過去問(1989年)。単スリットからの回折光が打ち消し合う(最初の暗部ができる)方向を求め,それが回折格子(または二重スリット)のつくる明線の強度にどう影響するかを考えます。実験を行うと出てくる 素朴な疑問 を解決できる問題。 pic.twitter.com/k74Z4HMdCC
【光波30】
— マナ物理 (@manabu_physics) August 4, 2023
(解答・解説)
単スリットにおける「中央から最初の暗部までの距離」と回折格子における「明線の間隔」の比較から ,回折格子において「スクリーンの中央から離れるにつれて明線の強度が減少する」理由を探っていきます。(7)について,答え以外の選択肢が誤答である理由は,(補足)参照。 pic.twitter.com/KnHZofO5Bj
以上です。お疲れさまでした。
これで,光波に関してはやるべきことはほぼありません。
いや…,復習はしてください!
(光のドップラー効果,うなり については,「音波」で扱います。
また,「偏光」については,「特講 電磁波」で扱う予定です。)
マナブ
補足: 実は,この講義では扱っていないテーマが少しだけ残っています。
「多重スリット(3スリット,4スリット,8スリット,Nスリット)」「光の強度」などです。
これらは入試問題で出題されたとしても,
ていねいな誘導があるので対応できます。
ここまで解き切った君なら,解けます!
(でも私は,いつか Twitter でつぶやくと思います。)