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【高校物理】磁気分野③ 「電流が磁場から受ける力」
「電流が磁場から受ける力」は
「アンペール(の)力」とか「電磁力」とよばれます。
私は個人的に「アンペール力」という名称を好んで使います。
アンペール力の向きや大きさについては,実験的に確かめられています。
この章では,その事実のみを使って問題を解いていこうと思います
(アンペール力の起源や原因については考えません)。
【電流が磁場から受ける力1】(講義・例題)
「講義」ではアンペール力の基本事項をまとめておきました。
結局は図にある2パターンを押さえておけば大丈夫です。
磁場の向きに対するアンペール力の向きは
「フレミング左手の法則」で確認することができます。
【電流が磁場から受ける力1】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 10, 2021
(講義・例題)
「電流が磁場から受ける力」(アンペール力・電磁力)の基本事項を確認したあと,例題を解きます。
「何でもかんでも代入しない」は,計算ミスを減らすことにつながります。代入するのは一番最後です。ミスが起こるパターンを確認して,そして回避しよう! pic.twitter.com/wtMZLGXaD9
【電流が磁場から受ける力1】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 10, 2021
(例題の解答・解説)
図を描くことを疎かにする人が多い。磁束密度,アンペール力,重力のベクトルの矢印が描ければ,問題の半分以上は解決したことになります。
経験上,文字のうまさは物理ができることと相関はありませんが,「図が描けること」には相関があります。 pic.twitter.com/2ZVPCf4kJi
【電流が磁場から受ける力2】
(練習問題) その1
千葉大学(2020年) 過去問解説
磁場ベクトルを電流に対して垂直・平行に分けて考えます。
平行成分はアンペール力を与えないので,無視します。
問4は物理的センスが問われる問題です。
この問題を扱っている問題集などの解答と見比べてください。
【電流が磁場から受ける力2】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 10, 2021
(練習問題)その1
添付ファイル(4枚)は千葉大(2020年)の過去問。電気回路の復習と,電流に対して斜めに横切る磁場から受ける力(アンペール力)の計算をしましょう。問4の解き方はアプローチの仕方が異なるところ。できるだけ計算量を減らす方向で考えてみてください。 pic.twitter.com/Dulh26FWBh
【電流が磁場から受ける力2】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 10, 2021
(解答・解説)
旺文社全国大学入試問題正解があれば見比べてください。旺文社は難しく考えすぎ。点Pの位置が変わっても,(a)と(b)とで距離OPは等しいので求める必要はなく,また,sinθ や cosθ の値も必要ありません。必要なのは tanθ のみ。その値も最後に代入です。 pic.twitter.com/cWnd3Ile7I
【電流が磁場から受ける力3】
(練習問題) その2
徳島大学(2015年) 過去問解説
ツイートでも述べましたが,
今年(2021年)は,モータ発明200周年です!
(誰も祝ってくれませんが…) 200年も?200年しか?あなたはどっち?
「ファラデーモータ」を初めて見たとき,美しいなぁと私は感じました。
磁石を電極の周りに回すだけでなく,電極を磁石の周りに回し,
それを一つの回路でつくり,並べて見せる,という演出がスゴイ!
【電流が磁場から受ける力3】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 12, 2021
(練習問題)その2
添付ファイル(4枚)は徳島大(2015年)の過去問。世界初のモータ「ファラデーモータ」の原理を題材にした問題。今年はモータ発明200周年!
50字の記述や力の説明など,解答しづらいでしょうね。なお,予め言っておきますが,最後の問5は出題ミスです。 pic.twitter.com/6QVK77X5Yn
問5については,出題者が欲しているだろう解答を示しましたが,
この問題はカットすべきだと個人的には思います。
なぜこの問題が「出題ミス」なのかは,のちほどゆっくり考えましょう。
【電流が磁場から受ける力3】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 12, 2021
(解答・解説)
図2と図3はひとつの回路にすることができます。2つの現象を同時に見られるのです。美しいなぁ…。
注意:ローレンツ力を足し合わせても,「アンペールの力」にはなりません。「ホール効果」を学習したあとに詳しく述べます。もう少しお待ちください。 pic.twitter.com/h77Dk97zrC
【電流が磁場から受ける力4】
(練習問題) その3
立命館大学(2010年) 過去問解説
「基本問題の基準とは何だろう?」とよく考えます。
公式にあてはめるだけの問題? 現象が複雑でない問題?
私の中の基準は,
「さまざまな見方ができる」,
「1問から得られるものが複数ある」です。
「基礎・基本が学べる問題」が「基本問題」。
そういう意味ではこの問題は,基本問題です。
【補足】を是非読んでください。
【電流が磁場から受ける力4】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 13, 2021
(練習問題)その3
添付ファイル(4枚)は立命館大(2010年)の過去問。直線電流がつくる磁場から直線電流が力を受ける問題。基本事項の確認。つり合いの位置から微小距離だけ動かして静かに放す → これは近似式を使って「単振動」であることを導くのか? と思いきや…。 pic.twitter.com/JZrvgE24L1
【電流が磁場から受ける力4】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 13, 2021
(解答・解説)
「通分」はミスが起きやすい操作トップ3。片方だけ分子に分母がかかって,もう片方の分子に分母をかけ忘れるミスが多いんやね。
(う)は,x=2r を境にして導線Cにはたらく力の向きが変わるので「振動する」と言えます。【補足】も参考にしてください。 pic.twitter.com/KZxfaK1r8s
【電流が磁場から受ける力5】
(練習問題) その4
平行電流が互いに及ぼし合う力(アンペール力)について考えます。
結論はシンプルです。さらに作用反作用の法則にも従っています。
立体的に描かれた図は,平面的に描きなおして考えます。
人間は立体を立体として考えるのが苦手なのです。
この事実は強調されることはあまりありませんが,結構重要なことです。
【電流が磁場から受ける力5】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 16, 2021
(練習問題)その4
添付ファイル(4枚)を解こう。逆向きそして同じ向きに流れる電流がつくる磁場から受けるアンペール力の問題。
初めのうちは一つひとつ磁場ベクトルを描いて考えますが,慣れてくれば,磁場ベクトルを描くことなく,力のベクトルのみで議論できます。 pic.twitter.com/0f0syhIQX8
【電流が磁場から受ける力5】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 16, 2021
(解答・解説)
逆向きに流れる電流が及ぼし合う力が斥力(反発力)で,同じ向きに流れる電流が及ぼし合う力が引力であることは常識としたい。力の向きがすぐに分かるので,あとは力学の問題となります。
さらに,電流が及ぼし合う力は「作用反作用の法則」も満たします。 pic.twitter.com/uLICJfJooF
【電流が磁場から受ける力6】
(練習問題) その5
東京理科大学(2016年) 過去問解説
式は立てられるのに計算ができない…このセリフは本当によく耳にします。
この傾向のある生徒は,実際に自分の手で計算をしていないことが多い。
模試を受けるたびに「ケアレスミスが減らない」と言っています。
最後まで自分の手で解き切ってから解答をみてください。
ただし,ケアレスミスについては,
やみくもに計算練習をするだけでは減らないという特徴がある
ことも知っておかなければなりません。
ミスを起こしやすいパターンを知り,回避する方法を考えるのです。
【電流が磁場から受ける力6】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 17, 2021
(練習問題)その5
添付ファイル(4枚)は東京理科大学(2016年)の過去問。数値計算にも慣れておく必要があります。計算ミスを犯す可能性をつぶしながら,解いてみてください。まずは物理量を文字で置いて,ある程度計算した上で数値を代入すると,ミスを少なくできます。 pic.twitter.com/KpJ10gC7Ce
【電流が磁場から受ける力6】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 17, 2021
(解答・解説)
有効数字3桁で数値計算をさせています。ギリギリまで文字式で計算し(その際,図形の特徴も大いに利用),最後に数値を代入して求めます。さらに,数値計算では約分できるものはどんどん行います。掛け算や割り算を実際に実行するのは,本当に最後です。 pic.twitter.com/o6b22ucDD0
以上です。
マナブ