【高校物理】力学分野 「特講 連結2物体問題」
【特講「連結2物体問題」その1】
東京工業大学(1988年) 過去問解説
「運動量と力積の関係」は,
鉛直方向には,非常に短い時間(重力の力積が無視できるくらい)で
考えることが多いと思います。
この問題ももちろんその立場で解くことができますが,
少し視野を広げてこの現象を眺めてみてください。
新たな発見があると思います。
【特講「連結2物体問題」その2】
東京大学(2011年) 過去問解説
「こんな単純な物体で,これだけ様々な問いがつくれるなんて」
この年の私の教え子(合格者)の感想(感動コメント?)です。
東京大学は,連結2物体問題を,この4年後にも出題して,
「異なるアプローチはまだまだ存在する!」
ということを示してくれました。→ 「その8」参照
【特講「連結2物体問題」その3】
京都大学(1998年) 過去問解説
動摩擦力がかかっている(動摩擦力が負の仕事をする)のに,
なぜエネルギー保存則が成り立つのでしょうか。
→ それは,車を一定速度 𝑽 で引っ張り続けているからです。
(物体系に正の仕事をしているのです)
この現象は,「摩擦のあるベルト上での単振動」と似ています。
この機会に,両方ともマスターしましょう!
【特講「連結2物体問題」その4】
筑波大学(2016年) 過去問解説
座標系の選択のしかたで,物体の運動の複雑さが大きく変わります。
座標系の性質によって,考慮すべきことが変わってきます。
筑波大学は誘導を入れつつ,問うべきところはしっかり問うています。
このレベルの問題(筑波大・千葉大・新潟大・横浜市大など)を
全分野集めれば,非常に良い(教育的な)問題集ができるのではないか,
と思っているのは私だけでしょうか。
⇒ いや, 笠原邦彦さんがいました!
【特講「連結2物体問題」その5】
早稲田大学理工学部(2016年) 過去問解説
・受験生があまり知らない物理量(換算質量)を導入する
・なじみのないギリシャ文字( ξ や η など)を使う
・2つの見方(観測者や座標系の変更)をしなければならない
これは,出題者が「受験生を惑わせるとき」によく使う手です。
対策としては,
・必要なことは問題文に書いてあるので,それにしたがう
これに尽きます。
あとは,ギリシャ文字を練習するというのはいいかもしれません。
「ο」(オミクロン) がギリシャ文字って知ってました?
私が個人的に期待しているのは,
「ω」(オメガ) と「𝒘」(ダブリュー) が混在した入試問題です。
「τ」(タウ) と「𝒕」(ティー)もエエなぁ。
ちなみに,「ρ」(ロー) と「𝒑」(ピー) が混在する入試問題は実在します。
密度ρと圧力 𝒑 なのですが,Δρ とΔ𝒑 が両方出てきて…という問題でした。
(2014年の順天堂大学のⅠ第3問の熱力学問題です)
入試問題で「換算質量」が扱われた他の例
【「換算質量」に興味を覚えた人へ 】
毎年,私は(力学分野を終えた)高校3年生に
「特講 換算質量」という講習を行っています。
「換算質量」の知識は受験に必須ではありませんが,
「こんな見方もある」ということを伝えるには最適な教材だ
と感じています。
動画もあります。換算質量の導出から行っています。
【特講「連結2物体問題」その6】
中央大学(2002年) 過去問解説
ばねでつながれた連結2物体が鉛直に落下するタイプの2問目。
ただし今回は,下の物体Bは床と「完全非弾性衝突」をします。
それならば,
この「ばね質量系」は,衝突後はね上がらないのではないか,
と思ってしまいますが,はね上がることがあるのです。
なぜでしょうか。
誘導はありますが,
どの物体系に注目をするのか,立式をする際に見極めてください。
【 単振動問題をさらに解きたい人へ 】
過去の大学入試問題や古い物理問題集の中から,
・ 単振動の基本を復習できる問題(勉強になる問題)
・ 設定が面白い問題
・ 受験生がひっかかりそうな問題
・ 実はこの問題の背景には…という問題
・ 解いていて楽しい問題
に該当する問題を,私の独断と偏見で選び,時には改題を施し,
Twitter で発信したものをまとめました。
【特講「連結2物体問題」その7】
九州大学(2002年) 過去問解説
「相対運動」を苦手としている人が多くなってきていると感じます。
これは,他者目線で物事が見られなくなってきていること
の表れなのではないかと私は危惧しています。
「重心からみる」
「一方の物体にのって,もう一方の物体の運動をみる」
これらは君たちを困らせるための設定ではなく,
そこからみて運動を記述すると,
ものすごく簡単な式で表されるからです。
【特講「連結2物体問題」その8】
東京大学(2015年) 過去問解説
「連結2物体問題」で,力学の主要事項をすべてカバーできる
と私が確信するきっかけになった問題です。
東大は,この4年前にも「連結2物体問題」を出題しています。
→ 「その2」参照
静止系から重心系へ,そして静止系にもどります。
これからの入試物理は,「視点の移動」がポイントになってきます。
【特講「連結2物体問題」その9】
東京大学(1997年) 過去問解説
「衝突」は,2物体が連結されているとなかなか難しいのですが,
東大は,台に針金をつけ,穴のあいた小球を通すことで,
「連結」されたように見える2物体の衝突問題としました。
この「針金」は小球の運動に制限を与えます。
そこで「束縛条件」が生じるのですが,
結局,「針金」の働きは「斜面」と同じであることに気づきます。
【特講「連結2物体問題」その10】
東北大学後期日程(2019年) 過去問解説
厳密にいえば,この問題は高校範囲外です。
「剛体の回転運動の運動方程式」が必要になってくる問題です。
質量のない棒は,回転のしにくさ(慣性モーメント)が0と考えます。
すなわち,「力のモーメントの和が0」なのです(高校範囲外です)。
東北大学は,「力のモーメントの和が0」と文中で言い切って,
なんとか問題を解かせていますが,
「質量のない棒 ⇒ 力のモーメントの和が0」という事実
を知っていないと解けない入試問題も存在します。
個人的に私はそういう出題はすべきではないと考えています。
【 束縛条件を基本から学びたい人へ 】
「束縛条件」の基本から応用までをまとめました。
講義(7講)&例題を終えた後,
実戦問題,チャレンジ問題,卒業問題へと進んでいく間に,
束縛条件がマスターできるという構成になっています。
動画もあります。束縛条件の基本事項から説明しています。
【特講「連結2物体問題」その11】
京都大学(1990年) 過去問解説
誘導穴埋め問題は,
指定された文字を使って次々と数式で表すことはできるのですが,
その操作が何を意味するのか,
を受験生が考えることが抜けてちてしまう可能性があります。
この京大の問題はその典型です。
その結論は結局何を意味するのかを一度考えてみてほしいと思います。
⇒ ツイートの添付ファイル(最終ページ)の中の「補足」で説明しました。
【特講「連結2物体問題」その12】
中央大学(2012年) 過去問解説
物理の応用例として,
「遠くにある星の質量を推定する問題」を取り上げました。
「連星の問題」は入試でたまに見られますが,
ほとんどの問題は,
「2つの星の重心のまわりを円運動している」
という事実を示した上で,
誘導形式で問うてきます。
ただし,その「事実」を発見させる問題もあります(2006年東京大学)。
「万有引力の法則」は,
ニュートンにより「ケプラーの第3法則」から導かれました。
この問題では,その導出を逆にたどっていきます。
⇒ (補足)で説明しておきました。
【 万有引力問題をさらに解きたい人へ 】
まだまだ問題数は少ないですが,興味深い問題を集めてみました。
少しレベルが高い問題が並んでいますが,腕試しにどうぞ。
以上です。
本番で力が出し切れることを祈っています。
マナブ
< 追 伸 >
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