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【高校物理】力学分野 「剛体にはたらく力」
「剛体の回転運動」は大学で本格的に学びます(大学物理範囲)。
高校物理範囲の「剛体の回転運動」は,「回転運動」といいながら,
「剛体が回転運動しないための条件式」を立てることがほとんどです。
すなわち,剛体は回転しません。
はじめの4つの講義で「剛体」の扱い方を押さえ,
そのあとの実戦問題で,様々な設定の問題に対応する力をつけていきます。
「剛体にはたらく力」は,
それ単独で大問がつくられるというよりは,
(力学分野に限らず)さまざまな分野で,
実験装置の一部として剛体が使われるとき
その考え方が必要になります。
ただし,今回取り上げた入試問題(実戦問題)は,
純粋に力学分野の問題として出題されたものに限りました。
(その11の実戦問題の最後の小問のみ,熱力学範囲の問題です)
【剛体にはたらく力 その1】
「力のモーメントのつり合い」(講義)
岩手大学(1981年) 過去問解説
一般に,物体にはたらく力の大きさ 𝑭 と,回転軸上の点𝐎から力の作用線におろした垂線の長さ (うでの長さ) 𝒍 との積 𝑴 は,大きさのある物体を点𝐎のまわりに回転させる力のはたらきを表している。この積 𝑴 を,点𝐎のまわりの力のモーメントといい,次式で表される。
𝑴=𝑭𝒍
すべての教科書は,「うでの長さ」を上のように定義しています。
しかし,上の「うでの長さ」は「仮想のうでの長さ」です。
(私はそう呼んでいます)
さらに,上の定義が成り立つのは,
剛体にはたらく力を作用線上で移動させても,その効果は変わらない
ということを前提としています(「作用線の定理」というらしい)。
下のポストでつぶやいたように,移動させる前と移動させたあと,
力のモーメント自体は同じ値を与えます。
力のモーメントが同じ値だからといって,同じ効果だと言い切れない
と私は思っています。
(作用線上を移動させると,作用点も移動してしまいます…)
これに関しては後ほど改めて考察することにしましょう。
【剛体にはたらく力 1】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 1, 2023
力のモーメントのつり合い(講義)
「剛体にはたらく力」の基本から実戦問題まで解説します。回転運動を扱いますが,剛体はほとんど回転しません。教科書はすべて「うでの長さ」を軸から力の作用線に下ろした垂線の足までの距離で定義してますが,私はそれに納得してません。 pic.twitter.com/5PRGQ9Hfif
【剛体にはたらく力 1】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 1, 2023
(例題 解答・解説)
岩手大学の過去問(1981年)を解こう。「力のモーメント」は,学習指導要領において,1982年度から1993年度まで一時期消えました。1997年度入試から復活し現在に至ります。
力のモーメントの基本事項については解説動画あります。https://t.co/Cphryrb7Uy pic.twitter.com/8FE5K2v5Mt
【剛体にはたらく力 その2】
「剛体にはたらく力の合成と重心」(講義)
富山大学(1981年)・東京農工大学(1980年)
過去問解説
剛体にはたらく力の合成の仕方を
・2力が平行でない場合
・2力が平行で同じ向きの場合
・2力が平行で逆向きの場合
のそれぞれについて示しました。
なぜその作図で合力が求まるのか,図形的な説明を心がけました。
また,合成ができない「偶力」についても言及しています。
最後に,
2物体系の重心位置座標の式の導出を行いました。
例題2題はどちらも重要な問題です。
【剛体にはたらく力 2】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 6, 2023
剛体にはたらく力の合力と重心(講義)
剛体にはたらく2つの力の合成を,2力が平行でない場合,平行で同じ向きの場合,平行で逆向きの場合のそれぞれについて示しました。2力が平行で同じ向きの場合,なぜそうなるかの説明を(新たな力を加えることで)図形的に行っています。 pic.twitter.com/zknkT9HjVE
【剛体にはたらく力 2】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 6, 2023
(講義のつづき,例題1)
偶力は,剛体を回転させる働きのみをもち,偶力のモーメントは,どの点のまわりで考えても同じ値となります。2物体系の重心の位置座標の式の導出をしたのち,富山大学の過去問(1981年)を解きましょう。まずは力の作図ができるようになることです。 pic.twitter.com/FP2uuJdK6C
【剛体にはたらく力 2】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 6, 2023
(例題1 解答・解説)
この物体系にはたらく力は,重力(の合力),糸からの張力,壁からの抗力(垂直抗力と摩擦力の合力)です。並進運動・回転運動をしないという条件から3つの力をベクトル的に合成するとゼロ(ベクトル)となるために,それらの作用線は必ず1点で交わります。 pic.twitter.com/7C2kUdJfnP
【剛体にはたらく力 2】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 6, 2023
(例題2 解答・解説)
東京農工大学の過去問(1980年)も解こう。「力のモーメント」の求め方は実はもう一つあります。「力を成分に分けてそれぞれの力のモーメントを足す」という方法です。面倒くさいやり方に見えますが,大学物理ではこれを「ベクトルの外積」で求めます。 pic.twitter.com/VCWgNjQLHG
【剛体にはたらく力 その3】
「切り取られた板の重心・つり合い」(講義)
センター試験(2018年)・東京理科大学
過去問解説
「一部が切り取られた板の重心の位置」については,
センター試験(共通テスト),さまざまな大学で出題されています。
その考え方・解法は,「切り取った部分を元に戻して考える」こと。
これがもっともシンプルで,ミスが少ないものです。
(詳しくは講義を読んでください。)
東京理科大学の問題は,重心の位置を求めさせた上で,
「一部が切り取られた板」の力のつり合いを考えさせています。
中心軸としてうまい点を見つければ,
(力のつり合いの式を立てることなく,)
力のモーメントのつり合いのみで問題を解くことが可能です。
【剛体にはたらく力 3】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 8, 2023
切り取られた板の重心・つり合い(講義)
一部が切り取られた板の重心の位置および,その板にかかる力のつり合いを考えます。センター試験の過去問(2018年)を解きながら,重心の位置を探る方法を押さえていきましょう。その後,東京理科大学の過去問(改題)を解いてください。 pic.twitter.com/4qoN6mS4fH
【剛体にはたらく力 3】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 8, 2023
(例題の解答・解説)
例題のポイントは2つ。「切り取った部分を元に戻して考える」こと,一様な密度で一様な厚さの板を用いているので,「面積比=質量比」となることです。(教科書的には)力のつり合いの式と力のモーメントのつり合いの式の2本が必要に思えますが…。 pic.twitter.com/jWbi3FRw9k
【剛体にはたらく力 その4】
「輪軸・差動滑車」(講義)
杏林大学保健学部(2011年) 過去問解説
「輪軸」について原理をまとめ,
「輪軸」と「差動滑車」の(入試)問題を解いていきます。
今回は問題としては扱いませんでしたが,
軽い輪軸が加速度をもって回転しているという設定の問題
を見かけることがあります。
小さな半径の滑車と大きな半径の滑車にかけられたそれぞれの糸
の張力の大きさの比が半径の逆比になる
という事実をつかって問題を解くのですが,
これは厳密には大学物理範囲です(補足参照)。
本来は大学入試で出題してはならない問題だと私は考えています。
【剛体にはたらく力 4】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 10, 2023
輪軸・差動滑車(講義)
輪軸について原理をまとめ,輪軸と差動滑車の問題を解いていきます。最後に,剛体の運動を扱う入試問題の「問題点」についても考えていきます。1枚目は輪軸の基本事項のまとめ。2枚目以降は杏林大学の過去問(2011年)です。トライしてみてください。 pic.twitter.com/RuAP0hNPgl
【剛体にはたらく力 4】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 10, 2023
(例題1 解答・解説)
輪軸の問題も基本的には「回転しないための条件」を立てます。すなわち,力のモーメントのつり合いの式です。3枚目4枚目は「差動滑車」の問題です。差動滑車は,(最近見かけなくなりましたが…)シャッタの開閉に使われています。見たことありますか? pic.twitter.com/atQ8cEjMV3
【剛体にはたらく力 4】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 10, 2023
(例題2 解答・解説)
作用反作用の法則より,「人が板に及ぼしている力」と「板が人に及ぼしている力」は大きさが等しい。また「引き上げようとする」という表現は微妙ですね。これは「その瞬間,地面から受ける垂直抗力がゼロとなり,力がつり合っている」と解釈します。 pic.twitter.com/HPHjJ4D2jL
【剛体にはたらく力 その5】
「一様でない棒のつり合い」(実戦問題)
東京学芸大学(1987年)・富山大学
過去問解説
一様でない棒のつり合いも,
はたらく力の作用線が1点で交わることを利用できます。
また,力のつり合いの式を立てる前に,
力のモーメントのつり合いの式のみで処理ができないか,
考えてみる価値はあります。
回転の中心(軸)をうまくとれば,
未知量をできるだけ少なくすることができるのです。
【剛体にはたらく力 5】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 14, 2023
一様でない棒のつり合い(実戦問題1)
(解答・解説)
一様でない棒は中心が重心ではありません。どうすればその重心の位置が分かるのでしょうか。東京学芸大学の過去問(1987年)を解きながら学んでいきましょう。ポイントは作用線。初めの2枚が問題,後の2枚が解答・解説です。 pic.twitter.com/o14MZkV3P9
【剛体にはたらく力 5】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 14, 2023
(実戦問題2)(解答・解説)
富山大学の過去問<改題>を解こう。「さおばかり」って知っていますか。江戸時代から昭和の中期ごろまで一般に使われていたようです。「さおばかり」のつくり方をこの問題は教えてくれます。仕組みがシンプルなので,つくり方もシンプルです。 pic.twitter.com/NNnB9ZlRLY
【剛体にはたらく力 5】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 14, 2023
(解答・解説のつづき)
力のつり合いを立てようとすると,未知量を1つ増やさねばなりません。それならば,力のモーメントのつり合いだけで解けるのでは? 「おまけ問題」として,センター試験(2004年)の問題もつけておきました。「一様でない棒」ではないですが重要な問題。 pic.twitter.com/3AknevInTw
【剛体にはたらく力 その6】
「倒れない(倒れる)ための条件」(実戦問題)
東京理科大学(2020年)・東進ハイスクール
第2回学力判定模試 高2理科(1997年)
過去問解説
「倒れやすい形状とは?」「倒れる瞬間何が起こっているのか?」
「倒れるのが先か,滑るのが先か?」
斜面上,水平面上で剛体を倒す運動を通してそれらを探っていきます。
斜面もしくは水平面から受ける抗力(垂直抗力と摩擦力の合力)の
作用点の位置に注目し,
「倒れる」「倒れない」の境目を見極めてください。
【剛体にはたらく力 6】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 20, 2023
倒れない(れる)ための条件(実戦問題1)
倒れない(倒れる)ための条件について入試問題を通して考察していきます。東京理科大学の過去問(2020年)(初めの小問はカット)で,斜面の角度を少しずつ大きくしたとき,斜面上の物体が倒れることなく滑り始めるための条件を考えます。 pic.twitter.com/x1g3oWTXqx
【剛体にはたらく力 6】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 20, 2023
(実戦問題1の続き)&(解答・解説)
物体の上端にさらに力を加えることで,滑ることなく倒れさせることを考えます。少しずつ加える力を大きくしたとき,物体が倒れる直前に何が起こっているかを言えるようにしておきたい。ポイントは物体が斜面から受ける抗力の作用点です。 pic.twitter.com/XalbmBsAyO
【剛体にはたらく力 6】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 20, 2023
(実戦問題2)&(解答・解説)
添付ファイル(3枚)は東進ハイスクール第2回学力判定模試高2理科(1997年)です。「物体が床面から受ける抗力」に注目した問題。この年から大学入試に力のモーメントが復活し,東進もこれからこのタイプの問題が増えていくと予想したのでしょう。 pic.twitter.com/OM4IxBUkYN
【剛体にはたらく力 その7】
「走行する2輪車の加速と減速」(実戦問題)
慶應義塾大学医学部(2016年) 過去問解説
このタイプの問題は,模範解答では,
「力のつり合い」「力のモーメントのつり合い」の式を立てている
だけで,何ら難しいことはやっていないように見えます。
しかし,いざ本番で出会うと手が止まってしまう受験生が多いのです。
それは,問題の問い方や問題設定にも原因があるのだと思います。
(問1と問2とで加速度の向きは変わっているのだけれど,
大きさは両方とも 𝒂 としている。
「動摩擦係数の満たすべき条件」を求めることなど…。)
問2(c)は,
赤本や旺文社全国大学入試問題正解などで解法が分かれますが,
ここはやはり 𝜽 が小さいとして近似式を利用して,
力のモーメントがつり合うときの加速度の大きさを見積もる必要
があると思います。
【剛体にはたらく力 7】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 24, 2023
走行する2輪車の加速と減速(実戦問題)
添付ファイルは,慶應義塾大学医学部の過去問(2016年)。問題文を読めばどの座標系から見ればいいか分かります。立てられる式は「力のつり合い」と「力のモーメントのつり合い」のみ。旺文社の全国大学入試問題正解で《やや難》の評価。 pic.twitter.com/n8BaQt8gfk
【剛体にはたらく力 7】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 24, 2023
(解答・解説)
加速度の向きが変わると,何が変更になるか。問2(b)の解答では,力のモーメントのつり合いの式を立てましたが,慣性力と重力の合力の作用線が点Bを通るとしてもいいです。問2(c)は,維持しようとしている加速度がどのような大きさなのかの検証をしたい。 pic.twitter.com/bnji8E6G9d
【剛体にはたらく力 その8】
「加速荷台にある棒のつり合い」(実戦問題)
大阪大学(2004年) 過去問解説
トラックの荷台後部の鉛直面に立てかけてある剛体棒
が動かない条件を求める問題です。
トラックが加速するときと減速するときのそれぞれの場合について,
棒を立てかける角度と加速度の大きさの関係式を求めます。
条件が変わるたびに剛体棒にはたらく力を図示しよう。
静止摩擦力に関しては,
はたらく向きが判断しづらい場合もあるかもしれませんが,
とりあえずどちらかに決めて立式をしよう。
出てきた関係式が正しい向きを教えてくれます。
【剛体にはたらく力 8】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 27, 2023
加速荷台にある棒のつり合い(実戦問題)
添付ファイルは,大阪大学の過去問(2004年)です。荷台後部の鉛直面に立てかけてある剛体棒がつり合うための条件を求めていきます。立てかける角度そして加速度の大きさ(加速・減速)の関係式を求め,最後はグラフの領域で答えさせます。 pic.twitter.com/rd5bP9HmHM
【剛体にはたらく力 8】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 27, 2023
(例題 解答・解説)
問4での静止摩擦力の向きは,水平右向きの可能性がありますが,どちらで考えても同じ答えとなります。大阪大学の実際の問題の問7は「結果だけでなく考え方も簡潔に記せ」でした。問6の結果から不等式を導くだけですが,問8とも連動するので慎重に! pic.twitter.com/VDxmGNP1hX
【剛体にはたらく力 その9】
「小球が埋め込まれたパイプ」(実戦問題)
東京大学(2002年) 過去問解説
一様でない棒の重心の位置を探る方法はよく知られていますが,
なぜその方法で重心の位置が分かるのか,
なぜ支点が交互に「すべる」「止まる」を繰り返すのか,
と問われると,返答に困ってしまいます。
この現象はたまに入試で見かけます。
東京工業大学後期日程第5類小論文(2002年),中央大学(2006年),
昭和大学医学部(2013年),福島県立医科大学(2019年) など。
2002年には,東京大学と東京工業大学(後期日程)で出題されました。
これは,テレビの科学番組の影響だと私は考えています。
( 2000年前後というのは ,
(米村)でんじろうさんがテレビなどでかなり活躍していた時期です。)
【剛体にはたらく力 9】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 30, 2023
小球が埋め込まれたパイプ(実戦問題)
添付ファイルは東京大学の過去問(2002年)。科学(クイズ)番組でよく見かける「一様でない棒の重心の位置の見つけ方」です。力のモーメントのつり合いと力のつり合いから,支点の動きを説明します。試験会場での受験生の様子を見たかった。 pic.twitter.com/FAyV73VBd5
【剛体にはたらく力 9】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 30, 2023
(解答・解説)
まずは(3)を解く前に(4)を解く解法を示した後,(別解)と(考察)で順番通り((3)→(4))に解く解法を示しました。結局は,力のつり合いと力のモーメントのつり合いの式を立てているだけなのですが,消去する文字を瞬時に判断しなければならない難しさがあります。 pic.twitter.com/VHReIPOgj3
【剛体にはたらく力 9】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 30, 2023
(解答・解説のつづき)
Ⅰの現象を扱った入試問題を時折見かける。東京工業大学後期日程第5類小論文(2002年),中央大学(2006年),昭和大学医学部(2013年),福島県立医科大学(2019年)等。中央大学は誘導が丁寧なので解きやすい。変化の仕方をグラフ化しているのも興味深い。 pic.twitter.com/XxAzip1isc
【剛体にはたらく力 その10】
「小球が埋め込まれたパイプ」(実戦問題)
福井大学(2002年) 過去問解説
角度が小さいとき,近似式を用いることがあります。
この問題は,近似式を用いることはありませんが,角度が小さいため,
力はすべて鉛直方向に作用するという近似を用います。
あとは図を描いて考えてみよう。
問題文のあとに【ある疑問】という題名で,
教科書や参考書に必ず書いている
「力を作用線上で移動させてもその効果は変わらない」
は本当に言えるのか,という疑問に関して考察をしています。
力を移動させるということは,作用点も移動します。
はたして作用点が移動した力は,元の力と同じ効果を与えるのか,
このことについて述べているものがほとんど見当たらないことが
私には不思議でなりません。
【剛体にはたらく力 10】
— マナ物理 (@manabu_physics) December 6, 2023
ばねとちょうつがいで支える(実戦問題)
添付ファイル(3枚)は福井大学の過去問(2002年)。作図をしながら解こう。その際,問題文の条件を見落とさないように。添付ファイル4枚目には,本当に「力を作用線上で移動させてもその効果は変わらない」と言えるのかを考察しました。 pic.twitter.com/8bmBQXBcbf
【剛体にはたらく力 10】
— マナ物理 (@manabu_physics) December 6, 2023
(解答・解説)
問1は「鉛直方向の力のつり合い」を立てなくとも求められます。問3は点Aに作用する力が不明であるので,点Aのまわりの力のモーメントのつり合いの式を立てます。「蝶番(ちょうつがい)」とは,開き戸や開きぶたなどが開閉できるようにとりつける金具です。 pic.twitter.com/INh6KuqDZ7
【剛体にはたらく力 その11】
「自転車の加速と減速」(実戦問題)
東北大学後期日程(2005年) 過去問解説
再び「自転車(2輪車)の加速と減速」がテーマです。
2016年の慶應義塾大学医学部の力学問題と設定が似ています。
旺文社や数研出版などの解説は「静止系」での解法を選択していました
が,私はあえて「重心系」を選びました。
(別解で「静止系」での解法も示してあります)
力のモーメントのつり合いの式を立てるときの軸(支点)を
前輪と後輪と地面との接点とすることで,
摩擦力によるモーメントが式中に入らないようにしました。
【剛体にはたらく力 11】
— マナ物理 (@manabu_physics) December 11, 2023
自転車の加速と減速(実戦問題)
添付ファイル(6枚)は東北大学後期日程の過去問(2005年)。この設定どこかで見たことがありませんか(2016年の慶應義塾大学医学部の力学問題です)。小問(5)はそれまでの問題とは独立に解くことができます。最後まであきらめずに問題文を読もう。 pic.twitter.com/54b2ylEyfC
【剛体にはたらく力 11】
— マナ物理 (@manabu_physics) December 11, 2023
(問題の続き&解答・解説)
誘導がついていないので,静止系でも重心系でも構わないのですが,慶應医(2016年)と同様に重心系で解いてみました。私の予想では,慶應医の出題者はこの東北の問題を見ています。自転車を2輪車,座標系を重心系としていますが,本質は同じです。 pic.twitter.com/82s88U4KIw
【剛体にはたらく力 11】
— マナ物理 (@manabu_physics) December 11, 2023
(解答・解説の続き)
(3)は,はじめの変形後 𝝁𝑯/𝑳 が1に比べて十分小さいとして無視する近似もあり得ます(最終的な形が問題文に与えられているのでそれが思いつく…)。東北大は最後に独立に解けるものを持ってくることがあります。あきらめない受験生がほしいんやろね。 pic.twitter.com/YskPzR1Jvz
【剛体にはたらく力 その12】
「糸でつながれた質点と剛体」(実戦問題)
慶應大学理工学部(2016年) 過去問解説
「剛体にはたらく力」最終回は,
「力のモーメントの問題」というより,「二体問題」です。
下のポスト(ツイート)にも書きましたが,
この問題の設定は,2016年の東京工業大学の力学問題に似ています。
(一番下に問題・解説のリンクをはっておきました)
同じ年に似た問題が2つの大学で出題されることはよくあるのですが,
今回の2つの大学は両方受験した者が多いという特徴があります。
慶應大学理工学部は,
2017年「人工衛星」,2018年「鉛直ばね振り子」,
2019年「二体問題」,2020年「摩擦のある面上での単振動」,
2021年「二体問題」,2022年「二体問題」,2023年「二体問題」
と,明らかに「二体問題」の割合が増えています。
そしてそのほとんどに円運動が絡んでいるのが特徴です。
(2021年「二体問題」も,一番下にリンクをはっておきました)
【剛体にはたらく力 12】
— マナ物理 (@manabu_physics) December 13, 2023
糸でつながれた質点と剛体(実戦問題)
添付ファイル(4枚)は慶應義塾大学理工学部の過去問(2016年)。この設定は2016年の東京工業大学の力学問題に似ています(こちらはさらに「壁」が出てきます)。ポイントはやはり(2)。私は(エ)の問題を「束縛条件問題」とよんでいます。 pic.twitter.com/KFkuJFYA71
【剛体にはたらく力 12】
— マナ物理 (@manabu_physics) December 13, 2023
(解答・解説)
慶應理工はこの後2021年にも「束縛条件」の問題を出題しています(これは慶應理工受験者には是非解いてほしい問題)。物理の力に加えて,さまざまな視点(観測者)から見て何が起こるのかを正確に図に描き立式することができる力がある受験生がほしいのでしょう。 pic.twitter.com/UF1yOwOlRG
2016年の東京工業大学の力学問題
【特講 束縛条件9】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 18, 2021
(実戦問題2)
添付ファイルは,東京工業大学(2016年)の過去問。最近の入試問題の中で「束縛条件」が扱われる(問われる)とき,現象がイメージできる者にとっては「当たり前」なことが多い。その「当たり前」なことを数式化して,誰にでも分かる形で説明したいと考えています。 pic.twitter.com/Uc9Hi8af34
【特講 束縛条件9】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 18, 2021
(解答・解説)
(c)で ①「おもりが半径sの円運動をする(束縛条件)」,だから ②「張力𝑻₂は仕事をしない」,さらに ③「力学的エネルギー保存則が成り立つ」のすべてが見通せる受験生はなかなかいません。
特講の性質上 [B]はカットしましたが,東工大志望の人は解いておこう! pic.twitter.com/gilxdI8hll
2021年の慶應義塾大学理工学部の力学問題
【特講 束縛条件10】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 22, 2021
(実戦問題3)問題①
添付ファイル(8枚)は,慶應義塾大学(2021年)の過去問。「束縛条件」的に,なかなか興味深い問題です。はじめは順調に解けるでしょうが,逆U字型の物体の固定を外したあたりからどう攻めてよいのか分からなくなります。
手が止まったら「束縛条件」です。 pic.twitter.com/1YTWfc5OoL
【特講 束縛条件10】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 22, 2021
(実戦問題3)問題②
ヒントは,(講義2)「その3」と(講義7)<例題6>です。さらに,(講義5)「その6」も参考になります。そう考えるとこの慶應の問題は「束縛条件」を本格的に学んでいないと高得点がとれない構成になっています(高得点がとれなくても合格するのですが…) pic.twitter.com/BGECYV6gpB
【特講 束縛条件10】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 22, 2021
(解答・解説)①
やはりポイントは(エ)(オ),そして(キ)でしょうね。束縛条件だらけです(笑) 特に(エ)は受験生のほとんどが解けていないと思います。逆U字型の物体から見た小球の運動が円運動であることから「束縛条件」が導けます。いきなり速度の関係式を立ててもいいですね。 pic.twitter.com/kRHanQ2gZt
【特講 束縛条件10】
— マナ物理 (@manabu_physics) November 22, 2021
(解答・解説)②
(キ)は誘導にのれば「重心の位置の公式」を使うのでしょうが,この特講を受けている人なら,(講義5)の「トータルの変位の差」で解きたくなるでしょうね(ということで,こちらを【解】としました)。(ケ)は(ク)の誘導をうまく使った方が解きやすいと思います。 pic.twitter.com/DWePNUOzQz
これで「剛体にはたらく力」の講義を終わります。
「力のモーメント・剛体」に関しては,これだけやれば十分です!
マナブ