![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127509828/rectangle_large_type_2_4cb067654e4ec37836ab4a98892a8649.png?width=1200)
【高校物理】磁気分野④ 「電場・磁場中の荷電粒子の運動」 <大幅増補改訂>
ここで扱うのは「ローレンツ力」です。
磁束密度 B の中を,磁場に垂直に速さ v で走る正の電荷 q をもつ荷電粒子には,磁場から力がはたらきます。その力をローレンツ力といいます。
ローレンツ力の大きさ 𝒇 は, 𝒇 = 𝒒𝒗𝑩
そして,その向きは「フレミング左手の法則」で求まります。
![06 電流が磁場から受ける力1(講義・例題)図2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/53330828/picture_pc_15f980467684dac49aa510106763eb04.png?width=1200)
【電場・磁場中の荷電粒子の運動1】
(講義・例題)
荷電粒子の電荷が「負」の場合,ローレンツ力は,フレミング左手の法則で求まる向きの逆向きとなります。そう考えるのがわずらわしいと思う人(私です)のために,「フレミング左手の法則"右手"バージョン」を考えました。
気をつけてください。フレミング右手の法則ではありませんよ(笑)
![12 電場・磁場中の荷電粒子の運動1(講義・例題)図1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/53330481/picture_pc_edaeb0fc66f4b49a59580361f81b1ef2.png?width=1200)
「磁場のみ」「磁場と電場」「電場のみ」(3パターン)の空間中での電子の運動について考察します。結局これは,力学の問題です。電子の運動を知りたければ,まずは運動方程式を立てるのです。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動1】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 19, 2021
(講義・例題)
磁場中を荷電粒子が動くと「ローレンツ力」を受けます。荷電粒子の電荷が正ならば,ローレンツ力の向きはフレミング左手の法則で決まるのですが,荷電粒子が電子などの負の電荷をもったものも多いです。
そこで「右手バージョン」を提案します(笑) pic.twitter.com/595XtFgczr
【電場・磁場中の荷電粒子の運動1】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 19, 2021
(解答・解説)
磁場のみ,磁場と電場,電場のみの3パターン。
「電場と磁場」では,電場の強さもしくは磁場の強さを調節し,特定の速さをもつものだけを(その空間を直進させ)選別できるのです。
「電場のみ」の時,重力場での水平投射と同様の運動となります。 pic.twitter.com/phYRV67f5j
【電場・磁場中の荷電粒子の運動2】
(講義動画)その1「質量分析器」
東京学芸大学(1991年) 過去問解説
磁場の中で荷電粒子が動くと磁場から力(ローレンツ力)を受けます。
その向きは,磁場と粒子の速度の両方に垂直な向きです。この不思議な力が面白い現象を次々と生み出します。そして,その力を利用するとこんなこともできるという応用例のひとつが「質量分析器」です。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動2】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 20, 2021
(講義動画)その1
添付ファイルは東京学芸大学(1991年)の過去問です。この装置は「質量分析器」(放射性炭素年代測定などで活躍する装置)。質量分析の原理をこの問題で学ぼう!
問題(3)にはさまざまな別解が存在します。君はどんな解法を選択するのでしょうか? pic.twitter.com/AME7puAzCv
【電場・磁場中の荷電粒子の運動2】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 20, 2021
(解答・解説)
(3)は電流の定義が分かっていれば,何をするべきかが見えてきます。生徒の別解は面白い見方。
解説動画 あります。基本事項の説明(ローレンツ力の説明,等速円運動になる理由など)をしています。https://t.co/ZksTFnrGGlhttps://t.co/0mVTHxguCH pic.twitter.com/QqJ60GgS5p
講義動画をつくりました。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動3】
(講義動画)その2「サイクロトロン」
学習院大学(1995年) 過去問解説
磁場や電場中の荷電粒子の運動の応用例として,「サイクロトロン」を扱います。
荷電粒子の加速原理は,基本的には
1.一直線上で加速(線形加速器)
2.渦巻き状に加速(サイクロトロン)
3.同じ円周上で加速(ベータトロン)
の3パターンしかありません。今回は2.です。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動3】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 21, 2021
(講義動画)その2
添付ファイル(4枚)は学習院大学(1995年)の過去問です。荷電粒子を加速する装置「#サイクロトロン」の問題です。周期的(サインカーブ)に変動する電圧を「交流電圧」とよんでいます。
注:問2は厳密に(すべてのパターンを)答えてください。 pic.twitter.com/0dKdrUGRTO
【電場・磁場中の荷電粒子の運動3】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 21, 2021
(解答・解説)
問4の解説の最後で「課題」を出しました。いくら巨大化しても 粒子はある程度までしか加速できないのです。ヒントもあるので,是非考えてみてください! この課題に対する私の考えは,YouTubeの解説動画で述べています。https://t.co/2wiwimO3uj pic.twitter.com/nC9X9fnkQ4
講義動画です。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動4】
(練習問題)その1
奈良女子大学(2004年) 過去問解説
磁場中の荷電粒子の運動の練習問題です。
なぜ一平面上を運動するのか,と問われてすぐに返答できない人は要注意。
問題(5)に「領域Ⅱを抜けて領域Ⅲに入る初速度の最小値を求めよ」とありますが,問題(4)の誘導があるので解きやすいと思います。
力のある人は問題(4)を飛ばしていきなり問題(5)を解くことを勧めます。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動4】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 25, 2021
(練習問題)その1
添付ファイル(4枚)は奈良女子大学(2004年)の過去問。
(2)の記述に制限はありませんが,自分で制限(文字数,解答欄の大きさ)を設けて解いてもいいですね。
(5)「より大きい」などの境界を問う問題は「ギリギリの状態」を考え,等式を立てよう! pic.twitter.com/DeC3DSKMZj
【電場・磁場中の荷電粒子の運動4】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 25, 2021
(解答・解説)
答えにくい問題もいくつかあったと思います。(2)は解答欄の大きさによりますが,本格的に答えるとなると「どこまで答えるか」を考えないといけません。余白があれば,領域Ⅱでの運動だけでなく,領域ⅠとⅢでの運動にも触れておきたいところです。 pic.twitter.com/fn0mVkoXFn
【電場・磁場中の荷電粒子の運動5】
(練習問題)その2
横浜国立大学(2001年) 過去問解説
下のツイートでは「問題のある問題」と私は言っていますが,
個人的にはこういう挑戦的な問題は好きです(パズルとしても面白い)。
「誘導電場」は断りなく入試問題や模擬試験で出題されることがあります。
私は誘導電場は「ベータトロン」などでは触れざるを得ないと思いますが,その他の場面では導入すべきではないと考えています(高校範囲では)。
ただし,「運動する磁場は電場を伴う」という考え方が特殊相対性理論につながっていくという話は,雑談としては面白い(興味深い)のでよく生徒に話します。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動5】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 26, 2021
(練習問題)その2
添付ファイル(4枚)は横国大(2001年)の過去問。「誘導電場」を扱った意欲的な問題ですが,私は問題のある問題だと捉えています。「誘導電場」は誘導起電力の導出に使われることもありますが,クーロン電場と混同してしまう可能性があるのです。 pic.twitter.com/h9yWdKBZrZ
【電場・磁場中の荷電粒子の運動5】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 26, 2021
(解答・解説)
2001年「旺文社 全国大学入試問題正解」の横浜国立大のページにこの問題は見当たりません。なんとこの年だけ「後期日程」の問題が掲載されているのです(練習問題は前期日程の問題)。その原因はこの問題にあると私は見ていますがどうでしょうか。 pic.twitter.com/pcVaZW3vVN
ややこしいのですが,2001年入試の問題が掲載されているのは,「2002年受験用 全国大学入試問題正解 物理」(旺文社)です。2000年からそんな書名になって,ややこしくなりました…。
— マナ物理 (@manabu_physics) May 26, 2021
そういう意味では,数研出版の「物理入試問題集」はブレがないです(笑)
【電場・磁場中の荷電粒子の運動6】
(チャレンジ問題)
横市大(1995年) 過去問解説
磁場に対して斜めに入射した荷電粒子の運動です。
y-z 面内の運動と x 方向の運動を分けて考えなければなりません。
さまざまな方向からの「視点」が必要です。
最後(3)(ウ)が難問です。この問題にはいろいろな解釈があるはずです。
しかし,この問題を取り上げているどの問題集も同じ " 解答 " という異様さに私は恐怖を覚えています。
手を動かしながら,最後の【考察】まで是非読み進めてください!
【電場・磁場中の荷電粒子の運動6】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 27, 2021
(チャレンジ問題)
横市大(1995年)の過去問。最後が難問。「生徒の想像力がどこにまで及ぶのか」を知るため,私はよく利用します。典型問題だとスルーせず本気で解いてみよう!
動画「らせん運動」←生徒に依頼してつくってもらいましたhttps://t.co/JVCMS7BlpQ pic.twitter.com/ETabE7XD3N
【電場・磁場中の荷電粒子の運動6】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 27, 2021
(解答・解説)
最後の問題(3)(ウ)の解説を2つ載せておきました。 この解説に納得できますか? 私は納得できません。不十分だと考えています(しかし すべての問題集の答えが「質量比」…) 。もっと言うと,横市大の出題者の模範解答はこれじゃないと思うんやね。 pic.twitter.com/SpwdaQObYb
【電場・磁場中の荷電粒子の運動6】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 27, 2021
(考察)
考察を丁寧にしてみました。ポイントは「あるいは」と「同様な」の解釈の仕方。この実験(測定)を実際に行う立場で考えてほしいのです。もし問題文が「あるいは」ではなく「および」だったら,答えは『速さの比』です。是非 ゆっくり考えてみてください。 pic.twitter.com/6zAuR6qRnm
今回の「らせん運動」を様々な角度から見られる12秒の動画です。
生徒に依頼して作ってもらいました(もう10年前のことです)。
「らせん運動」をイメージしづらい人は参考にしてください。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動7】
(練習問題)その3
大学入学共通テストで出題されるかもしれない,少し難しめの問題を解いてみましょう。最終的に,検出器でとらえられる陽イオンをつきとめます。
「どうやってその陽イオンを作り出すのか?」という非常に興味深い問題があるのですが,イオン源の中で起こっている反応については,残念ながら高校範囲外です。大学(または大学院)で勉強してください(ヒント:プラズマ状態)。分野は「加速器科学」です。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動7】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 29, 2021
(練習問題)その3
添付ファイル(4枚)の問題を解いてください。一部選択問題ですが,それほど簡単な問題ではないです。原子物理(もしくは化学)の知識が必要になってきます。とりあえず「質量数」や「イオンの価数」が分かれば解けます。円軌道半径は何で決まる? pic.twitter.com/6Hmch7aXZ5
【電場・磁場中の荷電粒子の運動7】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 29, 2021
(解答・解説)
質量や電荷は詳しい値を知る必要はありません。それぞれ質量数や価数で考えます。もっと言うと,比さえ分かればいいのです。与えられた条件から,そのイオンの質量と電荷がどんな関係にあれば検出器に到達するかを考えます。解説をご覧ください。 pic.twitter.com/UIh0yctjYS
【電場・磁場中の荷電粒子の運動8】
(練習問題)その4
横浜市立大学医学部医学科(2015年)
過去問解説
最後に,少し遊び心のある問題を解きましょう。
「荷電粒子の描く軌道で何かを表現したい」と出題者は思うようで,これまでさまざまな図形が生み出されてきました(2020年には五輪のような図形を出題した大学も…)。その中でも,この横浜市立大学の問題は秀逸。
【電場・磁場中の荷電粒子の運動8】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 30, 2021
(練習問題)その4
添付ファイル(4枚)は横浜市立大学医学部医学科(2015年)の過去問。私の好きな問題。「荷電粒子の描く軌道は何の模様でしょうか?」磁場中と電場中での軌跡を組み合わせると…。医学部医学科ならば全問解き切りたいところやね(制限時間30分)。 pic.twitter.com/tZYnhaPgs9
【電場・磁場中の荷電粒子の運動8】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 30, 2021
(解答)
どうでしたか? 楽しめましたか?出題者は工夫を凝らして面白い問題を毎年つくってくれます。荷電粒子の描く図形が面白いものはたくさんありますが,この横市問題は秀逸。(もう少しハートの下を尖らせてほしかったけど) (8)は(7)で描いた図形がヒント。 pic.twitter.com/Ib7QW6Z33C
【電場・磁場中の荷電粒子の運動8】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 30, 2021
(解説・考え方)
(8)は「放物運動(45度斜方投射)でx軸負の向きに進み,円運動でx軸正の向きに戻る」を繰り返していきます。この問題を生徒に解かせると,もっときれいなハートにするにはどんな電場・磁場をどこに配置すればいいかと研究するようになります(笑) pic.twitter.com/VgUKtui8ob