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【高校物理】熱力学分野③ 「熱とエネルギー」
「熱と温度」その1
(過去問解説 東京電機大学&法政大学)
「熱力学分野」のはじめは,どの本も Q=mcΔT やろね。
この式が「熱力学第1法則」だと考えながら問題を解いている人は,
あまりいないと思います。
新テストでは熱力学問題が本格的に出題されるとは考えにくいですが,
小問集合でねらわれる可能性が高いです。
このレベルの問題演習もしておきましょう。
解説動画を2本つくりました。
この問題以外の熱力学的な話題にも触れています。是非ご覧ください!
「熱と温度」その2
(過去問解説 近畿大学)
「比熱」と「熱容量」の違いは分かりますか?
【熱と温度】その2
— マナ物理 (@manabu_physics) July 21, 2020
添付ファイル(2枚)は近畿大学の過去問です。
シンプルな問題ですが,物体A,B,Cの質量や物質が分からないので,「比熱」ではなく,「熱容量」で処理をしてください。
立てるべき式は…
そうです。熱力学第1法則(熱量保存の法則)。
固体は体積変化がない(仕事0)と考えます。 pic.twitter.com/6KPYaWzc7o
【熱と温度】その2
— マナ物理 (@manabu_physics) July 21, 2020
(解答・解説)
「熱量保存の法則」は,「熱力学第1法則」に含まれます。(教科書などには書かれていませんが…)
固体(や液体)の熱のやりとりのときには,仕事0で,内部エネルギーしかでてこないだけです(気体が入ってくる場合は,下のツイート参照)。https://t.co/vMGOGvFZ8J pic.twitter.com/EJ2QJWViik
「熱の仕事当量」
(過去問解説 新潟大学(1978年))
力学と熱力学を結びつける問題です。
1847年(論文は1850年),
英国の実験物理学者ジュールは巧妙な装置を使って,
力学的仕事と熱量との関係を導きました。
【熱の仕事当量】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 27, 2020
添付ファイル(4枚)の問題を誘導にのって解いてください。
力学[J]と熱力学[cal]を結びつけるジュールの実験です。
最後の問題は 新潟大学(1978年) の過去問です。
なんと10000分の1℃を測っています。
温度の有効数字4桁?! 本当でしょうか?
このカラクリ分かりますか?(笑) pic.twitter.com/Lnu5EfVxIN
【熱の仕事当量】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 27, 2020
(解答・解説)
ジュールは温度を華氏(℉)で測っていたのです。
それを摂氏(℃)に変換すると端数が現れるのです。
10000分の1℃を測っていたわけではないんやね。
それにしても,新潟大学の問題の答え「4.19」はあまりにもきれいな(現在の測定値に近い)値すぎる。
いじってるな(笑) pic.twitter.com/ty7W8GRH6D
【水の状態変化】
(過去問解説 岐阜大学)
融解熱,蒸発熱という用語を知らなくても,
単位を見ればその意味が類推できます。
水の状態変化のしかたについては,常識として知っておいてください。
与えられた熱の使われ方に2通りあること,
そして,水の状態変化の間は,容器は熱を吸収しないこと
なども常識ですね。
【水の状態変化】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 28, 2020
添付ファイル(4枚)を解いてください。
岐阜大学の過去問です。
「紙なべ」って知っていますか?
なぜ紙が燃えないのか,それは水の温度変化にヒントがあります。
最後は「マナブ追加問題」。
今は使われない cal表示 ですが…
容器のフタを開けなくても,中の状態が推定できます! pic.twitter.com/3UhCknNWou
【水の状態変化】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 28, 2020
(解答・解説)
融解熱や蒸発熱という用語を知らなくても,単位から逆に予想しよう。
与えた熱の使われ方は2通り。
1つは温度変化に,そしてもう1つは状態変化に。
「紙なべ」がうまくいく(紙が燃えない)には,紙が薄く,よく熱を伝える必要があります。
紙の発火点は約300℃。 pic.twitter.com/T1KyWCI4G4
「鉛の比熱測定」
(過去問解説 センター試験(2000年)類題)
「問題をつくるために問題を起こす問題」です(笑)
【鉛の比熱測定】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 29, 2020
センター試験(2000年)の類題です。
実際のセンター試験では,
「あたためた金属を熱量計に入れる直前に,水の一部が断熱材の外部にこぼれてしまった」
としています(こぼすなよ!)。
「それでも測定を続けた場合」
と続きます(続けるなよ!)
「問題」のための問題行動です(笑) pic.twitter.com/KTFfjqMUMF
【鉛の比熱測定】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 29, 2020
(解答・解説)
このタイプの問題が増えると思います。
私はこれを
「問題をつくるために問題を起こす問題」とよんでいます。
化学の陽イオン分析で
「試薬ビンのラベルをはがしてしまった」系の出題があります。
それを見るたびに私は,
「はがすなよ!」とツッコミを入れます(笑) pic.twitter.com/ncHruaHgve
「ノーヒントだと…」
とりあえず私からは「ノーヒント」です。解いてみてください!
【ノーヒントだと…】
— マナ物理 (@manabu_physics) August 7, 2020
添付ファイル(3枚)の問題を解いてください。
力学&熱力学の問題です。
大した計算はしません。気軽に解いてください。
題名のことは気にせず(笑) pic.twitter.com/VzRzEpCA2I
【ノーヒントだと…】
— マナ物理 (@manabu_physics) August 7, 2020
→ 7割の生徒が間違う問題
(解答・解説)
そうなんです。みんな間違ってしまうのです。
「1往復する間に2回接触する」ことに気づかないのです(笑)
“慎重度” を測る問題として私は利用しています。 pic.twitter.com/JJdIQEicSZ
以上です。
マナブ