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【高校物理】磁気分野⑨「電気振動」        <大幅増補改訂>

< 電気振動 >
コンデンサを充電し,コイルに接続すると,コイルに電流が流れはじめる。
しかし,コイルの自己誘導のため,電流は急激には増加しない。
やがて,電流が最大になった(磁気エネルギーが最大の)とき,
電流変化は0
となり,自己誘導による起電力も0となる。
このとき,コンデンサの電荷も0となる(静電エネルギー0)。
その後も,自己誘導によって,電流は同じ向きに流れ続け,
コンデンサの極板は,はじめと逆の符号の電荷を持ち始める。
電流が次第に減少して0となる(磁気エネルギーが0となる)とき,
極板の電荷は最大(静電エネルギーも最大)
となり,
この瞬間から,逆向きの電流が流れ始める。
このようにして,交互に向きの変わる電流が回路を流れる。

電気振動と力学の単振動を比較して,
電気振動の周期や電流のふるまいについて考察する問題が増えています。
電気回路について君たちが立てられる式は,
「キルヒホッフ第2法則(回路方程式)」
ですが,
この式は,単振動の運動方程式と対応させることができます。
詳しくは,実際に入試問題を解いていく過程でみてもらいますが,
さらに踏み込んだ議論は後ほど,「特講 振動」で行いたいと思います


【電気振動1】(講義1・例題)
 電気振動の基本(LC振動回路)

「電気振動」は力学の「単振動」と同じように,
微分方程式
(回路方程式)が解ける現象です
特に「LC振動回路」は,
電流が振動しているときに回路内に直流電源がなければ,
(通常)コンデンサに蓄えられる電荷の振動中心は0で,
「摩擦のない水平面上での単振動」と同じ形の微分方程式となります。
(詳しくは後ほど,「特講 振動」で説明します。)


【電気振動2】(練習問題1) 電気振動
 順天堂大学(2019年) 過去問解説

「電気振動」は,大学入試では様々な形で出題されます。
ここで,典型的な問題を解いておきましょう。
解説動画(YouTube)をつくっています
電気振動の基本から解説しています。是非,観てください!

解説は,下の動画で。基本事項から解説しています。
チャンネル登録よろしくお願いします!


【電気振動3】(練習問題2)
 単振動と振動電流
 東京工業大学(2012年) 過去問(改題)解説

運動方程式や回路方程式の微分方程式の一般解をおき,
初期条件から定数を決定していく機械的な作業ができるようになろう。
電流や電荷の時間変化は,±sin型,±cos型となることが多いのですが,
中途半端なところから振動が始まるときは,
一般解をおいて,定数を決定していく必要があります。


【電気振動4】(練習問題3)
 電気振動と単振動との対応関係
 岐阜大学医学部(2008年)後期日程
 過去問解説

二つの物理現象の共通点を見つけ,
対応関係から新たな関係式を類推するという問題が増えています。
この問題は,「誤差が生じる原因を考えさせる問題」でもあります。
このタイプの問題については,少し訓練が必要だと思います。


【電気振動5】(練習問題4)
 スイッチ切り替え後の電流値
 大分大学医学部(2020年) 過去問解説

スイッチ切り替え時のコンデンサ,コイルのふるまいについて
この問題で確認していきましょう。
電気振動のとき,複数のコンデンサ,コイルが回路内にある場合,
「直列接続」なのか「並列接続」なのかを,
形だけで判断してもいいのでしょうか。
合成容量・合成インダクタンスの公式は,
 電気振動において,有効なのでしょうか?

それを調べるには…そうです。キルヒホッフの法則です。


【電気振動6】(練習問題5)
 コイルとコンデンサの回路方程式
 お茶の水女子大学理学部(2017年)
 過去問解説

エネルギー収支の式(エネルギー保存則)ではなく,
「回路方程式(キルヒホッフ第2法則)を立てろ」という問題です。
回路方程式のことを「運動方程式」とよんでいます(笑)
単振動と電気振動は,微分方程式の形の上では同じものなので,
同じように解けるということを前面に押し出した誘導があります。

よく前期日程でこの問題を出題できたなぁ,というのが私の感想です。
ただし,この問題を解くのは,理学部物理学科の受験生のみ。
なるほど,そらそうやろねぇ。


【電気振動7】(練習問題6)
 振動電流→永久電流
 東京大学後期日程(2001年) 過去問解説

東京大学後期日程(2001年)の問題です。
試験時間的には50分かけていいのですが,30分で解きたいところ。
「電気振動」から,大電流を流し続けるための回路を考察させる問題
と展開していきます。
私の好きな問題の一つ。

Ⅰ(B)では,単位について少し詳しく解説しておきました。
「次元解析」や「単位」はこれからネラわれる可能性が高い
と私は見ています。
Ⅱ(A)では,コンデンサが並列であることから周期が簡単に出せますが,
キルヒホッフ第2法則から導出してみました。
(そもそも並列接続と考えてもいいのか,という疑問も解決します!)

解説動画をつくりました。是非!


以上です! お疲れさまでした。
 
マナブ

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