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【高校物理】磁気分野⑥ 「教科書も間違えている」(増補改訂)
【教科書も間違えている1】
(問題のある問題)大阪市立大学(1995年)
過去問解説 & マナブ問題
(ブランコの加速についての考察)
よく見かける問題で,特に疑問にも思わない人がほとんどでしょうが,
ホール効果を理解した人であれば,
以下の問題が「問題のある問題」であることが分かります。
「教科書に書いてあることが間違えている」
ということが明らかになるのです。
どこに問題あるのか,いっしょに考えていきましょう!
【教科書も間違えている1】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 6, 2021
(問題のある問題&解答)
添付ファイル(3枚)は大阪市大(1995年)の過去問。電流が磁場から受ける力(#アンペール力)を求める問題。よく見かける問題で,特に疑問にも思わない人がほとんどでしょうが,これが「問題のある問題」なのです。どこに問題点があるのでしょうか? pic.twitter.com/sxaOd7fhDo
大阪市立大学の問題の途中,「ブランコの加速」について問われています。「ブランコ」については,加速原理を後ほど
(力学分野の問題として)詳しく語る予定ですが,
手始めにその導入としてこんな問題をつくりました。
近似式の知識が必要になります。トライしてみてください!
【教科書も間違えている1】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 6, 2021
(マナブ問題「問マ」&解答)
「ブランコ問題」って好きなんですよね…ということで,大阪市大の問題に勝手に「力学問題」をつけ加えました! 近似式を用いる,マジメな問題。子どものブランコの補助をしている保護者はこの結果を踏まえて子どもの背中を押すべきです(笑) pic.twitter.com/LGmFYrn7YG
私がどこにひっかかっているのか,問1の解説に書いておきました。
問マ(マナブ問題)を解いた結果を見ると,
もっとも効率の良いブランコを加速するタイミングを
我々(子どもたちも!)が知っているということに驚きます。
【教科書も間違えている1】(解説)
— マナ物理 (@manabu_physics) June 6, 2021
この問題を取り上げているどの問題集を見てもこの問題の問題点には言及していません。「ホール効果」を学んだ者であれば,問1の問題の矛盾点に気づく可能性があります…。ヒントは「ホール電圧」。詳しくは次回の「検討編」で述べます。もう少しお待ちください。 pic.twitter.com/4OwmxGbzfs
【教科書も間違えている2】
(問題のある問題&解答&現状 そして 検討)
何が問題なのかを整理しておきます。
● 電流が磁場から受ける力(アンペール力,電磁力)を考えるとき,
磁束密度は導線(金側棒)の周りの透磁率を用いて求めます。
通常は真空の透磁率。
● 自由電子が受けるローレンツ力を考えるとき,
自由電子は導線(金属棒)の中にあるので,
本来であればその導線を構成している物質の透磁率を
使用しなければならないはずなのですが,
教科書(参考書)ではなぜか,真空の透磁率を用いています。
● 2つ目のツイートの添付ファイルを見ると,
自由電子に働くローレンツ力によって,
アンペール力が生じるのではなく,「ホール電圧」が生じます。
では,アンペール力の源はどこにあるのでしょうか?
【教科書も間違えている2】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 7, 2021
(問題のある問題&解答&現状)
前回からの続きですが,前回のものを見ていなくても問題点が分かるようにしました。添付ファイルは大阪市大(1995年)の過去問&解答とよばれるもの。ローレンツ力導入時の教科書の記載内容も示しました。どこが問題か 考えていきましょう。 pic.twitter.com/xBOgSnOJvz
下のツイートで紹介している書籍は2013年に出版されたものです。
定価は2700円(+税)です。
絶版ですが,amazon などで中古で安価で手に入れられるようです
(2021年6月9日現在)。
小林香織さんの論文の他にも,
「日なたに置いた金属はなぜあんなに熱くなるのか?」(津村加奈さん)
「水の温度を聞き分けられるか」(伊知地直樹さん)
「変動する磁場はどのようにして金属を加熱するのか」(川田敬太さん)
など,タイトルを見ただけで確実に面白そうだ
と考えられるものがたくさんあります。
是非,手に入れて読んでみてください。
【教科書も間違えている2】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 7, 2021
(検討①)
書籍『ノーベル賞への第一歩 物理論文国際コンテスト 日本の高校生たちの挑戦』(監修:江沢洋)を是非!この中の小林香織さんの論文(2005/2006 佳作入選)は「電流が流れている導体に,周囲の磁場から働く力は,電子に働くローレンツ力の和だろうか?」です。 pic.twitter.com/OBdyeTmxq6
どの教科書,参考書を見ても同じ説明でうんざりします…。
「ローレンツ力」の直後に「ホール効果」を配置しているものも多く,
もしかしたら確信犯なのかな? と勘繰ったりしています(笑)
【教科書も間違えている2】
— マナ物理 (@manabu_physics) June 7, 2021
(検討②)
自由電子に働くローレンツ力の和ではアンペール力は説明できません。どの教科書・参考書を見ても同じ説明だったのですが,少し異なる視点で述べているSEGの参考書の説明を最後に載せておきました(ただし,残念ながら透磁率についての言及はありません)。 pic.twitter.com/VXfecVdWt2
【もう1問解いてほしい問題があります】
磁気分野③「電流が磁場から受ける力」の中で解説をした
徳島大学(2015年)の過去問です。ここまで読み進めた君たちなら,
最後の問5が出題ミスであることが分かると思います。
問5については,出題者が欲しているだろう解答を示しましたが,
この問題はカットすべきだと個人的には考えています。
【電流が磁場から受ける力3】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 12, 2021
(練習問題)その2
添付ファイル(4枚)は徳島大(2015年)の過去問。世界初のモータ「ファラデーモータ」の原理を題材にした問題。今年はモータ発明200周年!
50字の記述や力の説明など,解答しづらいでしょうね。なお,予め言っておきますが,最後の問5は出題ミスです。 pic.twitter.com/6QVK77X5Yn
【電流が磁場から受ける力3】
— マナ物理 (@manabu_physics) May 12, 2021
(解答・解説)
図2と図3はひとつの回路にすることができます。2つの現象を同時に見られるのです。美しいなぁ…。
注意:ローレンツ力を足し合わせても,「アンペールの力」にはなりません。「ホール効果」を学習したあとに詳しく述べます。もう少しお待ちください。 pic.twitter.com/h77Dk97zrC
【アンペール力をつかった手品】
(ハンドパワー)
最後にハンドパワーをお見せしましょう!
遊び(もしくはマジック)でこの実験を紹介する人は多いのですが,
残念ながら動く原理まで詳しく述べている人はほとんどいません。
いきなり解説をみるのではなく,現象を見て,
まずは自分なりの考察をしてみましょう。