【高校物理】熱力学分野⑥ 「熱力学総復習」
【熱力学総復習 その1】
東京大学(2009年) 過去問解説
熱力学の総復習をしていきます。
「その1」をどの問題にしようか,と考えた結果,
この 2009年の東京大学 の問題を選びました。
理由はツイートを見てもらえれば分かると思いますが,
”衝撃” を受けたからです。
この問題を解き終わったとき,
「これからの物理入試問題がどう変化していくのか」
を語る上で重要な問題になる,と私は直感的に思ったのでした。
【熱力学総復習 その2】
河合塾全統記述模試(2005年) 過去問解説
深さ 𝑳 での液体の圧力の式については,私は公式と考えています。
ここで導出をしておきます。
では,この「公式」を使って,下の問題を解いてみてください。
(使わなくても解けますが,注意が必要です)
【熱力学総復習 その3】
新潟大学(2013年) 過去問解説
「比熱,熱容量,熱量の関係式」は,
通常,熱力学のはじめ(物理基礎)で登場しますが,
私自身は,熱力学第1法則と同時に(物理で)教えたいです。
熱力学のはじめには「気体分子運動論」をもってきて,
力学とのつながりを見せたいと考えています。
熱容量については,単位および物理的な意味も含めて押さえておこう。
新潟大の問題でその扱いに慣れてください。
追加問題は,力学との融合問題です。慎重に解いてください。
リツイートした「気体固体併存タイプ」も併せて解いてみてください。
(ツイートの下に,PDFファイルも添付しておきました。)
【熱力学総復習 その4】
千葉大学(2012年) 過去問解説
気体分子運動論。
どの教科書を見ても「立方体容器」で説明をしていますが,
私は「球形容器」から入るのがいいと感じています。
立方体容器だと,「等方性」「エネルギー等分配則」など,
「圧力」を求める前に語らなければならないことが満載だからです。
球形容器 ⇒ 立方体容器 ⇒ 壁が動く(断熱膨張) ⇒ 熱力学第1法則
が最近の私の講義の流れです。
【熱力学総復習 その5】
進研総合学力テスト(1989年) 過去問解説
思考の途中経過が分からない(どこで間違えたか分からない)問題
は私自身,あまり好きではありませんが,
そういう問題が出題されることがあります。
ツイートではこの問題を「ぞんざいな」と表現しましたが,
今でもこのタイプの問題はたくさんみかけます。
2つめのツイートで述べた「圧力差」について,
上側と下側の圧力を直接測るのは難しいですが,
「浮力」を測ることで,逆に(間接的に)「圧力差」が分かる
という事実に,私はものすごく興味がひかれます。
【熱力学総復習 その6】
新潟大学(2010年) 過去問解説
本来は,
気体分子運動論から熱力学第1法則へとつなげるのですが,
それはこのツイートの後に,
PDFファイル「気体の分子運動論 その2」に記載しておきました。
参考にしてください。
[1] は,熱力学第1法則を再確認する問題です。
定積モル比熱,定圧モル比熱,内部エネルギー,…
これらの関係式を(その意味も含めて)述べることができますか?
[2] は,液体中の容器の中の気体のふるまいに関する問題です。
新潟大学は問題文にきちんと
「気体の質量は無視できる」と書いています。⇒ その2の解説参照
【熱力学総復習 その7】
京都大学(1990年) 過去問解説
断熱変化の関係式(ポアソンの式)の使い方は,
ボイルの法則,シャルルの法則,ボイル・シャルルの法則などと同じ。
状態変化(断熱変化)の前と後とで,
圧力(または温度)と体積の値を代入して等式をつくればいい。
「マイヤーの関係」および「ポアソンの式」に関しては,
最後のツイートに,導出をしておきました。
また,PDFファイルも添付しておいたので,参考にしてください。
【熱力学総復習 その8】
静岡大学(2007年) 過去問解説
ピストンが2つある気体の状態変化。
今回はどちらのピストンも滑らかに動くので,
常に力のつり合いが成り立っています。
すなわち,「ゆっくり加熱」→『定圧変化』となります。
ツイート内では,「問題の問い方」に言及しています。
この辺の議論をあいまいにしている人があまりにも多い,
というのが私の感想です。
「気体のした仕事」をどうとらえるのか,
いや,受験生にどうとらえさせたいのか,
に私は注目しています。
個人的には,
初めから「力学的エネルギーの変化量」に注目させるのではなく,
「気体のした仕事」をきちんと求めさせたい。
ツイート内でも言及している「信州大学の熱力学問題」では,
わざわざ 𝒑-𝑽 グラフを描かせているのに,
その気体のした仕事は求めさせていないのです。
この姿勢は間違っていると私は思います。
【熱力学総復習 その9】
早稲田大学理工学部(1996年) 過去問解説
この問題を解くためにどこまで知っておかなければならないか,
というのは議論が分かれるところだと思いますが,
最近の入試問題を見ていると,
「マイヤーの関係」「比熱比」「ポアソンの式」
を知っていること前提でつくられたものが多くなったと感じます。
最後は「熱効率」です。
熱機関は,この熱効率を上げるために改良が重ねられてきました。
その過程で,熱力学も発展してきました。
熱効率に関連して,【解説】では,
「熱力学第2法則」や「永久機関」についても言及しておきました。
以上です。
マナブ