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【病理学】銀液を使った染色法と大事なポイントのまとめ前編
このアカウントでは二級病理検査士や臨床検査技師の資格取得などを目標にされている方に向けて、ゴロなど混じえながらわかりやすさを意識して情報を発信しています。
今回は銀液を使った染色法についてのまとめになります。
私個人が過去問を解いてみて、ここは重要だと感じたポイントや少し頭に入れて置くだけで解けるような間違えたら勿体ないと感じる点などを記載していきます。
【銀液を使った染色法一覧】
▶渡辺の鍍銀法
▶PAM染色
▶グロコット染色
▶グリメリウス染色
▶フォンタナ・マッソン染色
▶ワルチン・スターリー染色
▶コッサ反応
▶ボディアン染色
▶カハール染色
【ゴロ:ググろう、渡辺のカレーパン、酵母でふわふわ】
ググろう(グロコット染色・グリメリウス染色)渡辺の(渡辺の鍍銀法)カレー(カハール染色)パン(PAM染色)酵母(コッサ反応・ボディアン染色)でふわ(フォンタナ・マッソン染色)ふわ(ワルチン・スターリー染色)
銀液を使った主な染色法は9つ、太文字にしている4つは特に重要です。
長くなるので、今回は前編として渡辺の鍍銀法、PAM染色、グロコット染色、グリメリウス染色についてまとめていきます。
【渡辺の鍍銀法のポイント】
▶細網線維を染める染色法
▶細網線維を銀液により黒色に染める
▶肝硬変などの肝疾患で組織構造を診るのに用いられる
渡辺の鍍銀法における染色工程など詳しい解説ついてはこちらの記事も参照ください。
渡辺の鍍銀法で必ず覚えておきたいのはアンモニア銀液を使っていることです。アンモニア銀液を使う染色法は3つあります。
【アンモニア銀液を使う染色法】
▶渡辺の鍍銀法
▶フォンタナ・マッソン染色
▶カハール染色
【ゴロ:アンカーが不満な渡辺】
アン(アンモニア銀液)カー(カハール染色)が不満(フォンタナ・マッソン染色)な渡辺(渡辺の鍍銀法)
【PAM染色のポイント】
▶腎臓の糸球体基底膜の観察によく用いられる。
▶基底膜や細網線維、メサンギウム細胞を黒色に染める。
▶過ヨウ素酸を使って酸化させる。
▶加温が必要な染色
PAM染色の染色態度は
腎糸球体の基底膜や細網線維:メセナミン銀液で黒色
細胞の核:ヘマトキシリンで青紫色
細胞質:エオジンで赤~桃色 となります。
第61回国試AM53の問題でPAM染色の図が出てますので確認したことがない方は下のURLからチェックしてみてください。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp150511-05.html
ちなみにPAM染色は過ヨウ素酸メセナミン銀染色とも言います。
過ヨウ素酸(Periodic Acid )の頭文字とメセナミン銀の頭文字Mを組み合わせてPAM染色と呼ばれています。
似たような名前で多糖類の染色法のPAS反応がありますが、こちらも過ヨウ素酸(PA)を使っていて、シッフ試薬(S)で反応させることから頭文字を取ってPAS反応と呼ばれています。
少し話が逸れましたが、メセナミン銀液を使った染色法も確認しましょう。
【メセナミン銀液を使う染色法】
▶PAM染色
▶グロコット染色
【ゴロ:見た目、グロいパンツ】
見た目(メセナミン銀液)グロい(グロコット染色)パンツ(PAM染色)
メセナミン銀液を使う代表的染色法は二つだけなので、適当なゴロで覚えてしまうといいと思います(笑)
【グロコット染色のポイント】
▶真菌の染色に最も有効な染色法
▶ニューモシスチスやアスペルギルスなど黒色に染める
▶真菌に含まれる多糖をクロム酸で酸化する
▶加温が必要な染色法
真菌を検出する染色法といえばグロコット染色です。様々な真菌を染め出すことが出来るので、検査室でもオーダーがしばしば出てますね。
【染め出せる代表的な真菌や細菌】
▶ニューモシスチス・イロベチー(カリニ)
▶アスペルギルス
▶カンジダ
▶ムーコル
▶放線菌
▶ノカルジア など
第61回PM54と第64回PM53のグロコット染色で真菌を染めた図が出題されています。真菌が黒に染まって、背景はライト緑で緑色に染まります。
(ちなみに第61回がアスペルギルス、第64回は酵母様真菌がいるのと菌糸にくびれがあるのでカンジダかと思われます。)
【グリメリウス染色のポイント】
▶内分泌細胞の染色法
▶膵ランゲルハンス島α細胞の染色が代表的
▶副腎髄質細胞や消化管の銀親和細胞なども染色
▶加温が必要な染色法
膵臓のα細胞を染める染色法といえばグリメリウス染色です。この染色では硝酸銀を使って、好銀性を持つ細胞や細胞内の神経分泌顆粒を黒色に染めます。
【グリメリウス染色で検索する対象】
▶膵ランゲルハンス島α細胞
▶副腎髄質細胞
▶消化管の銀親和細胞(ガストリン,ヒスタミンなど産生)
▶下垂体前葉細胞(ACTH,FSH,LHなど分泌)
▶甲状腺C細胞(カルシトニン分泌)
ちなみにですが硝酸銀を使う鍍銀染色法はボディアン染色以外の全てが当てはまります。
▶アンモニア銀=硝酸銀+アンモニア+水酸化カリウム
▶メセナミン銀=硝酸銀+ホウ砂+ヘキサメチレンテトラミン
どちらも硝酸銀をベースにして銀液を作製しています。
アンモニア銀液とメセナミン銀液を使った染色法ゴロなどで覚えておけば、「硝酸銀を使った染色法はどれか」といった問題もなんなく答えられるようになると思います。
銀液染色の前編はここまでです、長くなりましたがお疲れ様でした。
わかりやすかったり、ためになったよって方、スキボタンやフォローいただけると嬉しいです。これからもコツコツ配信していきます。一緒に頑張っていきましょう。