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【臨床検査技師国家試験対策】鍍銀染色に関する練習問題

 このアカウントでは二級病理検査士や臨床検査技師の資格取得などを目標にされている方に向けて、ゴロなどを混じえながらわかりやすさを意識して情報を発信しています。

 先日、銀液を使った染色法のまとめ記事を前編後編に分けてまとめました。今回はまとめた内容の中から練習問題を作ってみました。
全ての問題に簡単な解説をつけています。鍍銀染色以外の選択肢の解説も付けているので、レベルアップに役立てて頂けると幸いです。


Q1.銀液を使った染色法はどれか、二つ選べ。

1. ズダン染色
2. グリメリウス染色
3. PTAH染色
4. コッサ反応
5. オルセイン染色



 「答え2.4」
【解説】
 1のズダン染色は脂質の染色法の一つです。脂質の染色では凍結切片を使い、アルコール系の固定液は使うことが出来ません
 3のPTAH染色はリンタングステン酸ヘマトキシリン:PhosphoTungstic Acid Hematoxylin の事です。核や繊維素、筋線維、横紋筋などを青藍色に染める染色法です。
 5のオルセイン染色はHBs抗原の検出が出来ます。また、弾性線維の染色法の一つでもあります。


Q2.アンモニア銀を使った染色法はどれか、二つ選べ。

1. フォンタナ・マッソン染色
2. グロコット染色
3. PAM染色
4. グリメリウス染色
5. カハール染色



 「答え1.5」
【解説】
 【アンモニア銀液を使った染色法のゴロ合わせ】
→ アンカーが不満な渡辺 染色法3種
 ▶渡辺の鍍銀法
 ▶フォンタナ・マッソン染色
 ▶カハール染色

 【メセナミン銀液を使った染色法のゴロ合わせ】
→ 見た目、グロいパンツ 染色法2種
 ▶グロコット染色
 ▶PAM染色


Q3.硝酸銀を使った染色法はどれか。

1. フォイルゲン反応
2. ボディアン染色
3. 渡辺の鍍銀法
4. シュモール染色
5. チール・ネルゼン染色



 「答え3」
【解説】
 1のフォイルゲン反応はDNAの検出、5のチール・ネルゼン染色は結核菌などの抗酸菌を検出する染色法です。どちらも塩基性のフクシンを使用しています。
 3のシュモール染色はフェリシアン化カリウムを使って主にリポフスチンを検出します。
 【リポフスチンの検出法一覧】
 ▶シュモール染色 → 青色
 ▶PAS反応 → 赤紫色
 ▶フォンタナ・マッソン染色 → 黒色
 ▶チール・ネルゼン染色 → 赤色

 2のボディアン染色に使用するプロテイン銀には硝酸銀は含まれていません

Q4.ヘリコバクターピロリ菌を検出する染色法はどれか、二つ選べ。

1. グロコット染色
2. アルシアン青染色
3. トルイジン青染色
4. ギムザ染色
5. ワルチン・スターリー染色



 「答え4.5」
【解説】
 1のグロコット染色は真菌を染める染色法です。メセナミン銀で真菌類を黒色に、ライト緑で背景を緑色に染めます。
 2アルシアン青と3トルイジン青は酸性粘液多糖類を染める染色法です。
トルイジン青は軟骨基質や肥満細胞アミロイドをメタクロマジーで赤紫色に染め出すことが出来ます。
 

Q5.硝酸銀を使わない染色法はどれか。

1. PAM染色
2. グリメリウス染色
3. カハール染色
4. ボディアン染色
5. 渡辺の鍍銀法



 「答え4」
【解説】
 ボディアン染色で使用するプロテイン銀以外の銀液は、硝酸銀を元に調整しています。

 ▶アンモニア銀=硝酸銀+アンモニア+水酸化カリウム
 ▶メセナミン銀=硝酸銀+ホウ砂+ヘキサメチレンテトラミン

Q6.過ヨウ素酸を使った染色法はどれか、二つ選べ。

1. PAM染色
2. PAS反応
3. PTAH染色
4. PAP法
5. Papanicolaou染色



 「答え1.2」
【解説】
 過ヨウ素酸は英語で Periodic Acid と言います。PAS反応では塩基性フクシンであるシッフ試薬)を使い、PAM染色ではメセナミン銀)を使います。過ヨウ素酸で染色対象を酸化するまでの工程は同じです。
 4のPAP法はペルオキシダーゼを用いた酵素抗体法の一つです。

Q7.メセナミン銀に含まれる成分はどれか、二つ選べ。

1. カリウムミョウバン
2. ホウ砂
3. ヘキサメチレンテトラミン
4. 水酸化カリウム
5. 氷酢酸



 「答え2.3」
【解説】
 【メセナミン銀の調整】
 ▶硝酸銀
 ▶ヘキサメチレンテトラミン
 ▶ホウ砂

1のカリウムミョウバンはヘマトキシリンの調整に必要です。
 
 【マイヤーヘマトキシリンの組成]

 ▶︎ヨウ素酸ナトリウム(酸化剤)
 ▶︎カリウムミョウバン(媒染剤)
 ▶︎抱水クロラール(防腐剤)
 ▶︎クエン酸(PH調整)

Q8.誤っている組み合わせはどれか。

1. 渡辺の鍍銀法 - 細網線維
2. ボディアン染色 - アルツハイマー原線維変化
3. グロコット染色 - 膵ランゲルハンスα細胞
4. コッサ反応 - カルシウム塩 
5. フォンタナ・マッソン染色 - 悪性黒色腫



 「答え3」
【解説】
 膵ランゲルハンス島α細胞を染める染色法はグリメリウス染色です。α細胞からはグルカゴンが分泌されますね。

 【グリメリウス染色の染色対象】

 ▶膵ランゲルハンス島α細胞
 ▶副腎髄質細胞
 ▶消化管の銀親和細胞(ガストリン,ヒスタミンなど産生)
 ▶下垂体前葉細胞(ACTH,FSH,LHなど分泌)
 ▶甲状腺C細胞(カルシトニン分泌)

 ちなみにゴモリのアルデヒド・フクシン染色では、インスリンを分泌する膵ランゲルハンス島β細胞を染める事が出来ます。
アルデヒド・フクシン染色は弾性線維染色の一つです。


 8問用意してみましたが、すんなり解けましたか?
間違えてしまった問題がありましたら、そのままにせず記事や教科書を確認して今のうちに記憶を固めていきましょう!お疲れ様でした^^

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