【病理学】ミクロトームについて
このアカウントでは二級病理検査士や臨床検査技師の資格取得を目標にされている方に向けて、ゴロや表など交えながらわかりやすさを意識して情報を発信しています。
今回は病理組織検査において日常的に使用されている薄切機ミクロトームについてまとめていきたいと思います。
【ミクロトームとは】
胃や大腸などの組織片を光学顕微鏡で観察できる厚さ2~3μmに切る機器のことをミクロトームといいます。
ミクロトームには滑走式と回転式があり、主に滑走式ではユング式ミクロトーム、回転式ではミノー型のミクロトームが使用されています。
【滑走式ミクロトーム】
▶ユング型
▶シャンツェ型
▶テトランダー型
滑走式では左手でブロック固定台の高さを少しずつ変え、ミクロトームの刀を固定している台を右手で前後に往復させることで組織片を薄く切ることができます。
【ゴロ:滑走するけど、許して!】
滑走(滑走式ミクロトーム)するけど、ゆる(ユング型)し(シャンツェ型)て(テトランダー型)
【回転式ミクロトーム】
▶ミノー型
▶ザルトリウス型
回転式は主に凍結切片の薄切に使われています。ミクロトームの刀が垂直に固定されていて、右側にあるハンドル回して、ブロック固定台を上下運動させることで薄切することができます。
手術中に悪性腫瘍が取り切れているかの迅速診断、酵素や免疫組織化学標本作製など行う際に使われていますね。
【ゴロ:ミノザウルス、回転!】
ミノ(ミノー型)ザウルス(ザルトリウス型)、回転!(回転式)
どちらかのゴロを覚えておいたら国家試験で取りこぼすことはなくなるかと思います。
【ミクロトームの引き角】
ミクロトーム刀の滑走方向と取り付けたミクロトームの刀との角度の事です。滑走式ミクロトームでは基本的に45度前後に合わせて薄切しています。
わかりにくいと思いますので、下記の図をミクロトームを真上から見ているとイメージして参考にしてください。
【ミクロトームの逃げ角】
逃げ角はブロックの表面とミクロトームの刃下面との角度を指します。
適切な角度は3°~5°とされています。
ミクロトームの替え刃はくさび形(先端ほどVに近い形で研ぎ澄まされている)をしているので、逃げ角調節の際は目盛りを10前後に合わせるとちょうど良いようです。
今回はミクロトームについてまとめてみました。
覚えることはあまり多くないので、国家試験で出題された際には確実に正解できるように対策しておきましょう。
【練習問題】
Q.ミクロトームについて正しいものはどれか
1.ザルトリウス型は滑走式である
2.逃げ角は45度に合わせるとよい
3.凍結切片作製では回転式が用いられる
4.引き角は90度にする
5.クロスローラーベアリングシステムは回転式である
答え.3
【解説】
ザルトリウス型は回転式でしたね。
引き角は45°、逃げ角は3~5°が適正です。
クロスローラーベアリングシステムのミクロトームは私の検査室でも使用していますが、滑走式に適用されています。