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【病理学】神経組織の染色法
このアカウントでは二級病理検査士や臨床検査技師の資格取得を目標にされている方に向けて、ゴロや表など交えながらわかりやすさを意識して情報を発信しています。
今回は神経組織の染色法についてまとめていきたいと思います。
国家試験だと頻出ではないですが、二級病理臨床検査試験では必ず必要になる項目なので気合い入れていきましょう。
【主な神経組織染色法】
▶ニッスル染色
▶クリューバー・バレラ染色
▶ボディアン染色
▶ホルツァー染色
▶ルクソールファースト青・HE染色
【ゴロ:真剣にボク肉掘る】
真剣に(神経組織)ボ(ボディアン)ク(クリューバー・バレラ染色)にく(ニッスル染色)ホ(ホルツァー染色)ル(ルクソールファースト青・HE染色)
主に覚えておきたい神経組織染色は5つです。強引なゴロですが参考になればと思います。一つ一つの染色法を見ていきましょう。
【ニッスル染色について】
神経組織は神経細胞(ニューロン)と神経膠細胞(グリア)から形成されます。
ニューロンは細胞質にニッスル顆粒や神経原線維含んでいて、グリアは神経膠線維を含んでいます。
ニッスル染色を施すことで、ニッスル顆粒の消失やニューロンの変性・脱落などの程度を観察することが可能になります。
▶染色液:クレシル紫
▶染色態度:ニッスル小体、核膜、ニューロン、グリアなどが赤紫色
その他トルイジン青やクリスタル紫などの塩基性の色素でも染色可能です。
【クリューバー・バレラ染色について】
クリューバー・バレラ染色では髄鞘とニッスル小体を同時に染め出すことができます。髄鞘の微細な構造まで染色可能なので、神経線維の脱髄部位の確認や神経鞘腫の診断などに有用な染色法です。
▶染色液① ルクソール・ファースト青(アルコール含む)
▶染色態度:髄鞘が青色
▶染色液② クレシル紫
▶染色態度:ニッスル小体、核膜、ニューロン、グリアなどが赤紫色
小脳にクリューバー・バレラ染色を施すと主に髄鞘がみられる顆粒層(青色)とプルキンエ細胞層(赤紫色)、分子層の三層構造をくっきり観察することが出来ます。
【ボディアン染色について】
ボディアン染色は神経原線維の染色法です。神経原線維は増加・減少しますが、特に老化やアルツハイマー病、ピック病などで好銀性の粗大な線維が細胞内にみられるようになります(アルツハイマー原線維変化)。
神経線維の変性の観察に用いられています。
染色液:プロテイン銀
染色態度:神経原線維、軸索、樹状突起、神経終末など黒色~黒褐色
ボディアン染色では還元液であるヒドロキノン(ハイドロキノン)を使うのが特徴です。還元液ヒドロキノンは硝酸銀を使うグリメリウス染色やワルチン・スターリ染色でも使用されます。
【還元液ヒドロキノンを使う染色法】
▶ボディアン染色
▶グリメリウス染色
▶ワルチン・スタリー染色
好銀性はあるけど還元能はない染色対象に使われます。神経原線維や膵ランゲルハンス島A細胞、ピロリ菌などが該当します。
【ホルツァー染色について】
ホルツァー染色は神経膠線維の染色法です。神経膠線維は星状膠細胞によって産生されるのですが、脳の慢性疾患の場合に特徴的な膠線維の増生(グリオーシス)がみられるのでこの染色法が施されます。
染色液:クリスタル紫
染色態度:神経膠線維、星状膠細胞の突起を青紫色
クリスタル紫で神経膠線維を過剰に染めておいて、アニリン・クロロホルム液で適度に分別することで染め分けます。
【ルクソールファースト青・HE染色について】
クリューバー・バレラ染色において後染色のクレシル紫を使わずにHE染色を実施することが出来ます。共染することなく綺麗なコントラストの標本を得られるのが特徴です。その他、疾患の検索にPAS反応、鍍銀染色、PTAH染色などを重染色として施すことが出来ます。
今回は神経組織の染色法についてまとめましたが、いかがでしたか?
膠原線維や弾性線維の特殊染色と比べたらマイナーなので覚えにくい印象を持ったかもしれません。少しずつ記憶に残して本番で花開くように頑張っていきましょうね。