【病理学】パパニコロウ染色について
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今回はパパニコロウ染色についてまとめていきます。パパニコロウ染色は細胞診で一般染色として行われている染色法です。
国家試験ではパパニコロウ染色で使用する染色液の組成などが問われたりすることがあります。確認していきましょう。
【パパニコロウ染色の特徴】
▶核クロマチンの染色性が良い
▶扁平上皮系細胞の分化度の違いでオレンジや緑に染め分けられる
▶細胞質の染まりに透明感があり、観察しやすい
▶婦人科、呼吸器、泌尿器、消化器、乳腺や甲状腺など幅広く染色可能
パパニコロウ染色では、オレンジG、エオジンY、ライト緑と3種類の分子量の異なる酸性色素を使っています。
細胞質の構造が密(細かい)だと分子量の小さい色素で染まり、細胞質の構造が疎(荒い)だと分子量の大きい色素で染まります。
【パパニコロウ染色で使用する染色液】
▶ギルのヘマトキシリン
▶OG-6
▶EA-50
上から染色操作順に並べています。
ギルのヘマトキシリンは退行性のヘマトキシリンですので塩酸アルコールによる分別が必要です。他二つの染色液も詳しく見ていきましょう。
【OG-6の組成】
▶オレンジG水溶液
▶95%エタノール
▶リンタングステン酸
オレンジGは分子量が最も小さく、密で隙間の狭い細胞質をオレンジ~桃赤色に染める事が出来ます。
表層の扁平上皮細胞や扁平上皮癌の角化細胞などが染色対象となります。
【EA-50の組成】
▶ライト緑
▶エオジンY
▶ビスマルクブラウン
▶95%エタノール
▶リンタングステン酸
【ゴロ:ええ!?ライト君ビリ?】
ええ?(エオジンYと95%エタノール)ライト君(ライト緑)ビ(ビスマルクブラウン)リ(リンタングステン酸)
ライト緑は分子量が最も大きく、エオジンYはオレンジGとライト緑の中間の分子量です。EA-50によって密度の少ない疎な細胞質を緑~青緑色に染める事が出来ます(深層ほど来い青緑色)。
中層から深層の扁平上皮細胞や非角化型扁平上皮癌細胞が染色対象となります。その他、肺の腺細胞や中皮細胞、胃の印環癌細胞なども青緑色です。
二つの溶液にはリンタングステン酸(媒染剤)とエタノールが共通で配合されているのもポイントです。
【パパニコロウ染色まとめ】
最後に、パパニコロウ染色について表にまとめてみました。
【練習問題】
Q.OG-6とEA-50に共通して含まれているのはどれか、二つ選べ。
1.リンタングステン酸
2.氷酢酸
3.ビスマルクブラウン
4.エタノール
5.ヨウ素酸ナトリウム
答え1.4
【解説】
EA-50のゴロ合わせを覚えておくと、OG-6にもリンタングステン酸とエタノールが共通で含まれていると覚えておけばいいので楽かと思います。
2.5の氷酢酸とヨウ素酸ナトリウムは、ギルのヘマトキシリンに含まれています。
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