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【病理学】膠原線維染色について
このアカウントでは二級病理検査士や臨床検査技師の資格取得を目標にされている方に向けて、ゴロや表など交えながらわかりやすさを意識して情報を発信しています。
今回は膠原線維染色についてまとめていきたいと思います。
臨床検査技師の国家試験では、特殊染色の内容が多く出題されていますね。
個人的にそこまで難しい内容ではないと思うので、得点力アップのために理解しておきたいところです。今日もよろしくお願いします。
【膠原線維とは】
人体の組織は上皮組織、支持組織、筋組織、神経組織の4つに大別されます。膠原線維は4つの中で支持組織に分類される線維で、人の身体や組織、器官を支える働きを持っています。具体的には皮下や粘膜下組織、筋膜や腱、各器官の隙間を満たしたり、異物の処理や器官の修復作用なども行っています。
【膠原線維のポイント】
▶支持組織に分類
▶中胚葉由来
▶身体の支持、栄養供給、異物処理、修復などの働き
▶繊維芽細胞により合成される
支持組織の線維は物理的な性質や染色性の違いから、
膠原線維、弾性線維、細網(好銀)線維の3つに分けることが出来ます。
【主な膠原線維染色法】
▶アザン染色
▶マッソン・トリクローム染色
▶ワンギーソン染色
【ゴロ:高原でワンマンライブあざっす】
高原で(膠原線維)ワン(ワンギーソン染色)マン(マッソン・トリクローム)ライブあざっす(アザン染色)
膠原線維染色といえばこの三つです。
現場でも肝臓のグリソン鞘の観察にアザン染色を施したり、過去の国試図説問題でも腎小体を膠原線維染色で染めたものが出題されていますね。
一つ一つ確認していきましょう。
【アザン染色について】
▶膠原線維や細網線維をアニリン青で青色に染める
▶筋線維や核はアゾカルミンGにより赤色に染まる
▶赤血球はオレンジGで黄色に染まる。
膠原線維の細胞質は疎(荒い?)なので分子量の大きな染色液であるアニリン青に染まります。
核染色にヘマトキシリンを使わないので、細胞の核は青紫ではなく赤色に染まることに注意です。以下の表も参照ください。
【マッソン・トリクローム染色について】
▶膠原線維や細網線維をアニリン青で青色に染める
▶細胞質や筋線維を酸性フクシンで赤色に染める
▶細胞の核は鉄ヘマトキシリンで黒色に染める
マッソン・トリクローム染色は、基本的にアザン染色とほとんど同じ染色結果になります。両者の大きな違いは核の色で、アザンは赤色に対し、マッソンは黒色です。核の色でどちらの染色法か鑑別出来るので必ず覚えておきましょう。
【ワンギーソン染色について】
▶膠原線維を酸性フクシンで赤色に染める
▶細胞の核は鉄ヘマトキシリンで黒色に染める
▶筋線維をピクリン酸で黄色に染める
ワンギーソン染色は酸フクシンの退色が早いので単独で染色することはほとんどありません。
代表的な弾性線維染色であるエラスチカ・ワンギーソン染色において、弾性線維と膠原線維を同時に染め出す時に複合染色として利用されています。
今回は膠原線維の染色法についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?ワンギーソン液は酸性フクシンを利用している所も実は大事だったりします。塩基性フクシンを使った染色法については過去の記事でまとめているのでそちらも参考にしていただけると幸いです。
https://note.com/manabou_kokushi/n/nd93da0fb3f8c#eN8GA
【練習問題】
Q.膠原線維染色法と色調で正しい組み合わせはどれか。
1.ワンギーソン染色 - 青色
2.オルセイン染色 - 茶褐色
3.アザン染色 - 青色
4.マッソン・トリクローム染色 - 黄色
5.エラスチカ・ワンギーソン染色 - 青色
答え.3
【解説】
1.ワンギーソン染色は酸性フクシンで膠原線維を赤色に染めます。同様に5.のエラスチカ・ワンギーソン染色も、名前の通りワンギーソン染色をしていますので、膠原線維は赤色です。
2.のオルセイン染色は弾性線維やHBs抗原を茶褐色に染める染色法です。
4.マッソン・トリクローム染色で黄色に染まるのは赤血球です。
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