⑤受験戦略 最終的には人に頼ろう!
指標としての「他人に説明できるか」
前章では、自分の選択の理由を問い直すことで、受験戦略を軌道修正する方法について触れた。理由を問い直すことで多くの場合、受験における選択を将来に向けた一筋の道の上で行うことができる。
しかしながら、自分の頭の中すなわち主観では理由が明確であるように見えても、客観的には「その大学でなければならない理由になっていない」「その理由ならむしろこの入試方式の方が得策では?」といったこともある。そのような、主観では見えにくいブレの予兆を把握するために重要となるのが、「他人に説明できるか」という基準だ。
日々勉強に追われる忙しい受験生であっても、親や学校の先生、塾のチューターをしている大学生の先輩と、志望校や受験計画に関して話す時間は必ずある。そこで口に出して自分の考えを整理することで、発見した「軸」が本当に大丈夫で、受験が終わるまで自分の行動指針となってくれるものであるかどうか、再確認することができるのである。
体験談や判定も味方につけよう
受験における一般的なアドバイスとして、「一喜一憂するな」というものがある。これは本当にその通りで、自分に有利な情報を得たら目標を高く設定し、不利な情報を得たら目標を下げるような優柔不断さは非常に危険である。だからと言って、外部の情報を全く無視しろ、というのもまたもったいない話で、「賢者は歴史に学ぶ」というからには他者の経験から吸収できるところは吸収していきたいものだ。
ではどうすればよいのか。そこはやはり「軸」を活用する。「軸」は自分の一貫性を保つための基準だ。よってこの軸に一致する情報は取り入れればよいのである。例えば、どうしても経済学部に行きたい一橋大学志望の私が「ある先輩はFIT入試の合格を貰ってから一橋大学に合格した」という成功体験を聞いたときを考える。FIT入試は法学部の入試である。一般入試の併願として他大学の法学部を受験するのは悪くないが、急に推薦入試を取り入れるにあたり志望度の低い学部を受験するのは、打ち手としてあまりにコスパが悪く優先順位は低い。
このように「軸」がしっかり確立し、それにより情報の吟味ができれば怖いものはない。どんなに素晴らしい成功体験を聞こうが、模試の成績が芳しくなかろうが、自分の道をまっすぐ歩くことができるのである。
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