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なぜあの人は、楽しそうに勉強できるのか?

「勉強は、つまらなくて退屈だけど、やらなければいけないもの」

そんな固定概念が根底から覆されて、

「勉強は、自分にとって意味があるもので、楽しいこと」

と感じられるようになったら嬉しくないですか?
(超嬉しいよね?)

「なんのために勉強やっているんだろう?」と疑問に感じたことがあるならば

その疑問こそが、あなたを深遠で知的好奇心を満たしてくれる、楽しい「学び」へと導いてくれる足がかりになるはずです。

ということで、前回に引き続き、アーリック・ボーザー氏の『Learn Better』より、

よりよい学びをつくる6つのSTEPの最初の段階、「価値を見いだす」について改めて書いていこうと思います!

張り切って参りましょう(頑張れ私!)

【前回の記事↓】


結びつける

まず、前回の内容をざっくりまとめると…

人は熱中して取り組んでいるものは、自分にとって価値(意味)があると感じられるものである。課せられた課題に対しても、まずは自分とのつながりを見いだすことで、自分にとって価値や意味のあるものへと変えていくことができる。

ということで、そのためには、自分に次のような問いかけをすることが大切であると。

「この学ぶ対象は私にとってどう価値があるのか?」
「どうすればもっと自分に関連性があるようにできるのか?」
「この知識を自分の生活にどう活用できるのか?」

ここで大切なのは、これから学ぶ対象について

「それは価値(意味)があることなんだ」という前提で考えていくことです。

その前提が崩れてしまったら、

「やっぱり意味はない」
「勉強することなんて価値がない」

という結論に着陸してしまいます。

私個人としては、「全てのことに意味がある」のではなくて、

全てのことに意味なんてものはない

というスタンスをとっています。

その上で、

意味は自分が創り出すものであり、超主観的なもの

と考えています。すると、

全ての物事の価値や意味は、自分の考え方次第でコントロール可能

と考えることができるわけですね。

なんか哲学的だな…。へへ。


「学び」を求める脳

じゃあ、仮にこれから学ぶ対象に

「意味がある」と感じられたとして、

なんでそれが大切なのか、って話です。

これは、私たちの脳の構造に深く関わってくるのですが、

私たちの脳は原始的な部分を多く残していて、

「ウホウホ」言っていた頃の脳からさほど変化してないんですね。

生物学的な進化のスピードが、社会的、環境的な変化にまだ対応しきれていない。

脳の本質は、「生存欲求(生物の種としての生存本能)」なわけだから、

生き残るために一番合理的な機能を有しているわけです。

その一つが、「探索欲求」なわけです。

例えば、「あの木の上に、食えるもんあるかも…」と考えたときに、

とりあえず探しに行かないと食べ物は見つからないわけですから、

脳としては、「食いもん探しに行け!」って命令を出すわけです。

これが、いわゆる知的好奇心の一番原始的な形。

で、今後も食糧を確保するためには、その行動を繰り返してほしいわけですよね。

だから、「発見」に対して、快楽物質(ドーパミン)を放出して、同じ行動を促すようにするわけですよ。

だから、人は本来、遺伝子レベルで「学ぶ」ことがめちゃくちゃ好きなんですね。

SNSに依存しちゃうってのは、つまるところこの機能の暴走です。

ここら辺の話は、アンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』(2020)って本に載っていますから、興味があればぜひ覗いてみてください。


その場限りの興味と深層的モチベーション

で、この「探究欲求」は

満たされたら満足しちゃう、「その場限りの興味」と

長い間、それに従事する原動力となる、「深層的モチベーション」の二つに分かれると。

もちろん、「よりよい学び」に必要なのは後者。

で、深層的モチベーションに関わってくるのが、

「やるに値する」っていう感覚なんだと。

きっかけはその場の状況から生まれた刹那の興味(その場限りの興味)。

そこから、その興味を掘り下げるための「体験」の時間を十分にとる。
(掘り下げる)

そうしながら、自分にとっての「価値(意味)」を品定めして、

最終的に「価値がある!」と感じたら、それが深層的モチベーションになっていく。

この本で言っているのは、ここまでの無意識的な過程を

意識的な作業として掘り起こそうよ、ってことです。


何と結びつけるのか?

「価値」や「意味」が学びに必要不可欠なのは明らかだとして、

じゃあそれをどうやってやるのかってことですよね

「自分と結びつける」っていうのはすごく曖昧で、

「自分にとってどんな価値があるのか?」などの上の3つの質問だけで物事が全てうまく回り始めるというのは、なんか幻想めいている。

「自分と結びつける」ためには、「知識はネットワークのように構築されていくものだ」と考えることが必要です。

知識を習得する、と聞くと、

頭の中にタンスがあって、

その引き出しに知識を仕舞い込んでいくような(暗記)、そんなイメージありませんか?

このイメージは、従来の暗記方法にも色こく反映されていて、

暗記するときは、暗記したい内容を何度も復唱したり、書いたりしながら、

覚えるまで繰り返す、という方法が一般的です。

ところが、知識はそれぞれが別個に、別々の場所に仕舞われているのではありません。

記憶というのは、一種のネットワークです

それぞれが密接に絡み合いながら、互いに保管し合っています。

「自分と結びつける」というは、言い換えれば、

すでに有している知識のネットワークと関連づける

と言えます。

先述したように、それは「趣味」「興味」「夢」「目標」「憧れ」であってもいいし、

「体験」「経験」「今までに習ったこと」などでもいいわけです。

そうやって、未知の世界(知識、技術)を、

自分の知っている世界のネットワークに組み込むことで理解し、

自分のフレームで解釈可能なものにしていくことが

「学ぶ」ことなのかもしれませんね。

アーリック・ボーザー氏は、トム・サトウという方のこんな言葉を紹介しています。

「ただ記憶するだけか、物事がどう結びつくのかをやってみて確かめるか、この違いが大きいんです」
Ulrich B. (2018). Learn Better. chap.1


具体的な「つなげ方」

それでも「まだ漠然としていてよく分からない」という方のために、

より具体的な方法を紹介します。

以下にあげる全てを、

「自分にとって、価値のあるものだと捉えるために」必要なことである

という視点でことあるごとに実践することが大切です。

「学ぶ意味」を、自分で能動的に掴みにいくイメージですね。


選ぶ

学習者にはある程度の自由が必要です。

強制されたものに対しては、ネガティブな感情が働きやすく、

自己決定や自主性を認められた方が、意味を見つけやすいからですね。

本屋に行って、自分で問題集や参考書を選ぶことは、

実はモチベーションを高める上でとても有効な方法だということです。


感情面の支援をする

学習の難易度が上がったら、感情面の管理をしていくことも大切です。

根性だけでは、長続きしないということです。

探究心を燃え上がらせる情動の火花は、言い換えれば「外的な刺激」です。

ときめきや励ましも、時には必要です。

自分がそれを身につけた時の理想の姿を具体的に思い描いたり、

自分で努力の過程にご褒美を設定したりすることは、

とても効果的な学習管理の方法です。


仲間をつくる

知的努力には、伝染力があるといいます。

アメリカの有名なハーバード大学は、「大学の一番の強みは何か?」という問いに対し、こう答えています。

知的好奇心の高い学生がいることだ。

教授や講義、教育システムやカリキュラムではなく、

そこに集う学生こそが一番の財産だと言い切っています。

これは、集団がもたらすプラスの影響を強く物語っています。

自分の学びを高めたいなら、そういう集団に身を置くことです。

リアルで難しくても、今はSNSで探せばいくらでも見つかります。

私も、Twitterではそういう方々を積極的にフォローし、刺激をもらうことにしています。

また、マズローの五段階欲求という理論があります。

STUDY HACKER, マズローの五段階欲求とは? https://studyhacker.net/maslow-hierarchy

人間ほ欲求には階層があり、下位欲求が満たされていない状態では、上の欲求が生じることはないとした説です。

例えば、クラスの中で友達がいなくて不安だったり、馴染めていないと感じていたりする生徒は、

社会的欲求が満たされていません。
(いじめなどのケースでは、安全欲求すら満たされていない)

その状態で、「認められたい!」「褒められたい!」(承認欲求)と勉強を頑張ったり、

「今よりも成長したい!」「憧れの職業を目指したい!」(自己実現欲求)と自己研鑽することはそもそも難しいのです。

だからこそ、いい集団の中に身を置くことは、めちゃくちゃ大事。
(担任の先生、いいクラスをつくるための学級経営、お疲れ様でございます!)


情報のコピーのための努力を発展させる

教科書に蛍光ペンで線を引いたり、ノートに丸写ししたり、何度も読んだりする活動は、

その情報をコピーするための活動です。

頭がタンスの引き出しのように出来ていたらうまくいくかもしれませんが、

残念ながらそうではない。

頭の中には、知識の網が張ってあります。

その中に学ぶ対象を組み込むためには、事実の意味を理解し、能動的に関わっていかなければいけません。

例えば、英単語であれば語源を調べたり、自分の知っている似ている単語を隣に書いたり、自分がその単語を使う場面を想定して文を書いてみたり。

教科書の内容を自分の言葉で説明してみたり。

ノートに違う形でまとめてみたり(文章から図や絵に)。

人に教えてみたり。

そう思うと、学校や塾などで、座って先生の話をひたすら聞いているだけの時間は、

私にとったら本当に効率の悪い、無駄な時間だと思ってしまいます。
(説明を聞く時間が必要でないとは言っていませんよ)


まとめ

最後の方は、方法論に終始してしまいましたが、

大切なことは、学ぶ対象が自分にとってどんな意味を持つのか、

これからの自分にどんな価値を生み出す可能性があるか、

これを自分が納得するまで、しっかりと考える時間をとることです。

この時間が、学校や塾などの教育現場ではすっぽりと抜け落ちてしまっていることが多いように思います。
(だって忙しいからね、あとやらなきゃいけないこと多すぎ)

んで、私は別に教育委員会の回し者ではないんですが、

学習指導要領や、その方針を踏まえた検定済教科書には、

ちゃんとそのための時間や活動が組み込んであるんですよ
(マジで優秀な人がつくられたんだなぁ…)。

ただね、現場レベルの授業の中では、結構とばされがち。

だって忙しいし、やるこry


この、一人一人が違うんだよってことにしかっりとフォーカスした

学びのメソッドが示すことは、学習形態はやっぱり、個別支援が最も効果が高いってことですよね。

集団授業の中だと、なかなかそれぞれにアプローチしにくいわけです。

それが、私が始めた塾の学習支援の形態を、個別支援にした理由です。

という訳で、最後はちゃっかり、宣伝文句を挿入❤️

次回は、第2のフェーズ、「目標を決める」について書こうと思っています!

ではまた!



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