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第2回 こどもの声を「聴く」
(2021年の連載記事を加筆修正したものとなります)
こどもの「あそび」に関わる大人にとって、こども達の声を「聴く」ことはとても大切です。
私が札幌市の閉校した小学校の跡地で常設の遊び場を運営していた時、グラウンドに土を盛った小山があり、毎日どろんこ遊びが繰り広げられていました。山肌に溝を掘る子、そこに水を流す子、それぞれ思い思いに、時には大人達も一緒に泥まみれになって遊んでいました。
一方、体育館はボールを使うエリアと他の遊びをする場所を仕切る以外は、ほぼルールを設けず開放していました。自由に遊べる体育館は貴重で、混み合うことが多く、内部で議論になりました。
「ぶつかってけがをするのでは」
「種目別に時間を区切ったほうがいいのでは」
飛び交う意見に、私は引っ掛かりがありました。
こどもの遊び場なのに、大人だけで意見を出し合っていたからです。
私は「まずこども達に話を聞いてみませんか」と提案しました。
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早速、常連の子らに聞いたみると
「混んできたら体育館では遊ばないよ」
「危なそうな所には近づかないよ」
などと、こども達もきっちり自分の考えを持っていました。
こうした声を会議で伝えると、皆「それもそうだね」と納得。
制約が加わることはなく、自由な遊び場を続けることができました。
「こどものために」と大人だけで場の制約を決めてしまうのは、よくあります。
2015年の国勢調査では、人口に占める15歳未満の割合は12.6%。日本人10人のうちこどもは1人ぐらいしかいないのです。圧倒的少数派になっているこどもの声は、社会に届きにくくなっています。
社会的弱者の声を社会に届ける事を「アドボカシー」と言い、こども達に関わる大人にとっても非常に重要です。こども達の声をただ「聞く」のではなく、積極的に「聴く」。そしてその意思を代弁する事が現代の大人の役割です。
先のどろんこ遊びのように、自由な「あそび」の場では大人もこどもも対等な関係になり、こどもは心を開きやすくなります。こどもの悩みや本当の気持ちも漏れてくるかもしれません。
自由な遊び場の重要性はますます高まっています。
(プレーワーカー 寺坂崇)