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スタイルオブ東京の変遷NO6

〜不動産仲介本格スタート〜

不動産屋と建築屋は水と油、狩猟民族と農耕民族くらい違う。
基本的に建築屋は不動産屋が嫌い。
かく言う私も不動産屋なんて大嫌いだった笑
父の経営する建築会社に出入りしていた不動産屋は、ゴルフ焼けなのか真っ黒に日焼けして、ダブルのスーツ、BMWに乗ってきて、差し入れはいつもなぜかリポビタンD。
開発した分譲住宅の仲介を頼んでいた、大手M不動産の若い営業マンには、いつも父が仲介手数料以外で担当者に個別にボーナスを出していた。あとからそれが業界の常識用語で“タンボー”だと知りました。
(タンボー=担当者ボーナス笑)
自分で建築会社をやっていたときも、経験不足のため、不動産屋には散々いじめられたから不動産屋にはいいイメージがない。
不動産仲介だって、27歳で宅建に合格したら、なんの教育もないまま父に会社の分譲住宅を売れといわれ、初めて読んだ重要事項説明は読めない漢字があってお客さんに読んでもらったという苦い記憶しかない笑
一応宅建業業は取得していて、たまに使うことはあったけど、特に不動産仲介業者との繋がりもなく、全く興味のない分野でした。
私は住宅コンサルをしたかったのだ。
なのに、コンサルじゃ飯が食えなかったから住宅ローンコンサルをやったり、工務店のファイナンスコンサルをやったりどこへ向かうのか!と思っていたところに、
不動産仲介・・。
S工房さんと一緒に中古物件探しからリフォーム・住宅ローンをワンストップでサポートするために、まずは不動産仲介を本格的にやらなければならない。
しかし、気がついたのです。
住宅コンサルって不動産コンサルでもよくない!って。
日本ではコンサルフィーを払う文化がない。住宅ローンが通らない!となれば別だけど、目の前で困ってないとコンサルフィーなんて払いたくない。
ところが、不動産なら仲介手数料を堂々といただける。
不動産・建築・ファイナンスをワンストップでサポートしてあげることこそ本来の住宅コンサルではないか!
しかもお客様もどうせ仲介手数料を支払うならサービスは多いほうがいい。
いままであまりに不動産屋が嫌いというだけで気がつかなかったよ!
ということで私はあっさり不動産屋になることに笑
さて、S工房で相談会を始めると、相談者がちらほら。S工房のチーフプランナーのNさんは同意してくれたものの、他のプランナーさんは反対。特に阿佐ヶ谷店を仕切っていたOさんは強く反対をしていました。
不動産業界と建築業界で大きく違うのはスピード感です。
特に中古物件は世界で一つとして同じ条件のものはない。場所、広さ、日当たり、使用感、価格。なかなか条件に合うものを見つけるのは大変。だから気に入った物件はすぐに申し込みを入れないと、悩んでいる間に売れてしまう可能性がある。そうなると二度と同じ条件の物は出てこないためショックったらない。
とはいえ、中古物件は買ってからなにかあると怖い。リフォームが必要な物件ほど、慎重になってしまう。
そこですぐに物件調査とリフォームプラン・費用を出す、そしてそのトータルコストがファイナンス的に問題ないかを検証し住宅ローン審査をするというワンストップサービスがウケていったのです。
しかしリフォーム会社はそのようなスポード感になれていない。
顧客が物件を内見し、気にいったら、すぐに買い付けをいれなければならない。しかしプランと予算が見えないと申し込みが入れられない。
そこで現地でご要望のプランを聞いて、ある程度の壁の移動なのが可能かはその場で判断し、条件をS工房にFAX。同時に銀行用の見積書を作成してもらう。
その当時は物件とリフォーム代を合わせて住宅ローンで借り入れる場合、見積書が必要だったので、とりあえず銀行用に見積を作らないといけなかったのです。
見積書も銀行用とはいえ作成する時間がかかる。それをこちらが依頼してから翌日にくれという。プランもラフでいいから3日以内。
はじめは「物件を見ないとプランも見積もりもできない」と言われたけど、私がお客様に「図面上でのプランです」と説明するのと、見積はお客様の予算より多めに作成し、お客様には住宅ローンの事前審査のリフォーム代は多めにしておきましょうと言う。
住宅ローン事前審査はあくまでも借り入れ枠なので、実際本当に借り入れる時には減額ができますからと。
実際はみんな枠ができるとそこまでリフォームしちゃうけどね。
いままでは見積依頼があれば、現地を確認して、プランをして見積を出すまでに1ヶ月くらいかかってやっていたのを現地も見ずに3日でやれ!と言われるのだから、プランナーさんにはストレスがかかります。
藤木さんは不動産屋だから建築屋の気持ちがわからないんだよ!ってプランナーさんは言う。
あれ?私すっかり不動産屋になってる?と思ったけど・。
逆にだから建築業界ってよくならないんだって思った瞬間でもありました。
ワンストップサービスは時間がない。内見から3日でプランを書いて、早ければ1週間で物件の契約、空き物件なら1ヶ月で引き渡し。翌月から住宅ローンの返済が始まるので、賃貸に住んでいる人はローンと家賃の支払いがWでくる。だから一刻も早く引越ししたい。
プランも急ぐけど、請負契約も急ぐのです。
だから逆に言えば、他社の相見積を取っている時間もない。
ということで相見積もない、プランを悩んでいる暇もない。
自宅のリフォームならプランまで1ヶ月、工事着工まで半年、予算によっては工事を今しないと言う理由で失注する可能性もある。契約までは全部無料。
その点ワンストップサービスでは必ず契約する。しかも1〜2ヶ月で1000万円規模の請負金額だ。
なんていいサービスなんだ!と一番喜んでいたのはM社長。
どんどん宣伝しようと言う気になりますよね笑
嫌がるプランナーさんを一生懸命引っ張ってくれていたのはチーフプランナーのNさん。
一緒にいろいろな案件をやりました、今思えは楽しい思い出です。
ワンストップサービスが始まって3年経った夏のS工房さんの納涼会に参加したときです。一番反対していたOさんが私に近寄ってきて、藤木さん今まで悪かった、ワンストップサービスは本当にいいサービスだ。ほとんど相見積がなく、短時間で大型の受注につながるんだよ。って。
あの時は嬉しかったな〜。
その時S工房さんの売り上げは12億、うち中古を買ってリフォームのお客様が50%。
もちろんウチの仲介よりも他社の仲介の方が多かったけど、まだ他のリフォーム会社がスピード感についていけてない中、中古を検討しているお客様への対応のスピード感がS工房のプランナーにはついていた差です。
M社長はワンストップサービスをやっていなかったら今頃どうなっていたか・・と言っていましたね。
そこから多くの会社が中古買ってリフォームワンストップサービスを始めるようになっていきました。
次は不動産仲介激戦へつづきます。

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