歌詞の中の、見たこともない風景を、不意に思い出してしまう。

先日ライブで初めて知って、最近よく聴いている曲があります。

この曲も杉山勝彦さん作曲と知り、もう納得しかないのですが、
この少し懐かしさを感じさせるようなメロディーラインももちろん、
その歌詞が描いている風景というのも、なんだか無性に郷愁を誘っているようで、なんともいえない気分になります。

路面電車がガタゴトと走って行く街は
今も君が歩いてるようなそんな気がしてしまう
通り過ぎる窓の景色はあの頃と変わったけど
そう僕たちがいつも待ち合わせた懐かしい思い出はここだ

普通の電車よりもゆっくり、人が歩く速度に比較的近くて、
街並みも、景色も、しっかりと追いかけられるスピードで走る路面電車。
その車窓から見える景色は、「流れていく」というより、ひとつひとつ「目に留まる」ものだろうから、
余計にその景色は、ひとつひとつの記憶とリンクして、胸に焼き付いていくのだろうなあ。
そんなことも感じながら、歌詞を追っていました。

この歌詞に書かれているような経験を、私は実際にしたことがないし、
何か具体的な景色と結び付けられるわけでもないけれど、
それでも何故か、この物語の主人公の目線で、
歩いたこともない街の景色が、
「僕たちがいつも待ち合わせた懐かしい思い出」すらも、
まるで最初から、自分の記憶の中にあったかのように、
ありありと脳裏に浮かんでくるような気がします。


そして、
そういえば以前も別の曲で、似たような感情を抱いていたのですが、
偶然か必然か、どちらも「電車」が描かれている曲で。

私だけなのか、多くの人にとってもそうなのかはわかりませんが、
少なくとも私にとっては、「電車」という風景は、思い出とか、記憶とか、ふるさととか、
そういったものを呼び起こさせる、そんなアイテムになっているようです。

自分自身は、都会出身で、電車というものはずっと身近にあったし、
別に郷愁を感じるとか、そんなことはまったくなくて。
でも、だからこそ、「ふるさと」とか「思い出」とか、
そういうものに、余計に憧れを持ってしまうのかもしれません。

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