【シンセサイザー/DAW(DTM)/作編曲】影響を受けたアーティスト、いま注目の音楽は?【荒木陽太郎先生#3】
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今回は、キーボード・シンセサイザー奏者、DAW・プログラマー、作・編曲家と多くの顔を持つ、荒木陽太郎先生と、サックスプレイヤーでプロデューサーの沢井原兒先生の対談第3回目の様子をお送りします。
対談では、全5回にわたって、荒木先生がプロになるまでの経緯や、これまでのお仕事、ご活動について、また音楽に対する考え方などをたっぷりと語っていただきます。
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(以下、敬称略)
【対談者プロフィール】
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沢井:前回、SMAP×SMAPの話が出たんですけれど、やはり石田さん(※1)は音楽的に楽しいことをやろうというようなポリシーがありますよね。
たとえばMUSIC FAIRは全部マルチ(※2)で音を録って、トラックダウン(※3)をやっていますし。
荒木:そうですね、僕の時代もそうでしたね。
バラで撮って、トラックダウンまでちゃんとやっていました。
沢井:そういうようなことをやっているテレビ局って他に無かったんですよね。
荒木:そうですね、他にね。
沢井:そうそう。だからそれもすごいと思うし、そういう意味で言うと音楽をすごく大事にしていましたよね。
荒木:そうでしたね。
今は、やっぱりカラオケ番組とかが多くなっているということもあって、音楽を作り込む場所が少なくなってきているのかなと思いますね。
当時MUSIC FAIRはメドレーを看板にしていたこともあって、2人の歌手がお互いの曲を代わりばんこに歌うとかが結構売りになっていて、面白かったなと思いますね。
沢井:そういう意味で言うと、テレビの音楽のアレンジっていうのは、SMAP×SMAPをはじめ面白いものが色々あったと思いますが、最近はどうですか?
荒木:最近僕がやっているのは、BSのNHKの番組で、往年の歌手が往年の楽曲を歌うという番組です。
NHKの番組の良さは、ほとんどのものはテレビサイズではなく、フルコーラスでやるということですね。
そういう点では面白い番組だと思います。
しっかりその当時の音を再現するというポリシーでやっていますね。
沢井:なるほど。わかりました。
ではちょっとテレビの話題からは離れて、荒木先生がどんなアーティストに影響を受けたのかということをお聞きしたいなと思います。
荒木:プログレ好きというところでいうと、僕が大好きなのはピンク・フロイドで、他にはイエスとか、ジェネシスとかキング・クリムゾンとかを聴いてきましたね。
その辺がルーツです。
電子楽器の導入がそのあたりのバンドにはありましたからね。
あとはドイツ系のプログレ系で言えばタンジェリン・ドリームとかは「シンセサイザーがどのように使われているか」というところも含めて面白かったな、というところで影響を受けています。
ただ音だけではなくて、少し演劇的、オペラ的な発想であるとか、〈Aメロ/Bメロ/サビ〉で終わるのではなく、どんどん展開して組曲みたいになっていく構成であるとか、そう言った点も面白いなと思っていましたね。
沢井:フランク・ザッパとかはどうなんですか。
荒木;ザッパは、あまり詳しくはないんですが、彼らの場合、ライブを楽しみましたね。
キーボードの人が急にフレンチホルンを吹いちゃうとか、そういうパフォーマンスは好きですね。
沢井:ザッパのバンドっでジョージ・デューク(※)がいるじゃないですか。
その点はどう思ってますか。
荒木:「お前これやってみろ」って言われて、すぐにできるのは「すごいことやってるな」と思いますよね。
スティーヴ・ヴァイ(※1)がオーディションの時に全部書き譜(※2)だったっていう。
変拍子で、全部速弾きの。
それを「1日ホテルで練習してくる」って言って、次の日完璧だったから「じゃあ入れてやる」ということになったという話は聞きますけどね。
それはすごいなって思います。
「昔の人はなんであんなに上手いんだろう」っていうような感じで見てました。
沢井:最近だとどうですか?
荒木:最近だとバンドっていうよりも映像作品の中の劇伴で、「これはすごい!」っていうのはありますね。
『メッセージ』とか『Dune』とか『ブレードランナー』の新しい映画とかの音楽は、ハンス・ジマー(※1)だったりヨハン・ヨハンソン(※2)とかだったりしますけど。
あの辺の音使いは、日本のシンセサイザー使いや、劇伴づくりの人たちは大注目しています。
ついこの間MHKのBSでハンス・ジマーの半生みたいな番組をやっていて、すごく面白かったですね。
若い頃は売れないポップバンドから始まって、それで何で成功していったのか…っていう話なんですけれど。
彼は、シンセサイザーの申し子じゃないですか。
沢井:なるほど。
今は有名な映画というと音楽はほとんどハンス・ジマーですよね。
荒木:そうですね。でも彼の場合は、自分でやりたいと売り込んでいるわけではなくて、彼にオファーが来るんですよ。
「私の映画の曲を書いてもらえませんか」というように。
すごい無名な監督に頼まれた時、「ハンスさんに依頼するお金がないんですけど」っていう話だったんですが、映画がすごくよかったから「いや、僕に書いて欲しいと思っているなら書いてあげるよ」って言って曲を作った話もありました。
それから、弦のアレンジについては、学校で「これはやってはいけない」と言われたことを散々やったと言っていました。
「こういうふうにやるべきではない」、「和声的にはこの進行はない」と習うわけじゃないですか。
僕もそこはきっちりとは守らないんですけどね…。
勉強はしていますけど。
自分が講座を開いている以上はできないとは言えないですし(笑)
でもそれがある上で、最終的には「格好良かったらいいや」というのがあるんですよ。
沢井:はい、そうですね。
荒木:ハンスさんも、NGだと言われていることを避けるようにはしているけれども、「格好いいならそれもよし」という立場にはいるんですよね。
バツがつくから、コンセルヴァトワール(※)に受からないというような考え方ではないので、ハンスさんの言っていることはすっごくよくわかります。
例えば、「完全5度のまま、ずっと平行に動くのは本当はいけないんだよね。」ということの「本当はいけないんだよね」という意味は何かというと、対位法の中で御法度とされているからなんですけど。
「でも、みんなが知っているこの曲はこういう作り方をしているよね」っていうことがあったりとか。
さすが説得力があるなというエピソードもあって面白い内容でしたよ。
沢井:なるほど。
荒木:ハンス・ジマーは曲がどうこうというよりも、楽器とかテクノロジーとかに対しての立場、考え方が面白いと思います。
沢井:そういう意味で言うと、アメリカって映画音楽を作る人が音楽家の中で1番ステータスが高いじゃないですか。
荒木:そうですよね。
沢井:でも、日本はそうじゃないじゃないですか。
荒木:そうですよね、日本の劇伴作家も素敵だし、才能ありますけどね。
僕も、アニメ系の映像音楽はすごく頑張っているなと思っています。
日本のアニメは今世界的に注目されていますけど、その中でも劇伴のクオリティはすごく高くて、今だったらそれはみんなプログレとして聴くものなんですよね。
結構きつい感じのサウンドもあるんですけど、やっぱりアニメのファンの方は耳が肥えているなと思います。
だから「このコード進行すごい格好いいな」とか結構ツボに入る音楽もありますね。
沢井:なるほど。
他にも色々話を聞きたいんですが、時間が来てしまったのでとりあえず今回はこのあたりで。
ありがとうございました。
荒木:ありがとうございました。
今回は、荒木先生が影響を受けたアーティスト、今注目している音楽を中心にお聞きしました。
次回は、DAWと生の弦を使ったアレンジでは、どのようなところは変わってくるのか?などについてお話を伺います。
お楽しみに😊
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