勉強と搾取

 大人の学び直しが盛んである。学ぶことは大事であると私は思っているし、ありがたいことに学び続けられる環境で仕事をさせてもらっている。

 さて、大人が勉強するときに、何を勉強するかについてだが、目的によって大きく変わると私は考えている。
 大人の勉強は大きく分けて趣味の勉強と仕事に関係する勉強に大別されるだろう。
 趣味の勉強は学ぶこと自体が目的であり、そこは完結している、遊びと学びが融合した愉悦の世界であろう。残念ながら、私は趣味で学びたいほどの興味関心を抱いている事項はないので、今はこういうことはしていないが、幼少期に行った好きな漫画の稚拙なデータ抽出・分析はこの分類でいいだろう。自己目的化の勉強は、それそのものが楽しみであるがゆえに、自覚されていれば非常に貴い。
 仕事に関係する勉強は、必要だからやるものである。学生時代の勉強の延長だが、結果を出すごとに評価、すなわち報酬を上げることも可能な点がモチベーションとして学生時代と大きく異なるだろう。
 仕事に関係する勉強は、仕事の内容に直結するものと、その周辺の内容に大別される。仕事内容は理解していることが前提なので、新人期間が終わったら、後者の勉強に移行することを私は勉強における基本方針としている。仕事の内容のみで勉強したとしてもそこはレッドオーシャンであるし、仕事と周辺の掛け合わせは無限大かつ内容次第ではブルーオーシャンであるからである。

 「なんのために勉強するのか」が明確であるほど、勉強は目的では手段となる。それに無自覚であるが故のーー趣味の勉強であれ、仕事の勉強であれーー搾取されることだけは避けたいと思っている。
 資格ビジネスしかり、脳トレしかり。
 資格を持っていても使えないと意味がないとよく言われる。では資格を使うとはどのようなことを指すのだろうかと考えたとき、私は「成果物を出せる」ことであると思っている。
 例えば、資格の内容を自らの業務、あるいは自らが行いたい業務で役立つ資料として他者にも評価されるアウトプットができれば、資格は内容を担保するものになると考えられる。
 脳を鍛えるのであれば、脳トレではなく、自らが行っていることに関連する勉強をするほうが能力を鍛えられると私は考えている。漫然と英会話スクールに通うよりも、自らの仕事を英語で行えるように専門用語を勉強するほうが報酬にはつながりやすいだろう。

 こんな話をしてしまうほどに、私は本業とその周辺領域の掛け合わせで新しい仕事を得るチャンスに恵まれた。
 その分野で成功するためにも、今日も今日とて勉強を続ける。

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