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「知識は国力なり」フォーリンアフェアーズ・リポート2024年10月号一言感想

フォーリンアフェアーズ・リポート2024年10月号の一言感想です。
グローバリストの考えを知るために購読しています。(私は、”行き過ぎた”グローバル主義には反対で、国家・国民主権を支持します。)


知識は国力なり

①知識と技術が国を支える - ナレッジパワーと国家パワー

エイミー・ゼガート フーバー研究所 シニアフェロー

序文抜粋
『いまや、国のパワーの基礎を支えるのは「経済成長、科学的発見、軍事的ポテンシャルを劇的に強化できる知識や(AIなどの)技術」であることが多い。だが、こうした資産は、無形であること、そして、部門や国を超えて広がりやすいために、ひとたび「世に出る」と政府が管理するのは難しくなる。敵に対してアルゴリズムの返還を求めることはできない。あるいは、中国のバイオエンジニアに博士研究員としてアメリカで得た知識を返せとも言えない。知識は究極の携帯型兵器なのだ。われわれは、知識とテクノロジーが原動力となる現代の世界で、国家パワーの構成要因が何で、それをいかに育み、応用していくかを考え直す必要がある。』

新たの時代の国家パワーの育成には教育が大事であるが、アメリカ国民の学力は低下しているそうです。また、研究開発への予算配分にも問題があると論じられているますが(基礎研究への予算が減っている、逆にChinaは増やしている)、これはそのまま日本にも当てはまると思いました。
ですので、私は、日本が豊かになるために経済を立てなおす、そのための積極財政、そのために、全体を俯瞰して考えられる能力の育成、そのために、コーチングにより抽象度思考を高める、ことが必要と改めて感じました。

参考:民間企業が、軍事に大きな影響を与えることについては、イーロン・マスクに実例が書いていました。



②高技能外国人材と経済成長 - 技術系人材を確保するには

デベシュ・カプール ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際問題研究大学院 教授(南アジア研究)
ミラン・ヴァイシュナヴ カーネギー国際平和財団 シニアフェロー

上記論文①に続き、米国では人材が不足してきているという内容です。対策には論文①は人材育成を挙げていたのに対し、この論文②では、高度技術を持った移民獲得を提唱しています。
私は、論文①の人材育成案に賛同します。
移民推進論では、メリットとしてGDPの向上が挙げられますが、儲かっているのは低賃金労働者を雇用してメリットのある経営層であり、一般労働者へはマイナスの影響であると、最近データを見た記憶がありますが、どこで見たか思い出せません。。。
これだったかなあ


序文抜粋
『この数十年にわたって、ワシントンの政治家たちは不法移民の管理とコントロールに執着してきたが、いまや、合法的な移民、それも高度技能をもつ外国人材に同じ程度の関心を払う必要があるだろう。世界的な人材獲得競争で成功したいのなら、時間的猶予はほとんどない。ワシントンは、サプライチェーンのレジリエンスを高め、新興技術部門で中国を打ち負かすという野心的な計画をもっている。だが、これらの目標を有意義な時間枠で達成するには、現在の米労働力に不足している、高度なスキルをもつ人材プールが必要になる。より柔軟で適応性のある移民政策なしでは、うまく考案された計画も結果にたどり着けない。』

ーーーーーーーーーー

同盟関係と地政学

③同盟諸国とのトラブル - 気難しいパートナーといかに付き合うか

リチャード・ハース 外交問題評議会 名誉会長

日本でも有名なリチャード・ハース氏の論文

序文抜粋『
「友好国や同盟国との立場の違いをいかに管理するか」。この問題へのワシントンの考えはあまり整理されていない。例えば、イスラエルやウクライナのように、ワシントンに依存しながらも、その助言に抵抗することも多い相手に、どのように対処するのが最善なのか。説得、インセンティブ供与、制裁、見て見ぬふり、そして単独行動と、そこにはさまざまなアプローチがある。これらをどう使い分けるか、体系的なアプローチをとる必要があるし、「自国の利益を守りつつ、貴重な同盟関係の断絶を避ける」ために、ときには、相手を批判し、単独行動をとる覚悟をもたなければならない。

米国外交問題評議会会長らしい、米国が圧倒的パワーを持っている事を前提に、同盟国に、いかにアメリカの言うことをきかせ

知識は国力なり

①知識と技術が国を支える - ナレッジパワーと国家パワー

エイミー・ゼガート フーバー研究所 シニアフェロー


序文抜粋

『いまや、国のパワーの基礎を支えるのは「経済成長、科学的発見、軍事的ポテンシャルを劇的に強化できる知識や(AIなどの)技術」であることが多い。だが、こうした資産は、無形であること、そして、部門や国を超えて広がりやすいために、ひとたび「世に出る」と政府が管理するのは難しくなる。敵に対してアルゴリズムの返還を求めることはできない。あるいは、中国のバイオエンジニアに博士研究員としてアメリカで得た知識を返せとも言えない。知識は究極の携帯型兵器なのだ。われわれは、知識とテクノロジーが原動力となる現代の世界で、国家パワーの構成要因が何で、それをいかに育み、応用していくかを考え直す必要がある。』


新たの時代の国家パワーの育成には教育が大事であるが、アメリカ国民の学力は低下しているそうです。また、研究開発への予算配分にも問題があると論じられているますが(基礎研究への予算が減っている、逆にChinaは増やしている)、これはそのまま日本にも当てはまると思いました。

ですので、私は、日本が豊かになるために経済を立てなおす、そのための積極財政、そのために、全体を俯瞰して考えられる能力の育成、そのために、コーチングにより抽象度思考を高める、ことが必要と改めて感じました。


参考:民間企業が、軍事に大きな影響を与えることについては、イーロン・マスクに実例が書いていました。


イーロン・マスク 上 (文春e-book)

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②高技能外国人材と経済成長 - 技術系人材を確保するには

デベシュ・カプール ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際問題研究大学院 教授(南アジア研究)

ミラン・ヴァイシュナヴ カーネギー国際平和財団 シニアフェロー


上記論文①に続き、米国では人材が不足してきているという内容です。対策には論文①は人材育成を挙げていたのに対し、この論文②では、高度技術を持った移民獲得を提唱しています。

私は、論文①の人材育成案に賛同します。

移民推進論では、メリットとしてGDPの向上が挙げられますが、儲かっているのは低賃金労働者を雇用してメリットのある経営層であり、一般労働者へはマイナスの影響であると、最近データを見た記憶がありますが、どこで見たか思い出せません。。。

これだったかなあ


優しい日本人が気づかない残酷な世界の本音 - 移民・難民で苦しむ欧州から、宇露戦争、ハマス奇襲まで -

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序文抜粋

『この数十年にわたって、ワシントンの政治家たちは不法移民の管理とコントロールに執着してきたが、いまや、合法的な移民、それも高度技能をもつ外国人材に同じ程度の関心を払う必要があるだろう。世界的な人材獲得競争で成功したいのなら、時間的猶予はほとんどない。ワシントンは、サプライチェーンのレジリエンスを高め、新興技術部門で中国を打ち負かすという野心的な計画をもっている。だが、これらの目標を有意義な時間枠で達成するには、現在の米労働力に不足している、高度なスキルをもつ人材プールが必要になる。より柔軟で適応性のある移民政策なしでは、うまく考案された計画も結果にたどり着けない。』


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同盟関係と地政学

③同盟諸国とのトラブル - 気難しいパートナーといかに付き合うか

リチャード・ハース 外交問題評議会 名誉会長


日本でも有名なリチャード・ハース氏の論文


序文抜粋『

「友好国や同盟国との立場の違いをいかに管理するか」。この問題へのワシントンの考えはあまり整理されていない。例えば、イスラエルやウクライナのように、ワシントンに依存しながらも、その助言に抵抗することも多い相手に、どのように対処するのが最善なのか。説得、インセンティブ供与、制裁、見て見ぬふり、そして単独行動と、そこにはさまざまなアプローチがある。これらをどう使い分けるか、体系的なアプローチをとる必要があるし、「自国の利益を守りつつ、貴重な同盟関係の断絶を避ける」ために、ときには、相手を批判し、単独行動をとる覚悟をもたなければならない。

対同盟国へのアプローチを下記6つに纏めています。
①説得、②相手のインセンティブに働きかける、③制裁、④問題政府を倒す、⑤見て見ぬふりをする(外交的回避 diplomatic avoidance)、⑥単独行動をとる
注目すべきは、④政府転覆 のような明らかな内政干渉も選択肢に入っていることであり、私達日本国民は、これを冷静に受け止め、米国が決して正義の味方では無い事を理解して相対すべきでしょう。

リチャード・ハース氏の過去の論文

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④アメリカは東南アジアを失うのか - 中国へなびくアセアン諸国

リン・クオック ブルッキングス研究所 フェロー(アジア政策)

東南アジアの国々が、米国よりChinaを支持するようになってきているという論文。
私は、日本の立場を考えた場合、米中どっちかという考えより、日本がどうしたいか、という主体的な考えをすべきと思います。

なお、米国支持の国
 一部抜粋『
一方、回答者の83%が中国よりもアメリカを選んだフィリピン、そして、(79%がアメリカを選んだ)ベトナムでは非常に高い支持を得ており、シンガポール(62%)、ミャンマー(58%)、カンボジア(55%)でも高い支持を維持している。
だが、中国よりもアメリカとの連携を望む回答者が2023年から2024年にかけて増えたのは、フィリピン、シンガポール、ベトナムの3カ国だけで、その割合もわずかだった。


⑤国家安全保障というブラックホール - あらゆるものが国家安全保障に

ダニエル・W・ドレズナー タフツ大学 フレッチャースクール 教授

米国では「国家安全保証問題」と定義されると、予算が増えるそうです。ですが、近年あらゆるものが「国家安全保証問題」とされ、優先順位が無くなってしまい、リソースを広く薄く分散される恐れがあると指摘しています。

対策として、「時間軸と緊急度」で分類すること、「そのアジェンダが先を見据えたプロアクティブな対応を必要とするか、防御的な措置を必要とするか、あるいはその両方かを見極める」、「毎年「最新の重要性」に即してランク付けする」、を挙げています。

私は、最も大切な事は国家のビジョンを明確にする事だと思います。
内需優先か・貿易依存か、どの国と同盟を結ぶか・中立を守るか、など、国民が共有していれば、一貫性のあるアクションが取れると考えます。



民主主義の現状と課題

⑥選挙と民主主義 - 選挙年と有権者の選択

フランシス・フクヤマ スタンフォード大学 シニアフェロー

著書「歴史の終わり」等で有名な国際政治学者、フランシス・フクヤマ氏の論文。

一部抜粋『
選挙そのものは良い政策や結果を保証しない。選挙が提供するのは、政策上の失敗に対する指導者の責任を問い、成功したとみなされる指導者に報いる機会だ。選挙が危険になるのは、単に疑わしい政策を押し付けようとするだけでなく、自由で民主的な基本制度を弱めることを望んだり、実際に弱体化させる指導者が台頭したりしたときだ。


⑦気候変動と民主主義 - 異常気象と選挙

カレン・フロリーニ クライメート・セントラル 副会長(ストラテジック・インパクト担当)
アリス・C・ヒル 米外交問題評議会 シニアフェロー(エネルギー・環境担当)

気候変動が、「有権者が投票所に向かう権利を奪う」恐れがある とする論文。

一部抜粋『
(スウェーデンに拠点を置く)民主主義・選挙支援国際研究所によれば、2019年1月から2024年1月までの間、12カ国以上が地方選挙や国政選挙の期間中に異常気象に見舞われている。たとえばモザンビークは、2019年3月、有権者登録期間の開始直前にサイクロン「イダイ」に襲われた。暴風雨で40万人以上が避難し、その多くが有権者登録に必要な身分証明書を失った。さらに、有権者登録、投票、開票センターとして使われてきた数千の学校教室も破壊された。6週間後には、サイクロン「ケネス」が襲来し、選挙人名簿、投票用資材、プリンターが破壊された。しかも、洪水後に急増するコレラの流行によって、投票はさらに妨げられた。

確かに、「気候変動が有権者が投票所に向かう権利を奪う」事態が起こったことは事実のようです。私は、気候変動のリスクがどれだか正確なのかも不明という認識なので、米大統領選に合わせてのロビー活動かなぁと思ってしまいます。
「選挙の権利を奪うリスク」だけを考えれば、過去、戦時中でも選挙を行った時を参考にするのも有用かと思います。
また、日本においては、整備が滞っている(らしい)インフラの強化は優先的に実施すべきと思います。


グローバルサウスの課題

⑧インド資本主義の構造的危機 - 自由化、縁故主義、改革

ヤミニ・アイヤール 政策研究センター 前会長

序文抜粋『
1991年以降のインドには、「経済自由化の促進」という大きな方向性については社会的・政治的コンセンサスがある。それでも、失業や格差など、民衆の経済に対する不満は大きく、2024年の総選挙は、インド経済の欠陥と30年にわたる経済自由化の果てに、この国の資本主義が人々に信頼されず、危機に直面していることを際立たせた。インド政治における縁故主義や汚職のまん延がなくならないだけに、政治家が資本主義のダイナミックな姿を示すのは難しいのかもしれない。フォーマル経済と企業集中が一定の成長をもたらすとしても、このまま民衆の多くが取り残され、格差が拡大する現状が続けば、インドは、大きな混乱に直面することになるかもしれない。』

インドの政治腐敗、格差拡大等についての論文。
私は、インドがここ1年くらい米国の意向にそぐわない行動をしているため、本誌がネガティブキャンペーンを行っているのではと訝しんでいます。



⑨途上国を債務危機から救うために― アフリカのポテンシャルを開花させるには

マーク・スズマン ビル&メリンダ・ゲイツ財団 最高経営責任者

ビルゲイツ財団代表による、途上国向けの低金利プログラムが必要という論文。

一部抜粋『
IMFとG20の取り組みは誠実な意図に根ざしているが、その効果は限定的で、世界の指導者たちが、COVID19パンデミックの際にワクチンを公平に供給するという約束を果たせなかったことを想起させる(これも低所得国に対する約束が果たされなかったという数多くの事例の一つだ)。

金融の意思決定者たちは、国連、IMF、世界銀行、G20における今後の会合で、もっとうまくやる必要がある。他の方法で資金を調達できない国々が低コストの資本を利用できるようにすることを優先しなければならない。(最貧国向け基金を管理する)世界銀行の国際開発協会(IDA)に十分に資金を提供することが、最善の措置の一つだろう。IDAは、市場金利を下回る融資や助成金など、開発プロジェクトを支援するコンセッショナル・ファイナンス(譲許的融資)の最大の供給源だ。

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