東京の休日 182 〜【モネ 連作の情景】展@上野の森美術館:印象派誕生150周年!無常の美しさがそこにはありました〜
「印象派」誕生150周年。
この記念すべき時を
祝福するかのような展覧会が
上野の森美術館(東京・上野)にて
開催されています。
『モネ 連作の情景』
2023年10月20日(金)~2024年1月28日(日)
「100%モネ!!」と謳われるこちらは
印象派を代表する画家
「クロード・モネ」の作品のみ。
素晴らしい展覧会となっておりました。
さっそくご紹介してまいります。
今回の主役
「クロード・モネ」(1840-1926年)は
フランス・パリ生まれ。
18歳から風景画を描き始めます。
印象派を代表する画家と言われるのは
モネの作品
《印象、日の出》(1873年)が
「印象派」の由来となっているから。
1874年、モネは画家仲間の
ルノワール、ドガ、シスレーなどと
第1回「印象派展」を開催します。
それから150年。
世界中の人々を魅了してきたのが
クロード・モネの作品です。
今回の展覧会では
75点の作品が一堂に会します。
そのうち、海外の美術館からの
来日作品は50点近く。
なんとも贅沢な機会です。
さらに、この展覧会では
「連作」に焦点を当てています。
同じ主題を、
季節や時間を変えて
描く連作。
そこには
瞬間、瞬間にしかみられない
景色があり
「無常」の美しさをみた気が
いたしました。
それでは、
その「連作」を具体的にみてまいりたいと思います。
・積みわら
1883年春、モネは
パリの北西70kmの街
「ジヴェルニー」に居を構えます。
そこで描き始めたのが
家の南に広がる牧草地に
積み上げられた麦わらの山、「積みわら」。
今回展示されているのは
《積みわら 》
1885年、大原美術館
《積みわら、雪の効果》
1891年、
スコットランド・ナショナル・ギャラリー、エディンバラ
天候や時間によって
ことなる光。
モネはこれを描き分けることに
つとめたようです。
モティーフの光の変化に加えて、
その周囲に広がる光に関心を寄せ
約25点の《積みわら》を描きます。
これ以降、
モネは連作の時代に入るのです。
・ウォータールー橋
ロンドンのテムズ川に架かる
ウォータールー橋。
1899年、1900年、1901年の
三度ロンドンに滞在したモネは
テムズ河畔のサヴォイ・ホテルの
バルコニーに画架を据え
「ウォータールー橋」の連作に取り組みます。
現在でも油彩画だけで
40作品以上が
のこっているそうです。
今回来日しているのが
霧に包まれる
ウォータールー橋。
橋そのものよりも
「光」を描こうとしている
ことがよくわかる連作です。
そして、
・睡蓮
50歳を超えたモネは、
ジヴェルニーの自宅で庭園造りを始めます。
1890年頃のこと。
太鼓橋のかかる
池には「睡蓮」が育てられ
この風景を
モネは繰り返し描くようになるのです。
晩年までの30年間
約250点の「睡蓮」の油彩画を
制作したといわれています。
細部を大胆に省略した表現は
のちの「抽象絵画」にもつながっていきます。
今回展示されているのは
こちら。
睡蓮を描き始めた頃の「睡蓮」(一枚目)と
眼を患いながら描いた晩年の「睡蓮」(二、三枚目)。
景色そのものもさることながら
描き手の変化もまた作品に
「無常」の美しさを
宿しているようでした。
この他にも「連作」として
紹介されていない作品の中にも
素晴らしいものが数多くありました。
ポスターになっている
地中海沿岸、
イタリアのボルディゲラから
フランス方面を見た風景だそう。
輝く青にはっとさせられました。
また
初来日の
に描かれているのは
後に結婚するカミーユと息子のジャン。
クロード・モネの
プライベートな一面の
垣間見えるめずらしい作品です。
余談ではありますが
モネの作品は
離れてみるとその奥行きに驚かされ
さらに魅力的に映ることが
度々あります。
空間に余裕があれば
ぜひ後ろの方に配慮しながら
作品を鑑賞してみてくださいね。
写真・文=Mana(まな)
また、こちらの展覧会
2024年2月からは
大阪に場所を移します。
大阪展のみの展示もあるそうで
伺いたくなってしまいます。
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