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東京の休日 #64 〜新年のサントリー美術館で「美」をひも解くひと時を〜

新年に「美」の物語をひも解く。

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そんな豊かなひと時を過ごせる展覧会が現在
サントリー美術館(東京・六本木)で
開催されています。

『美を結ぶ。美をひらく。
美の交流が生んだ6つの物語』
2020年12月16日(水)~2021年2月28日(日)

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世界中のアートが互いに
影響し合うことで育まれた「美」。

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エミール・ガレ
《花器「茄子」》


今回の展覧会では、
「美」の誕生の際に紡がれた物語が
6つ紹介されています。

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Story1: ヨーロッパも魅了された古伊万里
Story2: 将軍家への献上で研ぎ澄まされた
鍋島
Story3: 東アジア文化が溶け込んだ
琉球の紅型
Story4: 西洋への憧れが生んだ和ガラス
Story5: 東西文化が結びついた江戸・
明治の浮世絵
Story6: 異文化を独自の表現に昇華したガレ


それでは、みていきましょう。

Story1: ヨーロッパも魅了された古伊万里

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藍色ちろりとともに会場で
出迎えてくれた

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《色絵花鳥文六角壺》。

江戸時代の有田でつくられた六角壺は
ヨーロッパの王や貴族に
たいへんに愛されたそうなのです。

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《色絵菊桔梗文瓶》

そのような外国からの熱い視線によって
「美」が大きく花ひらいたという
輸出古伊万里の物語から展示は始まります。

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《色絵花卉文輪花鉢》

佐賀県「有田」でつくられていた古伊万里は、
長崎から次々と輸出されるようになったとのこと。

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《色絵美人花車文蓋物》


さらに物語は続き、
中国、朝鮮半島、東南アジアに
もともとあった「形」が
古伊万里に取り入れられます。

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《色絵葡萄鳥文瓢形水注》


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《色絵牡丹文水注》


こうしてますます発展
していったのだそう。

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《色絵獅子鈕波鷹文大壺》


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《色絵五艘船文独楽形大鉢》


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《色絵桜美人文大皿》


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《色絵松竹梅鶴文注器》


Story2: 将軍家への献上で研ぎ澄まされた
鍋島

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《色絵椿文皿》


江戸時代に佐賀藩(鍋島藩)で
つくられた高級磁器、鍋島。

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《染付雲雷文大皿》

この繊細な模様と清らかな青には
とても惹きつけられました。

徳川家へ毎年美しいものを
献上するという使命感が、
より素晴らしい器を生んだのだそうです。

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《染付唐花文皿》
《色絵唐花文皿》


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《染付唐花文皿》


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《染付松樹文三脚大皿》


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《色絵唐花文猪口》


Story3: 東アジア文化が溶け込んだ
琉球の紅型

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こちらの型紙が生まれる
色鮮やかな模様。

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独特の青、紫、緑、黄色、紅と
それらの色が織りなす柄が魅力的です。

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《黄色地牡丹蝶鳥に桐桜模様裂地》

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《染分地桜波連山模様裂地》


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《水色地流水桜散し模様裂地》


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《水色地牡丹桜に連山流水模様裂地》


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《黄色地霞枝垂桜短冊模様裂地》

型紙自体もこうして照らされると
アートのよう。

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サントリー美術館はこういった
会場の演出も素敵ですよね。

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Story4: 西洋への憧れが生んだ和ガラス

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16世紀中頃にポルトガルやスペインから
日本へやってきた「ガラス」。

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《青色菊形向付》
《緑色葡萄唐草文鉢》
《紫色菊唐草文鉢》

それが日本独自の「びいどろ」や
ダイヤモンドのような輝きを持つ
「ぎやまん」となります。

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《つまみ脚付杯》
《乳白色ツイスト脚付杯》

びいどろのかんざしと櫛。
何ておしゃれなのでしょう。

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《ガラス簪・笄》
《グラヴィール芦に雁図》
《ガラス入り鼈甲櫛》

カットの細やかなぎやまんの輝きには
思わず見惚れてしまいました。

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《切子蓋付三段重》
《切子三ツ組盃・盃台》
《切子文具揃》


色合いもとっても美しい切子です。

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《薩摩切子 藍色被船形鉢》


Story5: 東西文化が結びついた江戸・明治の浮世絵

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江戸の浮世絵は馴染み深いものですが、
明治のものは初めてみることもあって
とてもわくわくとさせられました。

展覧会のタイトル
「美を結ぶ。」を象徴するようでもあります。

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三代歌川広重
《東京名所上野公園内国勧業第二博覧会
美術館并噴水器之図》

上野の美術館の前に、
おめかしして集う人々。
和装の方とヨーロッパ風のドレスを着た方が
描かれているのです。

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美の「結び目」は、人々のお洒落にも
磨きをかけたことが見受けられます。


こちらは、和の髪型に
洋の衣装を纏う女性たち。

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水野年方
《婦有喜倶菜》

なんとも華やかです。


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小林清親《隅田川夜》は

フィンセント・ファン・ゴッホの
「星降る夜」のようでもありながら、
時代劇のワンシーンのようでもある
素敵な一枚です。


印象深かったこちらの作品の
クリアケースはおみやげにしました。

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Story6: 異文化を独自の表現に昇華したガレ

最終章では、エミール・ガレの作品が
展示されています。

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《飾棚「森」》


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フランスの芸術家ガレは、
自国の伝統に、日本を始めとする異国の
美のエッセンスを取り入れた
作品づくりをしています。

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《花器「バッタ」》


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《花器「おだまき」》


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《花器「木立」》

外国の方の作品から
「日本の美」を読み解くことは
とても面白い体験となりました。

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《壺「風景」》


6つの物語いかがでしたでしょうか。

日本の「美」が世界にひらいていったことも
世界の「美」が日本のそれと結びついたことも

作品を通して学ぶことのできた
素晴らしい展示でした。

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こちらの展覧会、昨年末に訪れたのですが
この記事を書くにあたり振り返ったことで
「美」についてあらためて
思いを巡らせることができました。

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それだけでもいい新年のひと時と
なったように思います!

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写真・文=Mana(まな)


『リニューアル・オープン記念展 Ⅲ
美を結ぶ。美をひらく。
美の交流が生んだ6つの物語』

会場:サントリー美術館
 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
会期:2020年12月16日(水)~2021年2月28日(日)
開館時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)

 ※1月10日(日)、2月10日(水)、2月22日(月)、は20時まで開館
 ※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日
 ※2月23日は18時まで開館
 ※12月28日(月)~1月1日(金・祝)は年末年始のため休館
 ※本展ではshopxcafeも休館日は休業
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2020_3/index.html



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