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私は高畠(たかばたけ)

高畠。

「たかはたさん。」

「あ、たかばたけです!」

このやり取りを幾度となく繰り返してきました。

最初は9.9割「たかはたさん」と呼ばれます。
故に、最初から「たかばたけさん」と呼ばれると、その瞬間トキメキます。

この名字を巡る忘れられない出来事…

高校1年生の4月。

「たかはたさん。」
「たかばたけです。」
最初の数学の授業での恒例のやり取り。
いつもの事なので特に気にする事は無く。

「たかはたさん。」
「たかばたけです。」
2回目の授業。この前訂正したのになぁ…

「たかはたさん。」
「あ、、たかばたけです。」
3回目。ふりがな打ってくれれば良いのになぁ…

「たかはたさん」
「はい。」
4回目、私は諦めました。

その日の授業の終わり、学級委員の男の子に初めて話し掛けられました。少し怒り気味に。
「たかばたけさん、あなたの大事な名字なんだからちゃんと訂正しないとダメだよ。」

衝撃でした。
今でも鮮明に覚えています。
教室の前のドアを出た所で声を掛けてくれた事。
その子の名前は…忘れちゃった、ごめんなさい。

確かに、高畠麻奈は世の中に私だけ。
たかはたまな、ではなく、たかばたけまな。

正直、今でも病院やお店など深いお付き合いじゃないなと言う時は「たかはたさん」と呼ばれても訂正せずに流してしまう事があります。

その度に、あの子の言葉が頭をよぎる。

ごめんね、私はまた自分の名字を大事にする事が出来なかった…同時に感謝も込み上げます。
後にも先にもそんな風に言ってくれたのは、あの子だけだったなぁ。…あ、飯田君だっ!!多分。

私は、高畠…たかばたけ、です!!

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