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私が着ぐるみさんを始めたきっかけ
たまに聞かれるのは「なんで着ぐるみしているんですか?」ということ。
『なんで』と聞かれると少々考えてしまう。
せっかくなので、これを機に自分自身の着ぐるみさん遍歴について考えてみることにする。
(意外とこういうことを書いてる人って少ないかもしれない…)
ヘッダー画像:さざむし さん
アニメ好きでも、特撮ヒーロー好きでもない
よくあるのは『○○のアニメが好きで…』とか『特撮ヒーローに憧れて…』という理由で着ぐるみさんを始めたケース。
最近では版権ものの着ぐるみさんを所有している方も増えてきている。
しかし私は幼少期には一切興味がなかった。
割と珍しいかもしれない。
変身願望は強かった
そんな中で変身に関する願望はなぜだか強かった。
毛布にくるまって何かを演じてたこともあった。(もちろん幼少期だよ!)
それに近しいもの、それが着ぐるみ
これが着ぐるみと私の接点だったかもしれない
「あやめ商店」のWebページとの出会い
インターネットに足を踏み入れてから…
時は2014年。当時は小学校4年生であった。
ようやくインターネットも普及が進み、はじめしゃちょーやHIKAKINといったYouTuberのパイオニアとも呼ばれる人たちが全盛期だった。
私もようやく自宅のパソコンからインターネットにアクセスするようになった。
「こっ、これは!」
とりあえずブラウザに「着ぐるみ」と入れて検索してみた。
出てくるのは遊園地やショッピングモールにいるような動物の着ぐるみばかりである。
そんな中で現れたサイト、それが あやめ商店 (現:ハダタイ.jp)である。
かわいらしい美少年着ぐるみの数々に私は想像を絶するほどのインスピレーションを受けた。
そこからというもの、毎日あやめ商店のサイトに訪れてはあやめ面を眺めていた。
これが私の着ぐるみさんの趣味への憧れの始まりである。
思春期からお迎えまで
しかし当時は小学校高学年。当然ながらお迎えできるだけの財力もなく、また工房さんも18歳未満とは取引することはしておらず、憧れが実現することはまだまだ先だと感じた。
大学進学
絶望的な病み期であったコロナ禍を経て、ついに大学進学。
着ぐるみさんを始めるにあたってしがらみになっていた制約がほとんど取れた。
後は費用だけである。
初めてアルバイトを始めた。すべては着ぐるみさんのために、馬車馬のように働いた。
当時を振り返ってみると、週5で授業に行きながら週5で働いていた。
(社員からは「ちゃんと大学行けとんの?」と心配されたくらい)
おかげで資金も貯まりようやくお迎えに向けてアクションをとり始めることになった。
発注とお迎えのための東京遠征
来る2023年9月某日、造型工房SIGMA のゆるふわちゃんをオーダーした。
よくわからない高揚感だったので、正直よく覚えていない。
SIGMAさんからメールが来るたびにドキドキワクワクが止まらなかったのを覚えている。
あとは肌タイツを用意するだけ。
選択肢は無限にあるのかもしれないが、自身にとっては一択だった。
言わずもがなあやめ商店さん。
自分をこの界隈に引き込んでくれた工房さんである。
しかしオーダーメイドなので採寸が必要である。
自分でできるように工夫されているものの、やはり初心者なので不安が残る。
『そうだ、東京行こう』
採寸のための東京遠征が決まったのだ。
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お迎え!
来る2023年12月1日金曜日。
午前中到着だったので、授業を放棄して家で待機していた。
11時前、インターホンが鳴る。
あの「天面シール」が張られたハコが届いた。
躍る鼓動をなんとか落ち着かせながら、ハコを開ける。
すると
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そこには10年来憧れていた、我が娘がいた。
その時の気持ちも例によって覚えていない。
しかし二度と体験できないであろう不思議な感覚に纏われたことは鮮明に覚えている。
着ぐるみさんになって
着ぐるみさんをお迎えしてから1年が経過した。
弱小零細かつ、低浮上極まりない着ぐるみさんではあるが様々な体験をさせてもらった。
また多くの着ぐるみさんにお会いすることができた。
また前のnoteでも述べたが、自身の疾病に対してポジティブな影響を与えてくれた。
幼少期からの憧れをカタチにすることは、当時思っていたよりも遥かに大変であった。しかし、それ以上に見える世界は素晴らしかった。
くだらない、ちっぽけな憧れであるが、想い続ければ叶うものだと実証できた瞬間でもあった。