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卒園式のない先生方へー本当の卒園、3月31日。
卒園式。
担任の先生は華やかな晴れ着でプレゼントやお手紙をもらって感極まってる。親もこぞって写真撮影。
それでいい。
担任にはもちろんたくさんお世話になった。
でも私には同じくらい、いやもっとかも知れない、
お世話になった先生方がいる。
14時以降の預かり保育の先生だ。ワーカーの親をもつ子供達はみんな、預かり保育で夕方までお世話になる。
うちの幼稚園は園バスがないから、14時には迎えに来た親が列に並び先生から一言もらって、みんな園庭で遊んでから帰る。 預かり保育利用の子らはそれを横目に見ながら別の部屋に移動し、仕事を終えた親が迎えにくるまで遊び、おやつを食べ、また遊んで過ごす。
そこでお世話になるのが預かり担当の先生方だ。
ほとんどの友達は親が来て帰っていった。一日遊んで疲れて、ちょっと切ない気持ちになった子らを受け止めてきたのが預かり担当の先生だ。
この先生方に卒園式はない。
私は卒園式のないこの先生方にこそ、心からの感謝を伝えたかった。
預かりを利用する年長さんは、卒園式の翌日からまた登園する。
変な感じだ。
そう、この子らの本当の卒園は3月31日。
私はその日、あえて混まない半日退園(11:30)にした。
春休み真っ只中のド平日。園は静かだった。
「そんなこと言われたの初めてです」
特にお世話になった4人の先生がたに声掛けし、ささやかなプレゼントに娘と撮った写真とお手紙を添えて渡すと、A先生は涙ぐんでそう言った。
手紙を書いたときは涙で字が見えないくらい号泣してしまった。字がふやけてないだろうか。
うっかりもらい泣きしていると、隣でしっかり者のベテランM先生も泣いているじゃないか。
「そんな気持ちでいてくださったことに感謝です、この仕事を誇りに思います」
先生も私も、顔をぐちゃぐちゃにして笑いあってサヨナラした、長女卒園の日の話。