正直愛されて育ったよ

愛ってなんだと思いますか?
信じること?尽くすこと?自分を犠牲にしてでも、その人を助けたいと思うこと?
まんさんには、わかりません。

でも、世間一般的に、まんさんは、とても愛されて育ったと言えるでしょう。

まんさんは、とってもワガママだったから。
愛された故、ワガママになったんでしょうね。

生クリームを食べられないのに、カラフルな生クリームのケーキを買ってもらいました。
少し高いような、自分の好みの服しか買ってもらいませんでした。
自分のやりたいことをやらせてもらいました。
誕生日でもないのに、ゲームを買ってもらいました。

今では、たくさんの精神疾患を抱えて。
まんさんは、結局なんだったんでしょうか?

最近になってやっと、劣等感、という言葉の意味を真に理解出来ました。

母親はとても可愛がってくれました。
何をしても、可愛いって、言ってくれました。
祖母も、お小遣いを、たくさんくれました。年金から貰っていたので、その度に母親が、貰った分を自分の財布から返していました。見てたよ、知ってるよ。

父親は、よく分かりません。保育園ぐらいまで、まんさんが起きる頃には仕事に行っていて、寝る頃にも家にいなかったから。
だから、たまの日曜日、父親と対面して
「またきてね」
と言うくらいでした。
同じ家で暮らしてるの、知らなかったから。父親という存在は、たまに遊びに来てくれる人、という認識だったのだと思います。

そんなことはどうでもよくて。
とにかく、世間一般的に家族に愛されて、心配されて、たくさんの愛情を注がれてきたとわかっているのに、例えば、コップの底がないみたいな。そんな感じ。
よくみんなが例えるやつですね。
まんさんは、つまらない人間。

どれだけ愛情を注がれても、足りないんです。
足りないから、もっとワガママになって。
足りなくて、ずっと、足りないから

まんさんは、たくさんの人に愛される人間ではありません。
世界を1枚の紙に書いて、その1枚に人々がいるなら、まんさんは、きっと、その上から貼り付けたメモ用紙みたいに。

キチガイが好きです。
まんさんは普通でつまらなくて、ただ、浮いてるだけ。
同じように浮いてるキチガイなら、きっと仲良くなれるから。

でもね、何をしても、誰と話しても、あー、みんな、まんさんより優れてる。
すごい。かっこいい。かわいい。かしこい。やさしい。
ふわふわ言葉、まんさんにとっては、ちくちく言葉だよ。
だって、まんさんには、何もない。
世界中、全ての人間が羨ましいよ。

がんばったね。
がんばってない。

かわいい。
ちょうしにのらせないで。

すごいよ。
あなたのほうがすごいのに。

なんにもできないね。
ごめんなさい。

おぼえるのおそいね。
すみません。

勝手な行動しないで。
申し訳ございませんでした。

何度言ったらわかるの?
申し訳ございませんでした。


もう、まんさんは、まんさんじゃないのかもしれないね。
じゃあまんさんは、だれだろう。

まんさんだよ。

切り離して、全部無くして。
名前を変えるのは難しい。
世界から消えることは出来ない。
社会的にも、物理的にも。
まんさんって存在は、微粒子のレベルで、毎日棄てられて、生まれて、棄てられて。

でも、まんさん、まんさんの新しい名前、まんさんだよ。

そっか、まんさん。まんさんはこの名前、すごく気に入った。

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