速攻と遅攻
僕が子どものころ『SLAM DUNK』が流行って、バスケの人気が高まりました。
あ、ちなみに僕はバスケへたでした。だいたい突き指します。でもまあ流行ってて、バスケ部には入らなかったけど休み時間とかよくやってました。
んで「速攻」というのが一般名詞になりました。野球のように攻守が完全に入れ替わる競技ではないバスケでは、素早いリターンで攻め込むのがひとつの戦術でした。
そういえばサッカーも流行ってました。Jリーグが始まったばかりのころです(サッカーも苦手)。
サッカーもバスケほどではないけど、素早いリターンからゴールを狙う戦術はあります。
まあそういうわけで「速攻」というのが正義な面がありました。
バスケでもサッカーでも、攻め込まれた後は速攻。がむしゃらにボールを運んでしまえ。
しかし頭の悪い僕らゆえ、なかなか上手くいきません。上手くいかないし、いっても足が速くてテクニックのある奴の独壇場になります。
そんななか、体育ではなく別の教科の授業なのですが、先生がそういう速攻至上主義な僕らに聞きました。
「じゃあなんで速攻にしない場面があるの?ぜんぶ速攻にすればいいじゃない?」
これにはバスケ部もサッカー部も、もちろん僕も、誰も答えられませんでした。バカでした。
先生はにやにやしてたと思います。
答えはありませんでした。教えてくれませんでした。
あれから○十年。今なら答えられます。
きちんと組み立てて
複数人であたったほうが
基本的には得だから。
これを遅攻と言うようです。いや言葉は当時も知っていましたが、遅攻のメリットが理解できていませんでした。
全員であらかじめ考えておいたフォーメーションを組み、練習してきたパス回しで攻め込むのが最も効率的。
というより、それを無価値というなら、ふだん練習する意味がありません。
速攻にすべき場面は、遅攻よりも得点効率が良さそうと判断できる場面。相手の陣形が崩れていたりなど。
もちろんこちらも陣形が組めていないのだから、そこは乱戦になります。乱戦になろうともチャンスだから、見逃さずに素早く攻める。
ようは使い分け。
まあ子どもの頃は、プレイヤーの技術にも差があったし、うまい奴にとっととボール集めちゃうのが戦略的にも妥当だったから、そうなってしまうもんです。
それはさておき。
新型コロナ対策(国内の話)。
乱戦の速攻から、じっくり組み立てる遅攻の場面に移ってきたと感じます。
もちろんまだ素早い処置を施さないと危ないところはあるのですが、局面としては全体を俯瞰しながら作戦を組み立てる時期になりつつあります。
ただまあ見方としては攻守が逆。
ウィルスに攻められて、僕らが乱戦に持ち込まれた形。
それをなんとか軽傷(と呼べると思う)で防いで、陣形を整えられる時間ができました。これ以上の被害を最小限に食い止めるために、作戦を練って陣形を立て直す必要があります。
ま、ごちゃごちゃ言ってきましたけれど。
雨に降られたら駆け足で雨宿りできるところを探して、それで雨宿りできたから、さてどうしようかと考える。
これだけのことですね。さてどうしようか。
まだ世間には、速攻気分な方々も多いように見受けられますが、ちょっと落ち着いて、じっくり参りましょう。
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