中国は「砂でできた巨人」
中国については、今後、世界の覇権を握り、一種の「帝国」となると言ったことがしばしば言われますが、「幻想の中国」と「現実の中国」を冷静に分ける必要があります。
中国を必要以上に大きく見せるのは、中国でビジネスをする欧米の財界人で、中国の未来を過大評価する事に経済的利益があるからです。
中国が今後「帝国」になる事は、政治的にも経済的にも無いでしょう。
中国の未来は悲観せざるを得ないという点で、人口学者は一致しています。
少子化と高齢化が急速に進んでいるからです。
特に懸念されるのは出生率の男女比です。106人(男子)対100人(女子)が通常比率であるのに対し、今日の中国では、118人(男子)対100人(女子)という、将来の人口構成に悪影響を及ぼす異常値を示しています。出生前の性別判断が技術的に可能になり、女子の選択的堕胎が行われているのです。
元来、中国の伝統的な家庭構造は「女性の地位の低さ」を特徴としていますが、近年の中国社会では、伝統的価値が改めて台頭しているわけです。
そんな中、中国からは若いエリート層がどんどん国外へ流出しています。
中国経済は確かに成長を遂げましたが、内需が弱く、輸出依存の脆弱な構造になっています。中国は、いわば「砂で出来た巨人」にすぎません。
では、そうした中国に日本はどう向き合うべきなのか。
まずイデオロギー面と軍事面においては、毅然とした態度を取るべきです。
その為に日本は、必要な軍備を整えればいい。
歴史問題をしつこく蒸し返されるのであれば、「第二次世界大戦はもう終わったのだ」と言えばいい。南京虐殺を毎度持ち出されるなら、死者の数から言えば毛沢東の圧政による方がはるかに多いと返せばいい。
日本がキッパリと語れば、中国首脳はかえって聞く耳を持つでしょう。
その一方で、経済問題に関しては、協力的な態度を明確にすべきです。
中国経済は、日本が援助すべき多くの問題を抱えているからです。
米国と世界が不安定化する中で、安全保障問題は、核保有の是非も含めて、日本にとって今後、死活問題となるでしょう。
それにしても、最後に申し上げたいことがあります。
国家が思い切って積極的な少子化対策を打つこと、出生率を上げる為の社会制度を整えることこそ、安全保障政策以上に、日本の存亡に直結する最優先課題だということです。
以上、「老人支配国家日本の危機」エマニュエル・トッドより抜粋拝借
ここを読んで、思ったことは、最近中国が海外に「警察機関」の出張所を設けてる事が世界で言われていますが、この記事にあった、中国の若いエリート層が海外脱出をしている点を中国も懸念しての対策ではないかと思った次第です。