212.いざとなれば権謀術数を張り巡らせるより、度胸と覚悟が人を突き動かす
著・三松會 占心行動学塾長 脇田尚揮 ■LINE公式アカウント■
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社内の人間関係は、会社の規模が大きくなっていくほど複雑化していきます。一人会社や個人事業なら基本的に自分が好きな方向に舵を切れます。しかし、2人3人と共に働く人が増えれば、相手に了承や確認をとらなければならなくなるため、その速度感は鈍ってきます。さらに増えれば社内会議が必要になったり、稟議書をとる手間も生じるでしょう。
そんな中で自分の進みたい方向に会社の方針を持っていこうとするなら、周囲の評価や支持を得られなければいけません。そこで人心を掴むことが必要になってくるという訳です。これは政治の世界とよく似ている構図だと言えます。
そのため、根回しや発言力といった要領の良さや器用な立ち回りがモノを言う部分が出てきます。そこでは“権謀術数”を張り巡らせるケースが多く見られます。権謀術数とは人を巧みにあざむく策略という意味で、ビジネスの世界でも自分の意見を通したり地位を高めるために裏工作として用いられることがあるでしょう。
この“権謀術数”という言葉は、中国の儒学者「朱子」が記した『大学章句序』が出典です。「権」は権力、「謀」は謀略、「術」は技法、そして「数」は計算を意味しており、目的のためなら「きれいごとばかりではない」方法も辞さないさまを伝えています。
本来『大学章句序』は人を貶めるために書かれた書ではなく、思いやりの必要性やほどよいバランスの中で善し悪しを判断できるようになるべきだ、という生きるための訓示が述べられた内容です。そんな中で権謀術数という言葉は、本来の人の生き方の“悪い例”のひとつとして挙げられています。
もしも権謀術数がまかり通れば、それは「結果さえよければどんなに非道徳的な行為も正当化される」という“マキャベリズム”に繋がってしまいます。果たして一過性の支持は得られるかもしれませんが、最終的に人がそこへついて行こうと心から思えるかは疑問です。
どんなに緻密なはかりごとより、結局は多少泥臭くても“度胸”と”覚悟”を示すことこそが人を突き動かす原動力となるのではないでしょうか。
Q.あなたは支持を得るためにどのような手段を用いますか? 目的のため倫理に背くことはどこまで許されると思いますか。