
「要領のいいひと」が見えないところでやっていること
日々仕事をしていると妙に「要領のいいひと」っていないでしょうか。僕もたまに「要領いいよね」と言われることはあるのですが、自分自身を振り返ると、結構周りにいる「要領の良い人たち」の動きから学んだことが大きかったなと思うので、ここに共有いたします。
「力点を知る」ための裏リサーチをかかさない
昔見た編集者の先輩でめちゃくちゃ幅広く活躍している人がいたのですが、その方の特徴は、「力を入れるところ/抜くところの判断がめちゃめちゃ鮮やかだったこと」でした。
力を入れるときは本当に細部の細部にまでこだわるのに対し、手を抜き時は逆に「え、先輩大丈夫ですか?」「魂抜けてないですよね?」と心配になるくらい手を抜いている。遠くで見ていたころは気づきませんでしたが、近くで仕事をするようになって、仕事の集中力にこんなに濃淡があるのかと驚いたことがありました。
こんな風に要領がいい人は、どのタスクに全力を注ぎ、どこを省くべきかを徹底的に見極めているように思います。そしてこの判断は単なる直感ではなく、「顧客価値への直結度」や「組織ビジョンとの整合性」、さらには「KPIへの影響度」といった評価軸で裏付けられている印象です。
こうした人は普段から、読者のフィードバックや業界の動向、社内の経営目標などを密かに分析し、「ここはがんばる価値がある」「ここは過剰品質にする必要がない」といった基準を自分の中にストックしています。その背景分析こそ、「疲れを見せない強さ」の源泉なのです。
◆要領の良い人は「ミスしても許される何か」を醸成している
「要領がいい人」がすごいなと思うのは、一見「手を抜いている」と思われるような箇所でも、周囲からそんなに咎められないということです。いや、咎められているのかもしれませんが、「なぜか許されている」というか。これは、「手を抜く」前に築かれた信頼関係があるからだと思います。
彼らは、実績やスキルで結果を示した後、自分の苦手分野もあえて開示し、冗談や軽い雑談で距離を縮めます。この「おちゃめな自己開示」を裏で丁寧に積み重ねることで、同僚や外部パートナーから「まあ、彼(彼女)なら仕方ない」と受け入れられる土壌ができている。こういう信頼があるからこそ、無理な要求やタスク軽減も円滑に進むんだなと、新卒時代の僕は学びました。
結論、要領がいい人は、
読者が「ここは手を抜かないでほしい」と思うポイントへエネルギーを集中する
外注やパートナーに委ねられる部分は遠慮なく任せる
トレンド要素を導入しやすい余地を常に残しておく
といった調整を裏で巧みに行い、目に見えない競合優位を生み出しているようなきがします。
この結果、要領のいいひとは上司から「必要なポイントを外さず届けてくれる」(多少荒はあるかもしれないけど)という信頼が積み上がり、長期的なブランド価値が形成していくのです。
◆小手先の「時短」ではなく、組織と顧客価値を編み込む発想
「要領のいいひと」の長所は一見、足元の生産性やスピード感を軸に語られることが多いと思いますが、彼らが裏で丹念に行っているのは、組織が求める方向性、顧客(読者)が欲する価値、そして自分自身の強みと弱みを一体化させるプロセスだったりもします。
こうした立体的な思考が、単なる「生産性向上ノウハウ」では得られない独自の優位性を生み、他のビジネス書では得られない「ひと味違う」示唆を現場に落とし込んでいるのだろうなと。
ぼく自身も、「なんとなく器用に立ち回る」のではなく、戦略的に要領の良さを獲得できる道筋を立てて、自分も周りも勢いづかせられるような仕事がしたいなと日々思っています。