見出し画像

男女平等はどこまで進んだかー女性差別撤廃条約から考える

5月の図書はこちら。
「男女平等はどこまで進んだかー女性差別撤廃条約から考える」
著:山下泰子 矢澤澄子 国際女性の地位協会

↓Amazon購入ページはこちら。
https://amzn.to/44jtNIQ

今回の図書、今までと少しテイストの違うもの選んでみた。
この図書を選んだ理由は二つ。

  1. 今まで女性が書いた本というのをそんなに読んだことが無かったから。小説では女性作家の本を読んだ事はあったものの、最近よく読む評論?では、読んだ本のほとんどが男性作家の著書だったから。そのため、女性が書いた評論を読んでみたいと思ったから。

  2. 1月の図書で挙げた「予測不能の時代」にて、意見が出やすいグループでは女性の比率が高いという事実があった。じゃあそれぞれの組織にて女性比率を高くしていけば自ずと良い意見がどんどん出るじゃんとか思ったが、そうなっていない現状に疑問を抱いたから。組織の女性比率が低いためにこのような事実から男女比を考慮した方が良いという意見があるのではと思い、「女性の社会進出はどこまで進んでるのか?」といった問いの答えを見つけるためにこの本を読んでみた。

「女性の社会進出はどこまで進んでるのか?」という問いの答えを先に言うと、「日本において、女性の社会進出は全然進んでいない。男女平等の社会とはとても言えない現状。」と、この本を読んでみて思った。



女性の社会進出が進んでいない主な理由をこの本から二つ、個人的にピックアップした。

1.社会的固定観念が埋め込まれている

女性の社会進出が進んでいないの理由の一つが、男性はこうあるべき、女性はこうあるべきといった社会的固定観念が埋め込まれているから。簡単に言えば、男性は外で働き、女性は家で家事を行うみたいな。徐々にこの考えは減ってきているものの、未だに多くの人が男女はこうあるべき論を持っているのも事実。

ジェンダーの本来の意味は「身体的、生物学的性別」のことであるが、実際は社会的制度、文化、慣習に基づいている。そのため周りからの影響によって一人ひとりが意識的かつ無意識的に、この社会的固定観念を身に付けていってしまいるのが現実としてあり、女性の社会進出がなかなか進まない大きな理由となっている。

女性の社会進出とは話が一旦逸れるが、夫婦における姓の選択にも社会的固定観念が現れている。入籍した夫婦は同じ性を名乗らなければならないと法律で決まっているが、特にこちらの姓を名乗りなさい!といった事は決まっていない。

しかし、夫婦の実に96%が夫の姓を選択しており姓を変える負担が女性ばかりにかかっているのが現状となっている。要は、男女が結婚したら姓は男性のものにするのが当たり前という社会的固定観念があり、その負担は女性ばかりにかかっているという事。

夫婦別姓を進めればいいのでは?という声が多くあると思うが、「家族みんなが同じ姓の方が絆が深まる」とか「生まれてきた子供の姓はどうするんだ」といった意見がやはり根強く残っており、なかなか進めることが出来ていない。この点に関しては、なんとなく絆が深まるっていう意見は個人的に分かる気がするから深くは言及出来ない。。。

2.アンペイドワークが女性に重くのしかかっている

アンペイドワーク:無賃労働、無報酬労働
1で挙げた通り、家庭内の仕事は女性がするものといった固定観念から家庭での家事・育児・介護といったアンペイドワークは圧倒的に女性に偏っている。これはみんなも共感できるはず。
実際に2011年の調査では日本におけるこのアンペイドワークの貨幣評価は実に日本のGDPの24.9%、138.5兆円となっており、女性がその8割以上を担っている。これは女性が家庭での仕事という社会的に評価のされない、周りには見えない膨大な仕事を担っているということ。これだけの仕事を女性ばかりがしていたら、、そりゃあ、、社会に出ようなんて思わないよな。。

実はこうした背景から、その延長線上に見られる保育士、介護士、看護師の仕事の賃金は低く抑えられてしまっており、これらの職に就いている割合が多いのもやはり、女性。なんか、なるほどな―と思った。



事実関係で終わってしまうと、女性の社会進出が出来ていない理由ばかり述べて、ネガティブな感じで終わってしまうため、ここからはじゃあ今の自分達に何が出来るかも述べていく!

Ⅰ.長時間労働の是正

これ?と思ったかもしれないが実は長時間労働を是正する事が女性の社会進出に大きなインパクトを与えられる事が出来る。

今の日本では週60時間以上働く人が最も多いのは30代男性である。という事は、育児に必要とされている男性(要は30代男性)ほど長時間労働をしているのが現状。そうなると女性ばかりが家事・育児をする必要があり、産後の職場復帰、つまり女性の社会進出が難しくなってしまう。

そこで長時間労働の是正である。今はもし時間外に仕事をすれば時間外手当は出て働くことが出来てしまう。そのため、ここを是正するためにそもそも労働時間の上限を定めてしまうことも今後は重要になってくるのでは?

仕事も大事かもしれないが、家に帰って家事・育児・介護をすることも大事だよと、、早く家に帰りましょうよ、、という話です。

Ⅱ.家庭内での男女関係を平等とする

子は親に似る、と言われるがそれは事実であり、実際に子供にとっては過程が初めての学びの場であり、親がロールモデルとなっている。それにも関わらず、家庭の中で夫婦が平等でないとどうなるか?

それは、女性に対する差別意識が子供の中で再生産され、社会としてまた継承されてしまうのである。

お母さんは女性なんだから掃除機をかけて、お父さんはソファでごろん、なんてしてると家事=女性がするものという社会的固定観念が子供に根付いてしまう。そうすると、その子供が親の立場になった時にまたそれが継承されてしまう。それがまた継承されて、また、また、また、、結局女性が家事から抜け出せず、社会進出できない未来が続いてしまう。
家事は分担!!お父さんもお母さんも、二人とも家事はする!!

Ⅲ.男女平等に評価する

学校教員における女性比率として、小学校⇒中学校⇒高校⇒大学とあがるにつれて女性比率は下がっていく。かつ、校長や学長など上に立つ人間も女性比率が低く、圧倒的に男性が上位にいる。

これはつまり、教える立場に男性が多いという事である。これは企業などにおいても言える事だと思う。じゃあ教える立場、上に立つ者に男性が多いとどうなるか?

これが実は問題であり、人間は自分と似ているものへの評価が高くなるという「評価のバイアス」がかかってしまう。そうなると、教える立場、上に立つ者が男性ばかりであるため、自然と男性ばかりが評価をされてしまい、男性ファーストとなりやすくなってしまう。

この事実は受け入れ難いが、正直分かるなーと思ってしまった。ただ、この事実を知ったからこそ次のアクションへ踏み出せる。

要は、男女という性別は関係なく、バイアスを捨てて相対評価を下す。

中々このバイアスには気づけないかもしれないが、教える立場、上に立つ者こそこうゆう事実があるんだという事を忘れてはいけないと思う。



この本を読んでみて、今まで男女の平等さ?みたいなものを深く考えてこなかったんだなーと思ったし、自分自身が男女の社会的固定観念を持っていたことに正直嫌気がさした。(笑)

ただ前述したとおり、学んだからこそ行動を起こせると心に刻んで明日から行動していこう!

お わ り

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?