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すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険

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「すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険」
著:山本健人

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この本はいつも読んでるNewspicksでも記事で紹介されてたり、店頭で平置きされてたのもあって気になって読んでみた。普段は何か目的をもって本をチョイスしてるけど、今回は本当に興味本位でただ売れてる本を読んでみようという気持ちで読んでみた。

読んでみた感想は、普通に面白かった!

医学に関する本を読むこと自体初めてだったけど、この本は医学に関する初級も初級について紹介している本だったから、内容も非常に分かりやすかった。こんな風に言って良いか分からないけど、簡単に言っちゃえば医学に関する雑学本みたいな感じだった。

てことで、この本の要約は少し雑学ちっくになるけどご了承あれ。



1. うんこはなぜ茶色なのか!?

早速こんな要約ですみません。(笑)
ただ長年疑問に思ってたことが、まさかこの本を読んで解決するとは思ってなかったという衝撃から、この内容をピックアップした限り。

端的になぜ大便が茶色なのかと言うと、胆汁に含まれるビリルビンが腸内細菌によりウロビリンに変化し、これが便を茶色にしている。胆汁に含まれるこのビリルビンとは、赤血球の成分であるヘモグロビンが分解されて出来たもの。

赤血球というのは寿命が120日程度で老化した赤血球は破壊され、中のヘモグロビンは肝臓でビリルビンに変化する。これが胆汁の成分として十二指腸に流出され、様々な消化器官を通り便として排出される。

ウロビリンが生成されるまでのフロー

実はこの仕組みが黄疸にも繋がっている。
(黄疸:皮膚の表面や眼の結膜が黄色に変色すること)
肝臓機能が低下する、十二指腸に胆汁を排出するための胆管が詰まる、ビリルビンが過剰に排出される等が起こると、ビリルビンが分解できずに血液中にあふれ出し、皮膚や結膜が黄色に変色してしまうのが黄疸の仕組み。
要は、黄疸はうんこの色が皮膚や結膜に現れ変色するってこと。


2. 人が一番楽な姿勢とは?

お次は良肢位に関して。
これも読んでいてビックリした話。

人が筋肉や関節に負担がかからない、最も楽な姿勢というのは医学的に決まっている。その姿勢は以下の絵の通り。(精一杯頑張って描いた棒人間)

良肢位

この姿勢は良肢位と呼ばれている。
いずれの関節も伸びすぎたり曲がりすぎたりしていると負担が大きく、その中間くらいの角度が最も負担が小さいのである。

今日仰向けで寝ている時に、ふと自分の姿勢を俯瞰視してみてほしい。
この良肢位をしちゃってる自分にビックリすると思う。(笑)


3. 固定観念に縛られる。。

この章では2つの医学史について紹介する。

3.1 脚気

脚気は神経の障害によって手足が麻痺し痺れなどを引き起こす病気で、重度になると心臓に障害を起こして死亡するリスクを持っている。そして、この病気はかつて日本で国民病と言われるほど流行していた。

この病気が流行り出したのは江戸時代の頃で、玄米に代わって白米が徐々に普及するにつれ脚気が広まり出した。その理由は、米の胚芽に多く含まれているビタミンB1が精米によって取り除かれてしまうから。かつ、当時副食も乏しく、そもそもビタミンB1は欠乏しがちだった背景がある。つまり、ビタミンB1が欠乏することにより脚気が広まったのである。

明治時代以降はさらに脚気は広まっていたが、海軍の軍医は上記の事実に気づき海軍の中で白米ではなく麦飯を食べさせることにより脚気罹患者を減らした。その一方で、陸軍の軍医はその当時医学界でトレンドであった細菌説にこだわってしまった。

その結果、以下の通り海軍/陸軍で脚気による死者数にそもそもの母数の違いもあるけれど大きな差が出てしまった。
日清戦争⇒ 海軍:0人 陸軍:4000人以上
日露戦争⇒ 海軍:3人 陸軍:2万7000人以上
海軍/陸軍それぞれの軍医の考え方次第でこれだけ死者数に違いが出てしまった事実はなんだか悲しいよね。。

3.2 手洗い

現代に生きる私たちにとって細菌やウイルスは病気を引き起こす存在であることは周知の事実である。しかし、昔はこの考えは馬鹿な考えだと思われていた。

なぜか?

それは、昔はそもそもそのようなものが存在することさえ知らなかったためである。つまりは最近やウイルスは目に見えないものだったから存在すら知られず、それが病気を引き起こすなんて、、という考えだった。

そのため、昔は病気の元というのは、なんと有毒な空気(瘴気)であると考えられていた。瘴気というなんだか悪い空気があって、これを吸ってなぜか分からず発熱したりすると考えられてたってこと。

前述の通り、細菌やウイルスの存在を知らなかったため、昔は手が汚いことによる感染症の誘発も知られていなかった。

このような時代背景がある中、19世紀にウィーンにて産科医をしていたゼンメルヴァイスは「手洗い」によって出産後の患者の発熱を防ごうとした。実際に出産に立ち会う医師が手洗い、消毒をすることで産褥熱の発症率は格段に下がり、出産時の産褥熱による死亡率も下がった。出産の時に産科医が手も洗わず汚い手で子供を取り上げてたなんて考えるとゾッとするよね。(笑)

しかし、当時は瘴気説が通説で病気は悪い空気から来るものとされていたため、ゼンメルヴァイスのこの考えは世間に全く受け入れられることなく逆に嘲笑や批判の的となってしまい、精神疾患を患い47歳で亡くなってしまった。。

3.3 固定観念

「3.1 脚気」「3.2 手洗い」はこの本の中で別々の章で記述されていたけれど、どこか通ずる点があると思う。

それが人間はどうしても固定観念に縛られてしまうという事。

人間はこれまでの考えや周りの考えを当たり前とし、それに固執してしまう。今の自分が固定観念に縛られることによって多くの人が亡くなってしまうという事は無いかもしれないけれど、多様性がどうとか、LGBTQがどうとか色々と叫ばれている中でこの二つの医学史から学べることは大きいと思う。

新しい考えや知識に出会った時に馬鹿らしいと思うのではなく、過去の先人たちを思い出し、自分は今固定観念に縛られているのではと振り返る。上記の医学史がその一助になれば幸い。で。す。


と、まあ色々と書き連ねたけど結局言えるのはこの本面白かったなーってこと。(笑)

少し分厚めの本だけど医学という分野に対して理解しやすく知的好奇心を湧かせる非常に良い本だったと思う!

お わ り

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