見出し画像

ロビンシュルツのシュガーは最高!でも、ベビーバッシュのシュガシュガもイイ感じ(オススメMV #158)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の158回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は、ロビン・シュルツというドイツのDJのオススメMVと、その元ネタ(サンプリング元)のMVの二本立てでお送りします。
ロビン・シュルツのMVは、一度観たら忘れられない映像も特徴的ですが、楽曲も素晴らしく、バランスの取れたオススメMVとなります。

まずはそのオススメMVをご覧ください。
ロビン・シュルツの「Sugar」です。どうぞ!

アフロヘアーの青年とヘンテコなオッサンが特徴的なMVですが、耳に残る楽曲も印象的で、バランスの良いMVとして仕上がっています。
中でもYouTubeのサムネイルにもあるヘンテコなオッサンが際立っており、このMVはこのオッサンのためにあるのでは?とすら思えるほどです。

ロビン・シュルツ(Robin Schulz)は、リミックスやサンプリングが得意なドイツのDJです。
最初のビックヒットは2014年リリースの「Waves」(原曲はミスタープロブズ)で、続いては同年にリリースした「Prayer in C」(原曲はLilly Wood and the Prick)なのですが、この2曲がヨーロッパ各国のチャートでトップを独占し、一躍有名になります。
そして、翌2015年にリリースされたのが、この「Sugar」となり、ヨーロッパ各国で1位を取るだけでなく、USでもヒットしました。
「Sugar」についても原曲があるのですが、オリジナルの楽曲についてはあらためて紹介&解説しますので、ここでは割愛させてもらいます。
なお、ロビン・シュルツは以前に本連載でもチラッと紹介したことがありますので、ご興味ある方はご覧ください。(以前にチラッと紹介した回はコチラ⇒「満を持してオリバーツリーの登場だ!イケてるDJとコラボしたイケてるMVをご紹介」

では、さっそくMVの解説に入りましょう。
最初にパトカーの映像から始まりますが、すぐアフロヘアーの青年の映像に切り替わり、イントロではほとんどこの青年の映像がメインとなります。
この青年が「Sugar」のボーカルを務めるカナダのシンガーソングライター、フランシスコ・イェーツ(Francesco Yates)となります。
この「Suger」のMVの技ありポイントの1つ目が、このイントロ部分となります。
というのも、ボーカルが入るまでのイントロ部分ではボーカリストがメインで登場し、ボーカルが始まると逆にメインで登場するのはMVの主役となる別のキャスト(警官役のオッサン)というある種の逆張り的な構成となっているのです。
これが、MVのメイン部分(つまり歌詞の部分)でシンガーが歌いながらそのまま登場すると、主役である警官役のオッサンが目立たなくなり、かといってシンガーを出さないというのも歌に対する印象付けが弱くなるだけでなく、客演で歌ってくれているシンガーに失礼とも言えます。
そこで、イントロ部分でシンガーを前面に出すことで、歌詞の流れるメインの部分では主役の警官役のオッサンをガッツリ使うことができているのです。

そして2つ目の技ありポイントが、1つ目とも関係するのですが、シンガーであるフランシスコ・イェーツと、警官役のオッサンの対比です。
アフロヘアーの幼さも残る青年と、(表現は悪いですが)頭髪が薄くなっている中年のオッサンというある種両極端な対比により、ほとんど警官役のオッサンのみの映像にもかかわらず、飽きがこず最後まで観ることができているのです。
そのため、シンガーとしてフランシスコ・イェーツを客演に迎えたことは、楽曲としても正解ですが、MVとしても大正解と言えるでしょう。
ちなみに、MVでは幼さの残る青年のフランシスコ・イェーツですが、10年近い年月が経ち、今ではイケメンではあるものの立派なオッサンになっているというのも念のためにお伝えしておきます。

そして最後の3つ目が、技ありポイントというより、警官役のオッサンの存在自体がこのMVの特徴となっており、このMVはこのオッサンのために存在しているといっても過言ではない程です。
「オッサン」と連呼してしまっていますが、この方はUSでは有名なコメディアンで、ネイサン・バーナット(Nathan Barnatt)とおっしゃいます。
このMV以外にも複数のMVに登場しており、その中にはお気に入りのMVもいくつかありますので、彼の登場するMVの特集を組んでみようかとも思っていますので、ご期待ください。

MVの話に戻しましょう。
最初にパトカーに乗って登場する際には、売れっ子映画俳優であるジェイソン・ステイサムばりのイケメン中年とも見えますが、すぐに彼の破天荒ぶりが露呈され、パトカーの中で踊り始めたと思ったらメチャクチャな運転になり、洗車場に入ったと思ったら上半身裸で踊りながら洗車する始末です。
きれいになったパトカーで街を暴走し、止まったと思ったらトランクの中のスーツケースから取り出した服に着替えて歩き出します。
最初にこのMVを観たときにはこの衣装替えの意味が分からず、『???』という感じだったのですが、後々(のちのち)原曲の存在を知りそのMVを見て『なるほど、こういう意味だったのか!』とニンマリした次第です。

と、MVの解説の途中ですが、我慢できないのでもう1つのMVを紹介させてください。
それは、この「Sugar」のオリジナルの楽曲のMV。
ベビー・バッシュの「Suga Suga ft. Frankie J」です。

シブいですねー。
MVも悪くはないのですが、それよりも楽曲がめちゃくちゃイイ!
最近のよくあるHIPHOPとは違いメロディラインがしっかりとしていて、ヤンチャなだけではなく哀愁すら漂わせており、なかなか無い楽曲です。
名曲とも言えるんじゃないでしょうか。

ベビー・バッシュ(Baby Bash)はUSのラッパーで、1990年代後半から活動を開始し、2001年に1stアルバムを、2002年には2ndアルバムをリリースしたのち、2003年にリリースした3rdアルバム「Tha Smokin' Nephew」にこの「Suga Suga」が収録されています。
そして、この「Suga Suga」が彼のNo.1ヒットとなっているのですが、実はリアルタイムではこの楽曲およびMVの存在を全く知らず、上で紹介したロビン・シュルツの「Sugar」のMVをきっかけに知ったのです。
「Sugar」の楽曲について調査した際に、原曲があり、その原曲がこのベビー・バッシュの「Suga Suga」で、かつMVもあるというのでさっそく観てみたところ、MVもイイのですがそれよりも楽曲が素晴らしく、存在を知った時には「Suga Suga」ばかりをヘビーローテして聴いていたほどです。

しかし、MVについては、悪くはないのですが微妙というのが正直なところです。
ベビー・バッシュと客演のフランキー・Jが乗る車のモニターに映る映像がMVの映像のメインとなっており、モニターの中の世界と実世界の車の中が行ったり来たりするという構成になっています。
なぜこんな構成にされたのか理解に苦しみますが、車の中の映像はナシにして、メインの映像のみで構成したほうがスッキリしてよかったのではないかと残念でなりません。
と、悪いように書いていますが、残念なのはそこだけで、それ以外は楽曲と映像のマッチングも良く、良質なMVとして仕上がっています。
何より楽曲が素晴らしいので、その素晴らしい楽曲に引っ張られて映像もすんなりと観れてしまっているようにも思います。

さて、話が長くなりましたが、この「Suga Suga」のMVでのベビー・バッシュの衣装(緑のアッパーと白いニット帽に首から下げたチェーン)が、「Sugar」のMVで警官役のネイサン・バーナットがトランクの中のスーツケースから出して着替えた衣装そのものなのです!
「Suga Suga」のMVを観て、「Sugar」の着替えの意味を知り、『なるほど、そういうことか!』とニンマリした...という次第なのです。

この2つのMVを見比べると、「Suga Suga」のMVの複雑な構成に比べて、「Sugar」のMVは極めてシンプルであることが分かります。
登場人物も少ないですし、ストーリーも単純です。
しかし、その中でも飽きさせないような様々な工夫さなされており、しっかり印象付けがされているところが技ありですね。
楽曲についても、オリジナルの「Suga Suga」の印象的なメロディーラインだけを抜き出して今風(というかEDM風に)リミックスしており、これもある種技ありと言えるのかもしれません。
しかしながら、楽曲としては「Suga Suga」のほうが味があり、個人的には「Suga Suga」のほうが好みだったりします。

今回は、一度観たら忘れられない技ありMVである「Sugar」と、そのオリジナル楽曲の「Suga Suga」のMVの2つを紹介しました。
どちらもオススメのMVであり、かつ楽曲も両方オススメですので、MVも楽曲も両方とも楽しんでください。

(ネイサン・バーナットの特集も近々お届けしますので、ご期待ください)

ではまた次回に。

いいなと思ったら応援しよう!