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くせになる楽曲のニューオーダー、くせになるMVのエンパイアオブザサン、続けてどうぞ!(オススメMV #25)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の25回目です。(連載のマガジンはこちら)

前々回の「味わい深いレベル42とニックカーショウの謎なMVなど、1980年代は良質MVがてんこ盛り」の回に、「The Riddle」の説明の中でニュー・オーダーの話をチラッとさせてもらったので、今回はそのニュー・オーダーのMVを取り上げてみます。
もうひとつのMVは、ニュー・オーダーに負けないぐらいインパクトのあるMVですので、最後までお楽しみください。

では最初のMV、ニュー・オーダーの「True Faith」です。

ヘンテコなMVですが、ヘンテコ感というか違和感を全く感じさせず、もはや芸術の域に達しているとすら思える、すばらしいMVです。
楽曲とのシンクロだけでなく、楽曲の世界観とマッチしており、もう何も言うことはない...という感じです。

ニュー・オーダー(New Order)は、1981年に結成されたテクノバンドなのですが、今のテクノの発展に寄与したバンドの中のひとつです。
テクノの殿堂があれば、殿堂入り確実です。

1970年代までのエレクトロニック・ミュージックは、クラフトワークを筆頭とするシンセサイザー・ミュージックであったのですが、1980年代に入り今でいう「テクノ」に進化することになります。
そのきっかけを作ったバンドのひとつが、このニュー・オーダーではないかと考えています。

シンセサイザー・ミュージックとテクノの違いは何か?
その大きな要因のひとつがダンス、すなわち「クラブ」の存在ですが、ニュー・オーダーはクラブでの音楽を意識して取り組んでいます。
ニュー・オーダーもクラブ運営に携わっており、そのクラブの常連客がのちにケミカル・ブラザーズとなった...というのも有名な話です。

ニュー・オーダーの代表曲である1983年リリースの「Blue Monday」もいいのですが、個人的にはこの「True Faith」のほうが好みだったりします。
(どちらも甲乙つけがたいのですが...)

楽曲も素晴らしいのですが、それにもましてMVの映像も秀逸です。
独自の世界観を打ち出しつつ、楽曲ともうまくマッチし、かつ相乗効果で楽曲が映像を印象付け、映像が楽曲を押し出しているという、稀有なMVに仕上がっています。

このMVは、フランス出身の舞踏家であり映像作家であるフィリップ・ドゥクフレ(Philippe Decouflé)が監督を務めているのですが、この方も相当な方で、様々なダンスを学びながら独自の舞踏理論を確立し、自身で舞踊団を結成しつつ、オリンピックやワールドカップの演出もされている...という結構とんでもない方です。
このMVの独自性の源泉が分かるような気がしますね。

ニュー・オーダーのMVはどれも素晴らしいのですが、同じテイスト作品が無いことも彼らのこだわりが見て取れます。
また別の回でニュー・オーダーのMVの特集を組んでもいいかなとも思っています。(それぐらいニュー・オーダーのMVは秀逸ぞろいです)

次に紹介するMVですが、普通のMVではこのニュー・オーダーのMVの前ではかすんでしまいます。
しかし、独自の世界観を持ち、ニュー・オーダーの前でも確固たる存在感を打ち出せるMVがあります。

それが、Empire Of The Sunの「Walking On A Dream」です。

どうですか?
この独自性、この存在感。もう絶句...ですよね。
最初にこのMVを見た時は、ふざけているのかと思いました。
しかし、なぜか繰り返し観たくなり、そして観れば観るほどこの世界観がくせになり、ハマっていってしまいました。

Empire Of The Sunは、2007年にオーストラリアで2組のバンドがコラボして結成された少し変わったユニットです。
オルタナティブロックのようでもあり、エレクトリックポップのようでもありますが、そんなことはどうでもいいような独自の世界観を持っています。

その独自の世界観は楽曲だけではなく、MVでも楽曲以上に独自の世界観を出しまくっています。
この「Walking On A Dream」のMVも、理論だった説明ができない内容ですが、そんなことはどうでもいいような独自の世界観を打ち出しています。

チープな表現や、ふざけているような映像が多く、普通なら嫌悪感を抱きそうなものですが、それがマイナスに作用することなく、独自の世界観の重要な要素として組み込まれているのです。
これは、真剣にふざけている、真剣に表現した結果がチープになっている...ということと理解しています。
以前にこの連載の中でも引用しましたが、タモリさんのいう「狂気を演じることができるのは理性だけだ」という名言が、このEmpire Of The SunのMVでも見て取れます。

しかし、このMVを含めてEmpire Of The SunのMVは全て映像がメチャクチャきれいなんです。
それもEmpire Of The SunのMVがくせになる一つの要因でもあります。

Empire Of The SunのMVも、多少のばらつきはありますが、ほとんどが素晴らしいMVですので、ニュー・オーダー同様、特集を組みたいほどです。

今回の2つのMVはいかがでしたでしょうか?
どちらもくせになる楽曲、くせになるMVです。
ご覧になられたことが無い方は、ぜひ一度ご覧ください。
くせになり、「他のMVも観たい!」となること確実です。

ではまた次回に。

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