マドンナのLiving For LoveはライブMVのほうがイイと思うのは私だけ?(オススメMV #77)
こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の77回目です。(連載のマガジンはこちら)
今回もまたまたマドンナ特集です。
以前に紹介したマドンナの名作MV「Vogue」は、オフィシャルMVもライブMVも甲乙つけがたい素晴らしいMVでしたが、今回は「どっちも素晴らしいが、ライブMVのほうがイイのでは?」というMVをご紹介します。
楽曲もどちらのMVも素晴らしいので、ぜひ両方ご覧ください。
(以前の回はコチラ→「マドンナのヴォーグは古典にして名作」)
まず最初は、オフィシャルMVとなります。
マドンナの「Living For Love」です。どうぞ!
闘牛士のマドンナと闘牛の男性という明確な構図のMVです。
映像のインパクトもすごいですが、何より楽曲が素晴らしく、これだけインパクトのある映像をもろともせず楽曲が前に出まくっているという稀有なMVであり楽曲です。
マドンナの紹介は、以前の回をご覧いただくとして、まずは楽曲の説明を軽くさせてもらいます。
この「Living For Love」は、マドンナの13thアルバム「Rebel Heart」からの1stシングルとして2014年にリリースされた楽曲です。
アルバム「Rebel Heart」は私のお気に入りのアルバムのひとつですが、これまた私の大好きなディプロなどそうそうたる面々と共作しかつプロデュースされた豪華絢爛なアルバムとなっています。
中でもこの「Living For Love」は、ディプロとハイムのプロデュースで有名なアリエル・レヒトシェイドら数名との共作で、プロデュースもふたりが手掛けているという鉄壁の布陣で作られた楽曲です。
ちなみに、ディプロについては、別の連載(レコードジャケットの楽しみ)の「シーアにディプロにラビリンスって、そりゃいいに決まってるだろ!」の回で紹介していますので、ご興味のある方はそちらもご覧ください。
もちろんEDMの側面も色濃くありますが、単なるEDMではなくきちんとポップスしているところがマドンナらしく、Interscope Recordsに移籍後のマドンナの楽曲の中では、実は最も好きな楽曲だったりします。
では、MVのほうに目を向けてみましょう。
何よりガッチガチのコルセットに身を包んだ闘牛士のマドンナと男性陣の闘牛という明確な構図がいいですね。
美しさと力強さを兼ね備えた女性の象徴ともいえるマドンナですが、齢56歳とは思えない美貌と肉体、そして歌声がその存在を強烈に主張しています。
映像的には赤を基調としていますが、映像的なエフェクトが強く、ちょっと目がギラギラして、私的には好ましくないというのが正直なところです。
映像の構図等については、のちほど詳しく解説させていただきます。
では、続いて、今回のテーマである「オフィシャルMVを超えたと思われるライブMV」をご覧ください。
マドンナの「Living For Love」、2015年に開催された第57回グラミー賞授賞式のライブMVです。
このすさまじい迫力、圧倒され、かつ飲み込まれてしまいます。
広い会場をすべて舞台と化し、そこには他の誰もが作りえないマドンナだけの世界が構築されています。
素晴らしい楽曲をはるかに上回る映像ですが、決して楽曲を打ち消すことなく楽曲をさらに高い次元に引き上げ、昇華させているとすら思えます。
つまり、このライブMVはメチャクチャ素晴らしい!!!
「Living For Love」のライブMVは他にもあるのですが、このグラミー賞授賞式のライブMVがダントツです。
なぜこのライブMVが素晴らしいのか?
オフィシャルMVよりもイイと言えるのか、解説しましょう。
上にも書きましたが、オフィシャルMVも同じ赤を基調にした映像ではありますが、カラーエフェクトがかかりすぎており、ギラギラして落ち着いて観ることができません。
一部にエフェクトを掛けるならまだしも、ほぼ全面に掛けている映像が多用され、印象付けが強すぎて、肝心なマドンナやダンサーのダンスの印象が薄くなってしまっています。
その点、ライブMVでは、スクリーン上に投影される映像がやや強めではありますが、あくまでもスクリーン上だけで、舞台上は過度な照明やフラッシュなどがなく、主な印象付けはマドンナとダンサーのダンスによって演出されています。
つまり、ライブMVのほうが正攻法でアプローチしているわけです。
更には、空間演出にも違いがあります。
本来ライブMVは限定された空間のため広がりを演出するのは難しく、逆にオフィシャルMVの映像は作れば何でもアリですから空間の広がりの演出はしやすいといえます。
しかし、この2つのMVでは真逆になっているのです。
オフィシャルMVのほうが、小さな舞台の中に限定された空間でマドンナもダンサーも踊っています。
逆に、本来限られた空間であるライブMVのほうは、観客席を含めた舞台演出がされており、スクリーンや高さのある中央の舞台など上下の広がりもあるため、広大な空間として印象に残ります。
しかし、ライブMVのほうも懸念があります。
私としては、巨大モニターに映像が投影されるのはあまり好きではなく、中でも今演奏しているというか、やっている内容そのものを撮影して拡大して投影しているものは興ざめです。
特に本人の映像が投影されているものはNGです。
ディズニーランドのミッキーのように、今この世に(この空間に)存在しているマドンナは、今目の前にいるマドンナ本人ひとりだけでなければなりません。
映像であってもそこにマドンナが複数存在してはならないのです。
なぜか?
マドンナは常に女王であり、唯一無二の存在である必要があるからです。
ほとんどのマドンナのライブ映像では、マドンナは映像として表示されませんが、それでも複数のツアーやライブでマドンナが映像としてモニターに表示されることがあり、残念でなりません。
そこで再度ライブMVを観てみると、マドンナ本人が登場する前はマドンナもスクリーンに表示されますが、マドンナ本人が登場したあとは、モニターに表示されるのは闘牛の男性陣のイメージ映像のみとなっています。
マドンナは、そこにいる生きているマドンナ本人のみが存在する唯一のマドンナなのです。
しかし、この「Living For Love」のライブMVを観て、マドンナのすごさを改めて実感します。
56歳のマドンナが、その美貌、その肉体、そして歌声を、ライブで堂々と披露しているその様(さま)がメチャクチャかっこいいとおもいませんか?
さて、今回のマドンナ特集、いかがでしたでしょうか?
この「Living For Love」のライブは、完全に計算されつくした演出で構成されており、かつ「ライブMV」としても比類なき完成度となっている、まごうことなき名作であると確信しています。
未見の方は、ぜひご覧ください。
ではまた次回に。
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