祝!ニルギリス再結成。しかもオリジナルメンバーが中心で、かつMVもオリジナルとは驚きだ(オススメMV #54)
こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の54回目です。(連載のマガジンはこちら)
皆さん、「ニルギリス」というバンドをご存じですか?
大阪発のバンドということもあり大阪出身の私としては応援していたのですが、メンバーの出入りがあったあと、2014年にメンバー全員脱退という形で実質解散していました。
しかし先々月、なんとオリジナルメンバーを中心に再結成し、楽曲&MVがリリースされましたので、再結成祝を兼ねて紹介します。
では、最初のMVはこちらです。
ニルギリスの「Action!」です。そうぞ!
不思議な感覚に陥るMVですね。
決して悪いわけではなく、よく見るMVとは違う、異質な感覚です。
楽曲もいいですが、楽曲と映像のバランスが絶妙です。
MVの解説に入る前に、ニルギリスをご存じない方もおられると思いますので、少し説明させてもらいましょう。
ニルギリス(NIRGILIS)は、1993年に大阪で結成されたバンドで、当初佐竹モヨさんと伊藤孝氣さんの2人が中心となり、1998年に岩田アッチュさんが加入し、この3人がコアメンバーとなっています。
しかし、メンバーの出入りを繰り返し、2004年に佐竹さんが、2007年には伊藤さんが脱退し、オリジナルメンバーがいないまま岩田さんを中心にメンバーが入れ替わりながら活動を続け、ついに2014年に全員脱退ということで事実上の解散をしてしまいます。
オリジナルメンバーがいないまま活動を継続しているバンドというのも珍しく、海外ではイエスやルネッサンスなどはそうですが、この場合はバンドの音楽性を統一させることが難しいのが実状です。
ニルギリスもまさしくこのパターンで、「これがニルギリスの音楽だ!」というものはあまりなく、その時々のメンバーによって音楽性が変わることもニルギリスの特徴でもあり、面白さでもありました。
そして、今年2021年6月にオリジナルメンバーの佐竹さんと伊藤さん、そしてコアメンバーである岩田さんを加えた3名でニルギリスが再結成され、同時に新曲2曲がリリースされました。
1曲は上で紹介した「Action!」、そしてもう1曲が次に紹介するMVです。
ニルギリスの「nyan光」です。
これも不思議なMVですね。
よく見るMVとは違い、一貫性がなく、また普通ではあまり使われない画像や映像が使われています。
これも悪い意味ではなく、オリジナリティがあふれているということです。
以前のニルギリスのMVと、この2つのMVでは大きな違いがあります。
それは、専門の映像作家、つまりプロのMV監督がMVを制作したのかどうか、という違いです。
再結成以前のニルギリスのMVは、著名なMV監督やイケてるMV監督が制作した作品がほとんどで良作も多く、本当は皆さんに紹介したいのですが、YouTube等にオフィシャルMVがほとんど上がっていないため、業界できないのが残念でなりません。
では、この2つの新しいMVは誰がディレクションしたのか?
それは、メンバーのひとり、佐竹モヨさんが制作されたのです。
しかも iPhone のみで制作されたようで、驚きですね。
そう思って観てみると、普通のMVでは使わないような画像や映像が使われていたり、一貫性がなく全く脈絡がない映像に切り替わったりと、いわば感性を主体とした映像制作になっていることがわかります。
本連載の以前の回で、音楽アーティスト自身によるMV制作の話をさせてもらいました。
これまた脱線しますが、映像制作がPCやソフトウェアの進化によって特殊なものではなく、音楽アーティストが自力で映像制作もできるようになりつつあります。(インディーズ系では既にその動きがあり、特にYouTubeの普及がその動きに拍車をかけているようです)
これは映像制作を中心に仕事をされている方々からすると恐ろしい話です。
音楽アーティストが自分のイメージをダイレクトに映像化できるのであれば、MV制作を依頼する必要性が少なくなります。
今まで以上に「映像作家としてどんな価値を提供すべきか」という点が重要になってくると考えられます。
この2つのMVを見ていると、まさしくそうだな...と思わざるを得ません。
しかし、音楽アーティストの制作するMVが完璧かというと、感性中心の映像制作だからこそかもしれませんが、ばらつきがあるように思われます。
「Action!」は、普通使わないようなオリジナリティあるれる映像が、いい具合にバランスが取れて組み合わされており、もちろん『???』という部分はあるものの、それを補って余りある良さがこのMVにはあります。
比べて「nyan光」のほうは、歌詞を文字として表示する部分はオリジナリティを感じることはできず、逆に大きな猫の写真が繰り返し使われる部分についてはオリジナリティを超えて違和感となっているように思えます。(バイクの部分の映像などは、秀逸なのですが...)
もちろん、視聴者との相性という部分も多いと思いますので、あくまでも私の受けた感想ということで誤解なきようにお願いします。
いずれにせよ、この2つのMVは従来型のMVとは一線を画しており、プロのMV監督では制作できないMVであることは事実です。
どちらのMVが良い/悪いということではなく、新たなカテゴリのMVとして、これから広がっていくのではないか思われます。
ニルギリスについても、ぜひ今後もメンバー自身でMV制作を続けていただき、楽曲だけではなく映像と組み合わせたMVでもオリジナリティーを提供してもらえればと切に願います。
さて、今回はニルギリスの再結成祝ということで、新曲2曲のMVをそれぞれ紹介しました。
メンバー自身が制作したMVとしても秀逸なのですが、楽曲自体も素晴らしいので、ぜひ映像と楽曲をあわせて堪能してください。
また、次回のニルギリスのMVにも要注目です!
ではまた次回に。