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ブラックアイドピーズとシャキーラは、ウイルアイアムとニッキーミナージュを超えたのか?(オススメMV #116)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の116回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は、ブラック・アイド・ピーズのお気に入りのMVを紹介しつつ、その源流を遡りながら他のMVを対比させて解説します。
本連載では、以前にブラック・アイド・ピーズ(以下BEP)の特集を組みましたが、実はその際に「別枠で紹介したい!」と敢えて紹介していないお気に入りのMVがあったのです。
(以前の特集はコチラ⇒「ブラックアイドピーズの特集だ!」

まずは、その超お気に入りのオススメMVをご覧いただきましょう。
ブラック・アイド・ピーズ&シャキーラの「GIRL LIKE ME」です。どうぞ!

ポップでキュートでありながら、不思議な魅力のあるMVです。
映像としてはシャキーラをメインに据えつつ全体の調和が取れていますが、映像と楽曲も高いレベルで融合されており、非の打ちどころのないMVとして仕上がっています。

ブラック・アイド・ピーズ(Blach Eyed Peas)については、以前の特集(ブラックアイドピーズの特集だ!)での解説をご覧いただくとして、シャキーラについて簡単に紹介しましょう。

シャキーラ(Shakira)はコロンビアのアーティストで、FIFAワールドカップのテーマソングも歌っている大スターです。
コロンビアのアーティストというとあまり思い浮かびませんが、BEPとも組んでいるJ・バルヴィンもコロンビアですね。

シャキーラは1991年の14歳の時に1stアルバムをリリースし、3rdアルバムまではヒットに恵まれなかったもののの、2001年にリリースした4thアルバム「Laundry Service」がUSで2位、UKで3位となる大ヒットとなりました。
以降ヒットを連発し、今やラテンを代表する大スターとなっています。
4thアルバムのヒットにはスペイン語から英語に切り替えたことが大きく寄与していることは明白で、彼女の努力がうかがえます。
また、ルックスからシンガーと思いがちですが、バリバリのソングライターでもあり、ルックス、才能、努力の3つを兼ね備えている稀有な人材であることが見て取れます。(ダンスもメチャクチャ上手です)

そんなシャキーラですが、多くの著名アーティストと組んでおり、BEPとも複数の楽曲でタイアップしていますが、その最初の楽曲がこの「GIRL LIKE ME」となっています。

「GIRL LIKE ME」は、2020年のBEPの8thアルバム「TRANSLATION」に収録されている楽曲ですが、元々2008年にウイル・アイ・アムとシャキーラとで製作が開始されたというから驚きです。
12年もの時を経て練りこまれてリリースされた楽曲のため、悪いワケがありませんし、シャキーラとの親和性が良いのも納得です。

さて、この「GIRL LIKE ME」のMVですが、オープニングから独特で、赤い地表にビームが照射され大爆発が起こるという、アニメ「AKIRA」を彷彿とさせるような映像に「このあとどうなるんだろう...」と思いきや、映像が切り替わり、シェキーラの顔のアップになり、以降は実写映像が続きます。

出演者としては、BEPのメンバーも入れ替わり登場しますが、やはりメインはシェキーラで、特にふたりのダンサーを従えたエアロビックダンスを踊るシェキーラがシュールな映像の中にレトロな現実感を差し込み、このMVの独自性を作っています。

また、色の使い方も秀逸で、オープニングから赤基調の映像で始まり、メインであるシェキーラのエアロビダンスは白基調の映像となっています。
全編通して赤基調の映像と白基調の映像の2種類しかないこともこのMVの洗練さの向上に寄与しており、他にも出てくるギミックやアイテムが少ないことも同様の効果を生んでいます。

何度観ても「うまく作ってあるなー」と感心することしきりですが、「そういえば、BEPで同じようなテイストのイケてるMVがあったような...」と思い出したところ、BEPではありませんがウイル・アイ・アムのMVがそのイケてるMVでした。

それが、このイケてるMV。
ウイル・アイ・アム&ニッキー・ミナージュの「Check It Out」です。

まだ初々しいニッキー・ミナージュのキュートな魅力が全開のMVです。
ポップな楽曲に組み合わされる映像は、強い印象付けがギリギリの線で押さえられており、技ありの一品です。

この「Check It Out」は、本連載の4回目という初期に「ウイルアイアム+ニッキーミナージュ×ラジオスターの悲劇=???」と題して紹介しているMVであり、私の超お気に入りのMVのなかのひとつです。
それだけに脳裏に焼き付いており、「GIRL LIKE ME」との関連性が気になったのかもしれません。

調べてみると、「GIRL LIKE ME」のMVも、この「Check It Out」のMVも、同じ方がDirectionされていました。
リッチ・リー(Rich Lee)という方で、ほぼ専業のMV監督というぐらい多くのMVの監督をされており、BEPやウイル・アイ・アムのMVもいくつか手掛けていますが、エミネムのMVを一番たくさん手がけているようです。

そして、「Check It Out」と「GIRL LIKE ME」のMVですが、同じ監督が手掛けているとはいえ、様々な違いが見て取れます。
まず、上にも書きましたが、「GIRL LIKE ME」では2つの基調色を設定していますが、「Check It Out」は基調色という概念がなく、単一の背景の上で様々な原色や蛍光色が使われており、印象付けは強いものの洗練さには欠けています。
しかし、ポップさを前面に押し出し、いわば力技(ちからわざ)でねじ伏せている感じで、これはこれで全然アリですね。
また、「GIRL LIKE ME」は登場人物が極端に少なく、シェキーラとBEPメンバー以外の出演者も個々に認識でき、不要な登場人物がいないことも洗練さの向上に役立っています。

ということで、同じテイストの2つのMVですが、Directorであるリッチ・リーが「Check It Out」とは違うアプローチで良いMVを製作しようと狙って「GIRL LIKE ME」をDirectionされたのではないかと推測しますが、みなさんはどう思われるでしょうか?

最後におまけで1つMVを紹介します。
ラナ・デル・レイの「Doin' Time」です。

なんで最後にテイストの違うこのMVを紹介したかというと、このMVをDirectionしたのも、上で紹介したリッチ・リーその人なのです。
イケてるMV監督は多くの引き出しを持っているというか、ふり幅も広いので、それを証明しているかのようなMVですね。
ちなみに、このMVも以前連載で紹介しており、お気に入りのMVは結構同じMV監督がDirectionされていること証明しているかのようです。
(以前の連載⇒「ラナデルレイのこのMVは紹介せずにはいられない」

結局、MV監督「リッチ・リー」特集のようになってしまいましたが、「GIRL LIKE ME」と「Check It Out」は両方とも超オススメのMVですので、未見の方はぜひご覧ください。

ではまた次回に。

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