ジャスティスのイケてるジャパニメーションMVは、AKIRAにコブラ、ダーティペアも出てくるよ(オススメMV #153)
こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の153回目です。(連載のマガジンはこちら)
今回は、1ヶ月ほど前に公開されたジャスティスのイケてるジャパニメーションMVを中心にお届けします。
イケてるジャパニメーションのアニメMVというだけでなく、私の好きなアニメのオマージュを含んでいるため、『このMVを紹介したい!』というワケで今回の内容となった次第です。
なお、通常は1つのテーマに関連した複数のMVを紹介していますが、今回は掟破りとなる1つのMVだけをメインにお届けします。
まずは、そのイケてるジャパニメーションMVをご覧ください。
ジャスティスの「Neverender (Starring Tame Impala)」です。どうぞ!
洗練された楽曲とレトロチックなアニメの映像の組み合わせが絶妙にマッチしている素晴らしいMVです。
何といっても往年のジャパニメーションを彷彿とさせる映像が、懐かしくもありつつ新鮮で、このMVの特徴となっています。
ジャスティス(Justice)は、フランスのエレクトロのデュオで、2007年にリリースした1stアルバム「Cross」がヒットし一躍有名なりましたが、その後はオリジナルアルバムは2枚しかリリースしていないという寡作(かさく)のアーティストとなります。
しかし、今年2024年4月に4thアルバム「Hyperdrama」をリリースし、「ジャスティス、ここにあり!」と言わんばかりのインパクトを提供してくれています。
なお、ジャスティスについては本連載の第2回に登場しているという、私の中でも超お気に入りのMVがあり、それが1stアルバム「Cross」に収録されている「D.A.N.C.E.」という楽曲のMVです。
話がだいぶそれてしまいますが、この「D.A.N.C.E.」のMVは私の中では殿堂入りとも言えるほどの名作MVとなっており、ぜひ皆さんにご覧いただきたく、紹介させてください。
殿堂入りの名作MV、ジャスティスの「D.A.N.C.E.」です。
「Tシャツの絵柄を楽曲にあわせて変化させる」という誰もが思いつくアイデアですが、それを様々な工夫で最後まで飽きさせず、かつ楽曲と絶妙にマッチングさせているところに、このMVのスゴさがあります。
この「D.A.N.C.E.」のMVについては、先ほどお伝えした通り本連載の第2回で解説していますので、ご興味あるかたはご覧ください。(「D.A.N.C.E.」を解説した過去回はコチラ⇒「スゴイ!歴史に残る傑作MV」)
話を「Neverender 」のMVに戻しましょう。
「Neverender 」は、最新の4thアルバム「Hyperdrama」に収録されている楽曲で、メロディーがメインでビートは弱めのどちらかというと押し出しの弱い楽曲です。(もちろん、楽曲自体はジャスティスっぽさが十二分に出ている素晴らしい楽曲になっています)
そしてMVでは、一見原色を多用した映像に見えるものの、彩度を抑えくすんだような色合いとなっており、印象付けとしてはギリギリのところで押さえているため、楽曲とのバランスが保たれています。
つまり、「うまく作られている」のです。
そして何より、1980年代の日本のアニメーション、つまりジャパニメーションの要素を色濃く取り入れていることが大きな特徴になっています。
1980年代から1990年代のジャパニメーションを取り入れたMVは数多くありますが、映像的に大きく2つに分類されます。
それは、映像のサイズが昔のテレビ映像である「4:3」と、最近のテレビ映像のサイズである「16:9」の2種類となります。
そして、この「Neverender」は「16:9」の映像サイズで、徹底的に1980年代の映像を模しているのではなく、往年のジャパニメーションの要素を取り入れつつ、あくまで現代の映像として表現していることが分かります。
これは、『良い』・『悪い』ということではなく、それを狙って造られているということですので、ジャスティスおよびこのMVを制作された方々の意図が、最終的にどう視聴者に受け止められているかが重要となります。
あくまで私見ですが、私としては「Neverender」のMVとしては「16:9」のサイズで良かったのではないかと考えています。
逆に「4:3」のサイズで往年のジャパニメーションの要素を取り入れた素晴らしいMVもたくさんあり、ついでと言ってはなんですがその中のひとつを紹介しましょう。(以前に本連載でも紹介したのですが、オススメのMVは何度でも紹介させてください!)
「これぞジャパニメーションだ!」と言うべきオススメMV。
デュア・リパの「Levitating」です。
まさしく「これぞジャパニメーション!」というMVですが、明るく楽しいアニメの映像にノリのいい楽曲という最高の組み合わせで、あっという間に見終わってしまう素晴らしいMVです。
このMVについても色々語りたいのですが、既に過去回で解説していますので、ご興味ある方はぜひ過去回をご覧ください。(たっぷり語っている過去回はコチラ⇒「明るく楽しいデュアリパと暗めのビリーアイリッシュの本人登場アニメMVをご紹介」)
脱線しまくりですが、「Neverender 」のMVに話を戻しましょう。
「Neverender 」のMVで取り入れられているジャパニメーションについては、多分多くの作品をリスペクトしていると思われるものの、私が気付いたのは3作品となります。
それぞれ解説していきましょう。
1つ目は、大友克洋さんの名作アニメ「AKIRA」です。
「AKIRA」でテツオ(鉄雄)の肉体が制御不能になり増殖するシーンがありますが、まさしく同じような映像表現が多様されており、リスペクトしていることは明白です。
ちなみに、アニメ「AKIRA」の公開は1988年となります。
そして2つ目は、アニメ「スペースコブラ」です。
寺沢武一さんの名作マンガ「コブラ」をアニメ化し、1982年から放映されたTVアニメ「スペースコブラ」のエンディングが、まさしく「Neverender」に取り入れられています。
百聞は一見に如かず(しかず)ということで、実際の作品をご覧ください。
ラッキーなことに1話から3話までが無償公開されていますので、エンディングにご注目ください。
スペースコブラでは画面の右上にあるブランデーグラスが、ジャスティスの「Neverender」で右上にあるカクテルグラスに変わっているなど、微妙な違いがありますが、完全にパクっている...もとい、リスペクトしていることは明白です。
もちろん、ディスっているわけではなく、コブラ愛に満ち溢れていることが分かるからこそ、メチャクチャうれしいのです。
最後の3つ目は、アニメ「ダーティペア」です。
こちらは高千穂遙さんの同名のSF小説をアニメ化し、1985年から放映されたTVアニメ「ダーディペア」のエンディングが、ほぼそのままの構図で再現されています。
こちらもラッキーなことに第1話が無償公開されていますので、実際の作品のエンディングをご覧ください。
宇宙船のコクピットの映像が、ほぼそのままの構図で「Neverender」で取り入れられています。
「スペースコブラ」も「ダーディペア」も、エンディングではなくオープニングが超絶オススメですので、上の2つの動画にてオープニングもぜひぜひご覧ください!
しかし、私の好きなTVアニメの2作品が、これまた私の好きなジャスティスのMVに取り入れられているのは、感激の極みと言えます。
なお、「AKIRA」も名作であり大好きなアニメではありますが、大友克洋さんの作品としては「AKIRA」を含めたマンガ(「気分はもう戦争」や「童夢」あるいはそれ以前の短編マンガ)のほうが味わいがあって好みのため、ここでの語りが少なくなってしまっています。
話がまたまた飛んでしまいますが、かの有名な「攻殻機動隊」についても、アニメも名作であり好きではありますが、士郎正宗さんの原作マンガのほうが断然好みだったりします。(これは、私の「実はスゴイがそれをオモテに出したくない」という癖(へき)が影響しているかと思われます)
話し戻して、「スペースコブラ」と「ダーディペア」については、過去回で詳しく解説していますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。(2作品をみっちり解説している過去回はコチラ⇒「ダーティペアとコブラのオープニングアニメは、MVと言わずしてなんと言う!」)
なお、上にある過去回は2023年3月に公開しましたが、マンガ「コブラ」の作者である寺沢武一さんが同年2023年9月に鬼籍に入られています。
幼少の際にお世話になった方が鬼籍に入られるというのは悲しい話ではありますが、作品は多くの方に感動を与え続けるため、そういう意味では生き続けておられるのではないかとも思ったりします。
鬼籍に入られた際に、マンガ「コブラ」を再読しましたが、40年以上たった今でも新鮮で楽しく読ませていただきました。
素晴らしい作品を世に出していただいた寺沢武一さんには感謝しかなく、ご冥福をお祈りするばかりです。
さて、今回のジャスティスのイケてるジャパニメーションMVはいかがでしたでしょうか。
実は「ジャパニメーションMV特集」としてジャスティスだけでなく他のMVも紹介する予定だったのですが、いつものごとくジャスティスのMVの話でメチャクチャ長くなってしまったため、急きょ予定を変更してジャスティスのMVだけの内容にしてしまいました。
「ジャパニメーションMV特集」は、またあらためてお送りしようと思っています。
ではまた次回に。