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シンプルイズベストのカネコアヤノ、テンコ盛りのジェイン、どっちが好み?(オススメMV #136)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の136回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は、私の中ではなぜか似ていると認定されている日本とフランスのシンガー・ソング・ライターのMVをお届けします。
そのお二人はカネコアヤノさんとジェインさんで、個性が際立っている女性のシンガーソングライターであり年齢もほぼ同じなのですが、MVのテイストが真逆なのが面白く、今回皆さんに紹介させていただく次第です。

まずはシンプルイズベストのコチラのMV。
カネコアヤノの「ロマンス宣言」です。どうぞ!

登場人物はカネコアヤノさんご本人のみ、映像はモノクロ、場面転換はあるもののカット割りはほとんどないというシンプルなMVです。
しかし、映像の工夫に加えて同じくシンプルな楽曲とのマッチングが良く、飽きることなく最後まで観ることができ、更には繰り返し視聴してしまうというなかなか無いMVとして仕上がっています。

カネコアヤノさんは日本のシンガーソングライターで、本名のようにも思えますが本名かどうかが公表されておらず、そういう意味では謎な方です。
2012年に自費出版のEPをリリースし、2014年にはメジャーデビューとなる1stアルバム「来世はアイドル」をリリースされます。
そして、普通はそのままメジャーで活動されると思いきや、2ndアルバムのリリース後にフリーに戻って活動されたあと、また2018年にメジャーとなり(というかプロダクションと契約し)現在も活動されています。
なんと昨年にはUKツアーを敢行(かんこう)され、今年というか今月中旬にはUKのフェスに出演されるという、アグレッシブな動きを見せておられます。

この「ロマンス宣言」は、2018年にリリースされた「祝祭」というアルバムに収録されている楽曲で、シングルカットはされていないのですがMVだけはリリースされているという特殊な楽曲です。
ポップで楽しい楽曲ですが、カネコアヤノさんは振り幅が広いというか多様性に富んでいて、ポップな楽曲からフォーク調の楽曲、パンクロックばりの激しい楽曲までなんでもござれという感じで、演奏形式もアコースティックギターの弾き語りからバンドでの演奏まであり、これだけの多様性をよくおひとりでコントロールされているなと感嘆することしきりです。

私は洋楽から入り洋楽をメインで聴いているせいか歌詞をあまり重要視しておらず、それゆえに邦楽の歌詞を重要視する楽曲やアーティストは少し苦手なのですが、カネコアヤノさんについては歌詞も重要な要素であるアーティストだとは思うものの、なぜかお気に入りなのです。
それは、カネコアヤノさんの歌詞と曲との組み合わせに秘密があるのではないかと考えています。

大昔に解散した「はっぴいえんど」という4人組のグループを皆さんご存じでしょうか。
カネコアヤノさんはその「はっぴいえんど」に影響を受けていると公言されており、実際にデビューのきっかけともなった初期の楽曲のタイトルが「はっぴいえんどを聴かせておくれよ(仮)」というところからも伺えます。
そして、「はっぴいえんど」は日本語の歌詞にロックの曲をのせる技法を編み出したバンドと言われており、カネコアヤノさんも日本語の歌詞と曲の組み合わせを意識して創作されていることは明白で、それが独特な「カネコアヤノ節」とも呼べる楽曲を生み出していると思われます。

残念ながらカネコアヤノさんのMVにはお気に入りのものがほとんどありませんが、楽曲では「これスゲー!」というものが多数あります。
その中でも同じアルバム「祝祭」に収録されている「祝日」という楽曲は特に素晴らしく、MVはほとんど観ないものの楽曲自体は皆さんにぜひ聴いていただきたくオマケで紹介させてもらいます。
カネコアヤノの「祝日」です。名曲です。

カネコアヤノさんの目のアップ画像だけの映像ですが、これはアルバムジャケットと同じデザインとなります。
アルバムジャケットとしてはお気に入りのデザインなのですが、日差しの強さなどで多少の変化はあるものの、MVとしてずーっとこの映像のままというのはチョット残念です。
しかし、口元を映すのではなく目を映すことに意味があるのかもしません。
「目は口ほどにものを言う」ともいいますし。

映像はさておき、カネコアヤノさんの歌う楽曲がスゴすきます!
この感動は、マドンナの名曲「Rebel Heart」に匹敵するほどです。
アコースティックギターにあわせた楽曲であるという共有点もありますし、アルバムのラストナンバーとなっている点も同じです。
マドンナがツアーでアコースティックギターを自分で弾きながら歌う「Rebel Heart」は感涙ものです...(ぜんぜん本題とは違う話になりました)

カネコアヤノさんの話は尽きないので、次のアーティストであるジェインさんのMVを紹介に参りましょう。
カネコアヤノさんの「ロマンス宣言」はモノクロでシンプルな映像でしたが、同じ女性のシンガーソングライターにも関わらず真逆のてんこ盛りのMVとなります。
ジェインの「Makeba」です。

「これでもか!」というぐらいテンコ盛りの映像で多少食傷気味でもありますが、ぎりぎりセーフなのは楽曲とのマッチングがいいからですね。
こちらのMVも、観ているうちにあっという間に終わってしまうのは優れたMVである証(あかし)です。

ジェイン(JAIN)はフランスのシンガーソングライターで、2013年から活動を開始し、2015年に1stアルバム、2018年に2ndアルバムをリリースしたのち少しブランクがあり、昨年2023年に3rdアルバムをリリースしたという、寡作(かさく)なアーティストとなります。
ちなみに、カネコアヤノさんはほぼ同じ活動期間ですが、メジャーアルバムだけでも6枚もリリースされているので、ほぼ倍となっています。

この「Makeba」は1stアルバム「Zanaka」に収録されている楽曲で、楽曲自体は1stアルバムと同じ2015年のリリースですが、MVのリリースは翌2016年にYouTubeへのアップとなっています。
ジェインさんのNo.1ヒットであり、楽曲はSpotifyで3.1億回、MVはYouTubeで2.9億回も再生されているというから驚きです。
楽曲も素晴らしいのですがMVも素晴らしく、上にも書きましたがテンコ盛りの内容で、普通だったらモリモリ過ぎる内容はMVの質を低下させてしまうところ、不思議と違和感がなく最後まで観れるのが不思議です。
これは、楽曲とのマッチングがいいことはもちろん、MVの映像そのものの色使いや構成がすぐれているからではないかと思われます。
ジェインさんの経歴をみると、美術学校にも通っていたこともあるようで、もしかしたらその時に学びが活かされているのかもしれません。

ジェインさんの初期のMVの中では、この「Makeba」とセットで観ていただきたいMVがあります。
「Makeba」よりはモリモリ感は少ないのですが、それでも遊び心は満載のMVで、なにより映像のオシャレ度合いは最高です。
ジェインの「Come」となります。

明るく楽しく、更にはオシャレというなかなか無いMVですね。
もちろん遊び心も満載で、最後までアッという間に見終わってしまいます。

この「Come」は、1stアルバムにも収録されているのですが、その1stアルバムよりも半年ほど早くEPとしてリリースされ、最初のヒットとなった楽曲でSpotiryでは1.4億回の再生となっています。
オフィシャルMVとしては最も早いリリースで、アルバムリリースよりも早くEPのリリースとほぼ同時にYouTubeで公開されています。

実は、何気に「Makeba」のMVよりも、この「Come」のMVのほうがお気に入りで、特に「花柄の壁紙を背に同じ花柄のワンピースを着るジェイン」という構図が最高にオシャレで何度見てもテンションが上がります。
MV全体で使われている淡い色合いはペイルカラーというのですが、これもフランスのアーティストのジェインさんならではですね。
(ペイルカラーのMVについては、以前この連載でも取り上げているので、ご興味ある方はご覧ください。以前の連載はコチラ⇒「ペイルカラーのマーティンソルヴェイグ」
また、「Come」のエンディングの映像が「Makeba」のオープニングになっているというのもポイントが高いところです。

しかし、最近のジェインさんのMVを観ると、大人の女性に成長され、それに伴いMVの内容にも変化があり驚くほどです。(楽曲のテイストも大きく変化してます)
その変化についても本当は今回紹介させてもらいたいところですが、メチャクチャ長くなりそうなので、今回はカネコアヤノさんのMVとの比較だけにとどめておき、ジェインさんの変化については別の機会に紹介できればと思います。

さて、今回は日本とフランス、ふたりのシンガーソングライターのテイストの異なるMVをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
特にカネコアヤノさんはMVよりも楽曲自体がオススメですので、ぜひ他の楽曲についても聴いてみてください。

ではまた次回に。

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