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映像も楽曲も単調なのに観入ってしまう。難しい取り組みにチャレンジしたJazztronikとRöyksoppには称賛しかない!(オススメMV #26)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の26回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は邦楽MVと洋楽MVの二本立てでお送りします。
そして、「映像も楽曲も単調なのに、ぜんぜん飽きずに聴き入って、そして観入ってしまうMV」という、結構ハードルが高いテーマを設定しました。

最初は邦楽のMV、Jazztronikの「Flash Light feat.JAY'ED」です。

どうですか?
楽曲も映像も単調なパターンの繰り返しですが、アレンジが絶妙で最初から最後まで全く飽きずに観入ってしまいますよね。
特に映像については、最初から最後まで完全に同じ構成で押し通しているMVは珍しく、その点でも価値があります。

Jazztronikは野崎良太という方のプロジェクトで、特定のメンバーを決めずに活動されており、音楽ジャンル、国籍など多様な方と組まれています。
と、さも知っているかのように書きましたが、私が知っているのはこの情報ぐらいで、Jazztronikとのお付き合いはほぼこのMVだけ、というのが正直なところです。

このMVとの出会いは音楽番組で偶然見て「このMV、スゲー!」という、いつものパターンです。
それからアーティストのことを調べ、収録されているアルバムを確認して聴いてみる...というプロセスになります。
その結果、この楽曲が収録されているアルバム「Dig Dig Dig」を聴いては観たものの、いい楽曲ばかりなのですがなぜかヘビーローテーションすることなく、結局Jazztronikとのお付き合いはこのMVだけ...となっています。

なぜか考えてみたのですが、Jazztronikというプロジェクト名からして楽曲の根底にあるのは「Jazz」なんでしょうね。
実は私、Jazzが苦手というか聴く機会がほとんどなく、何度か有名どころを試したのですが、結局ハマることなく今に至っています。
多分、Jazzと相性が悪いようです。(Jazzを否定しているわけではないので、誤解なきように)

しかし、アルバムはほとんど聞きませんが、このMVも楽曲も素晴らしく、何度観ても聴いても飽きることがありません。
素晴らしいものはジャンルを超えても感動を与える...ということでしょうか。

少しMVの話もさせていただくと、上にも書きましたが最初から最後まで同じ映像構成で貫かれています。
二次元のスライド動画が向こうから手前に流れてくるというか、逆に視聴者がゴーカートにでも乗って左右にくねくね曲がりながら疾走しているようなイメージです。
このパターンが最初から最後まで同じなのですが、それでも最後まで新鮮なまま観入らせてしまうのは、様々な工夫がほどこされているからです。

大きく3つのポイントがあります。
1点目は、二次元のスライドで、複数のダンサーが様々な踊りを披露し、変化をつけていること。
2点目は、イラストなどの様々なギミック(遊び)が背景にちりばめられていること。
そして3点目は、この二次元のスライド動画が、楽曲のリズムに合わせて流れていること。
また、途中で宇宙空間をワープしているような表現を差し込んでいるのも変化付けに役立っています。(これも行き過ぎないギリギリの線で抑えているのも技ありです)

このMVを制作した方が誰なのか知りたいのですが、調べているものの分からず、もしご存知の方がおられたらお教えいただければありがたいです。

なお、この楽曲自体も単調なのですが、曲が進むにつれアレンジが微妙に変化し、これまた最後まで新鮮に聴き入らせてくれます。
素晴らしい楽曲に優れた映像が組み合わさり、単調にもかかわらず秀逸なMVとして仕上がっています。

楽曲もMVも「同じパターンで最初から最後までやり遂げ、その上で視聴者に感動与えるんだ!」という明確な意思を感じます。
結果として素晴らしい楽曲、秀逸なMVに仕上がっていますが、まずその姿勢を称賛すべきと考えています。

1つめのMVの解説がメチャクチャ長くなってしまいましたが、それぐらいこのMVは素晴らしく、ぜひ皆さんに観ていただければと切に願っています。

さて、2つ目は洋楽のMVで、Röyksoppの「Happy Up Here」です。

面白いMVですよね。
楽しくっておしゃれ感満載のMVです。
リズミカルで楽しい楽曲にあわせて街のイルミネーションが変化し、インベーダーゲームっぽいバトルまであり、最後まで楽しませてくれます。

Röyksopp(ロイクソップ)は、1998年に男性二人で結成された、ノルウェーのエレクトロニックミュージックを代表するバンドです。
日本での知名度はそれほど高くはありませんが、欧米での人気は高く、エレクトロ系の大御所のひとつといっても過言ではありません。

欧州のエレクトロデュオといえば、前々回に紹介したフランスのAir(エール)が1995年結成と比較的近いのですが、楽曲のおしゃれ感も結構共通しています。(同じくフランスのJusticeは2003年結成と若干あとですね)

結成当初はインストルメンタルの楽曲がほとんどだったのですが、アルバムのリリースとともにボーカル入りの楽曲が増え、なんと2014年にはスウェーデンのシンガーソングライターRobyn(ロビン)と「Röyksopp & Robyn」というユニットを結成し、ボーカルありきのアプローチもしています。

この「Happy Up Here」が収録されたアルバム「Junior」は2009年のリリースですが、2014年にリリースしたアルバム「The Inevitable End」を最後にアルバムのリリースはしないと明言しています。
シングルのリリースは引き続きおこなうということですが、その後のリリースは数曲のみとなっています。
しかし、アルバムのリリースが無くなるのは(特にLPレコード世代の私としては)寂しい限りです。

さて、MVの話に戻りましょう。
このMVは、上のJazztronikのMVと比べて映像としてはそれほど単調ではなく、特に後半のインベーダーゲームを模した映像表現は変化満載です。
しかし、このMVが楽しくおしゃれ感満載になっているのは、インベーダーゲームの映像表現ではないのです。

解説しましょう。

このMVは最初から最後まで電球のイルミネーションでの映像表現に徹していますが、それでも単調さを感じさせずに楽しい印象やおしゃれ感を出しているのは、インベーダーゲームの表現ではなく、以下の2つの工夫があるからです。
1つ目は、街の電球のイルミネーションに加え、その周辺のイラストや景色、イルミネーションの形などで様々な表現をしていること。
そして2つ目は、楽曲のリズムと絶妙なシンクロをしていることです。

つまり、最初に紹介したJazztronikのMVの映像表現の工夫と共通していることが分かります。
このように複数のMVの要素を分解して比較することで、優れたMVに共通する要素を把握できます。(これが実は私の楽しみなんです)

もちろん、優れたMVには良い楽曲が必須であり、このRöyksoppの楽曲も単体で聴いても素晴らしいことは言うまでもありません。

ちなみに、このMVはReuben Sutherland(ルーベン・サザーランド)というニュージーランドの映像作家が制作しているのですが、このMVが代表作となっています。(つまり、それだけこのMVは評価は高いようです)

今回紹介した2つのMV、いかがでしたでしょうか?
上の解説を読んでいただいたうえで再度MVを観ていただければ制作側の様々な工夫が感じ取れ、また違った楽しみ方もできるかと思います。
ぜひご覧ください。

ではまた次回に。

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