カイゴがホイットニーを復活させた?でもMVはスティーブウインウッドが最高だ!(オススメMV #6)
こんにちは、吉田です。
オススメMVをご紹介する連載も、はや6回目となりました。
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今回はホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)という今は亡きシンガーの話から始めます。
ホイットニーは1980年代から90年代に一世を風靡し、アルバムはヒットするし主演映画も大ヒット、そのサントラも自ら歌い大ヒットさせたスーパースターです。
その大スター、ホイットニーは2012年に突然亡くなりました...
しかし昨年、そのホイットニーが復活したんです!
なんと、EDM界のトロピカル王子ことカイゴ(Kygo)が、昔のホイットニーの音源をREMIXしてイケてる楽曲に仕上げてくれました。
そのMVがこの「Higher Love(ハイヤー・ラブ)」です!
40才代以降の洋楽好きの方は涙が出てくるんじゃないでしょうか。
私も見るたびにジーンと来てしまいます。
このMVは、見ていて楽しくイイ仕上がりではありますが、作りとして突出して「スゴイ!」というほどではありません。
このMVが素晴らしいのは、ホイットニーへのオマージュに満ち溢れている作品であり、ホイットニーが輝いていた時代そのものを背景にしているところです。
皆さん、「借景(しゃっけい)」っていう言葉を知っていますか?
例えば、自宅とかで自分の家の庭だけではなく隣の公園の景色を含めて自宅から景色を眺めるようにすることで、家から眺めた景色を普通の家の数倍、数十倍も楽しめるようになります。
このMVはまさしくそれで、最も輝いていた時代のホイットニーやその時代そのものもMVの映像の先に見せることで、視聴者に大きな感動を与えています。
出てくる車や携帯電話は1980年代から90年代のものですし、ちらっと出てくるテレビはブラウン管でその画面にはホイットニーの当時のMV「I Wanna Dance With Somebody」が映っています。
なんと2ndアルバム「Whitney」のジャケットも表示されます。
楽曲のアレンジも当時のホイットニーの楽曲に寄せてあり、1stシングルにある「How Will I Know」のテイストを感じます。
ホイットニーのMVで一番好きなのがこの「How Will I Know」で、ぜひこちらもご覧ください。
ちょっと時代を感じさせるMVではありますが、メチャクチャPOPでみんなをHAPPYにさせてくれるMVです。
ホイットニーの輝きが半端ないですよね。
カイゴ&ホイットニーの「Higher Love」のMVはダンサーのリハーサル風景ですが、ホイットニーの当時のMVに出演するダンサーのリハーサルのような錯覚に陥ってしまい、またジーンときてしまいます...
(若干フラッシュダンスっぽいところもあったりします)
ホイットニーの早逝は悲しく残念なことではありますが、このような形でホイットニーの素晴らしい歌声を多くの方に聞いてもらうことができ、できればそれを機に往年のホイットニーの楽曲やMVを視聴してもらえればと切に願っています。
さて、この楽曲のもとになるホイットニーの「Higher Love」はオリジナルではなくカバーなんです。
オリジナルの「Higher Love」は、スティーブ・ウインウッド(Steve Winwood)というシブイ玄人好みのミュージシャンが1986年に発表した楽曲で、スティーブウインウッドの最大のヒット曲となっています。
楽曲もすばらしいのですが、何よりこの楽曲のMVが独自の映像表現を取り入れた素晴らしいMVであり、後々同種の表現のMVを生み出すきっかけとなっています。
この素晴らしいMV、スティーブウインウッドの「Higher Love」をご覧ください!
どうでしょうか?
MV自体としては、このカイゴ&ホイットニーの「Higher Love」より、このオリジナルのスティーブウインウッドのほうがお気に入りです。
というのも、スティーブウインウッドの「Higher Love」のMVは、実験的な取り組みをしつつ、全体の調和を取るための様々な工夫もしており、何度見ても飽きません。
具体的にご説明しましょう。
まず映像的には、3つのシーンに分かれます。
A)複数のダンサーのダンスシーン
B)スティーブ達の歌唱&演奏シーン
C)ダンサー個人のオフショット
この3つのシーンが順番に表示されるのではなく、細切れになって入れ代わり立ち代わり表示され、エンディングまで一気に流れていきます。
割合的には、A:B:Cが、3:3:1程度なので、メインはダンスと演奏シーンになります。
そのA&Bの背景は黒になっていて、映像全体の印象は暗いイメージです。
(一部赤カーテンが背景になっている場面もありますが、その時はダンサーの踊る姿が黒く映し出され、黒背景と同種の効果を生んでいます)
ダンスのMVで黒背景はなかなかなく、それだけでも特殊なMVといえます。
そんな中、Cのダンサー個人のオフショットだけが、白背景の映像になっています。(このCについては後ほど詳しく解説します)
しかし、AとBとCはバラバラに存在しているのではなく、関連付けられています。
Bの演奏のシーンで、その背景にはダンサーが躍るシルエットが表示されていますし、Cの女性はダンサーのひとりと想像させられます。
つまり、3つの全く違うシーンを組み合わせることで変化を出しながら、バラバラではなく関連性を持たせることで統一感も出し、さらにCの意味深なシーンを色調を変えて少なめに挿入することでMVに深みを持たせています。
更には、AとBとC、それぞれにカラーとモノクロの2種類が存在しますが、Aのダンスシーンのみフィルムっぽい加工がされた映像も存在します。
合計3+2+2の7種類の映像が組み合わされるため、更に映像に変化が生まれます。(しつこいですが、その7種類の映像がバラバラではなく関連を持っているところがこのMVのすごいところです)
最後に1点、これが重要なのですが、映像的に様々な工夫をしているにもかかわらず、映像が前に出すぎないようにし、あくまでメインは楽曲に置かれています。
しかし、映像表現が素晴らしいので、何回見ても飽きない...というのがこのMVのスゴイところです。
まだまだ語りたい内容はたくさんありますが、ぜひ皆さんもMVをご覧いただき、様々な工夫を探り当ててみてください。
さて、今回は同じ「Higher Love」ですが、カイゴ&ホイットニーとスティーブウインウッドの2つのMVをメインでご紹介しました。
どちらのMVもおすすめですので、ぜひご覧ください。
ではまた次回に。
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