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美容室の汗問題

髪を切る予定である。
ここしばらくは、毎回「前回と同じ感じでお願いします」と美容師さんに伝え、特に大きな変化をつけずにいたのだが、今回はなんとなく気分を変えたいと思っていて、いつもよりは少し長めに残してもらったうえで、かつ、さっぱり感も出したい。

ただ、イメージを伝えるのが少し難しいので、スマホで「髪型 マッシュ」などと検索してみる。しかし、なかなかイメージに近い画像が見つからない。若者たちの独特のマッシュスタイルがいくつも並び、「うーん、ちょっと違うなぁ」と思いながら、「やっぱり今回も、前回と同じ感じで短めに切ってもらうかな」と変化をつけない安定志向へと気持ちが傾きかけた。

と、そのとき、たまたま津田健次郎さんの画像に辿り着いた。
いいじゃないか! これこれ。イメージはこれ!
しかも、Xに投稿された美容室での動画まで発見。
そうそう、こんな感じのヘアスタイルを求めていたのだよ。
ひとまず、津田さんの画像をいくつか保存。

今通っている美容室にはもう3~4年通っていて、美容師さんとも気兼ねなく会話ができるので、有名人の写真を見せるのもそれほど恥ずかしくない(ちょっとは恥ずかしいけど)。
とても波長の合う美容師さんで、プライベートなことにはあまり突っ込んでこないし、周りに聞こえるとちょっと恥ずかしい会話になるとそっと小声になるし、そういうお心遣いも含めて相性がいい。できれば今後もずーっと切ってもらいたいと思う美容師さんに出会ったのは初めてだ。

ただ、美容室に行って一つだけ困ることがある。僕の汗問題だ。
首周りを締め付けられると通気性が悪くなるのか、いつも滝汗をかいてしまう。元々汗かきの僕は、特に首から上~顔にかけて猛烈に汗をかくタイプ。
おでこに汗がじわじわ出てくると、「あ~、また汗が出てきた」と焦り始め、それによって余計に汗が出てくる。
タイミングを見て「さーせん、ちょっと汗拭きます」と言って、もぞもぞとポケットからハンカチを取り出す。
美容師さんも「暑いですもんね」と、気にしないでくださいオーラを出してくれ、ハンカチを忘れてしまったときなどは、タオルを貸してくれて、嬉しさ半分、恥ずかしさ半分という思いをしたこともある。

最近は気温が下がってきたこともあり、ユニクロの極暖を上下とも着る機会が増えた。ぽかぽかなのはいいのだが、屋内に入ると逆に暖かすぎて汗をかくことも多い。ということは、冬の美容室でも滝汗をかくことになる……。

さてどうしたものか。
暑がりな僕はきっとまた汗をかく。しかも今日も上下極暖。これで暖かい室内で首周りを締め付けられたら……。
あー、汗だくだろうな~。
でも今日はタオルハンカチを持参している。汗が出てきたら迷わずハンカチをドラえもんの真似でもして登場させよう(嘘)。取りやすいように、ジーンズの前ポケットに入れておこうか。心配性な僕は、そんなことを考えただけですでに薄っすらと汗をかいている。
以前、ご時世的にマスク必須のときは、さらに暑さが増し、滝汗の量も大幅増。でも今はマスクは外して切ってもらっている。そうでもしないと大変だから。きっと、マスクをしたら顔の温度は2度は上がるよ。

という具合に、僕の美容室問題は、ほとんど汗の問題である。
美容師さんとも気が合うし、あんまり気をつかわなくてもいいから気楽だ。津田健次郎さんの写真を見せても、きっと「うんうん、マッシュっぽい感じで、でもサイドとかは割とスッキリ目ですね」と笑顔で言ってくれるだろう。
本来の目的であるカットの仕上がりに満足することは間違いないだろうし、会話だって楽しめるだろう。
残るは汗問題。
実は密かに、美容室に行く前にどこかで極暖を脱いでしまおうかと考え始めている。うーん、でもそれだとさすがに寒いよなぁ。でも着たままだと絶対に滝汗コースだよなぁ。
寒さを選ぶか、滝汗コースを選ぶか――。
考えた末、寒さには勝てないので、極暖は着用のまま、せめて下の極暖に上の極暖をインさせないで少しでも通気をよくして臨むことにしよう。それでもきっと汗をかくことだろう。いいのさ、タオルハンカチの準備はもうできている。
極暖を脱いで身体が冷えると、今度はお腹を下す問題が発生しそうだし。

……とまあ、朝からこんなどうでもいいことを考えているのであった。
だけど、どうでもいいことは、案外どうでもよくなかったりすることもあるので、どうでもいいことも時には考えることにしている僕なのであった。

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