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東京タワーの歌を作って

田辺マモル
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「東京タワーの歌を作って」と彼女は言った
「今さら東京タワーなんて」と思ったけど
スカイツリーではなく ディズニーランドでもなく
振り返ればそこに 東京タワー

あれは6つの頃 まだ生きていた父親の
車に乗って家族5人でやって来た
展望台にあがって100円玉をねだって
望遠鏡で自分ちをさがした 東京タワー

高校生になって初めて付き合った彼女と
予備校帰りに田町から歩いて来た
プリンスホテルの壁はまだピカピカに輝いていて
「いつかのクリスマスには」と約束した 東京タワー

東京タワー 東京タワー
3度目は24のとき 後に妻となる人と
増上寺の水子地蔵のわき道を歩きながら
蝋人形館のそっくりな人形より
「生きているみたい」と目をそらした
それから何年か経ってまた2人で
手を合わせに来ることなど
まるで思いもしないで

36歳のときコイビトとの別れ話
最後の想い出に東京タワーに行こうって
トリックシアターの鏡にうつった二人の
歪んだ姿を見たら泣けて来た 東京タワー

5歳になった息子とポケモンのスタンプを集め
1日がかりでたどり着けば夕暮れ
僕が子どもの頃からそこにあったような
パンダの乗り物の背に子を乗せた 東京タワー

東京タワー 東京タワー
僕は仕事をやめて いつの間にか年老いた
母親の手を引いて展望台にのぼった
母は僕のことを「おとうさん」と呼んだ
東京で生まれた人は東京タワーには
のぼらないなんて誰が言ったんだろう
かすれゆく記憶の中にも
そびえ立っている東京タワー

「東京タワーの歌を作って」と彼女は言った
「今さら東京タワーなんて」と思ったけど
スカイツリーではなく ディズニーランドもなく
振り返ればそこに 東京タワー

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ずいぶん前に作った歌ですけど、歌詞を少し直して歌いました。

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