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カラオケとブルーハーツ
友達と行くカラオケが苦手だった。音楽は大好きなのに、カラオケは嫌いだった。中学3年生の時、もう二度と他人とカラオケに行かない、と思っていた。理由は、私がすごく音痴であることと、流行りの曲を全く聞かないこと、カラオケ向きの盛り上がり曲を知らないし歌えないこと、だ。
でも去年の文化祭の終わりに友達と行ったし、歌った。なんなら一昨日も行った、歌った。
ブルーハーツというバンドが、あるから。
本当に苦手だった。小学6年生で、友達3人ではじめてカラオケに行った時。3人とも緊張して1曲目を歌い出せなかった時に、
「じゃあみんなで歌おうよ。はい、歌うよー」
と空気を読みまくり、テレビで流れているのしか聞いたことがない米津玄師のlemonを入れた。2人はまだ恥ずかしそうにしてて、1番のサビぐらいまで私1人で歌った。lemonは音痴の私には難しすぎて、音程を外す。私を助ける形で2人は歌い出して、そこからカラオケは盛り上がっていった。よかったけど。
中学1年生で、親友Tと2人でカラオケに行った時。仲が良かったが故に、「高い声出てないよ〜笑」といじられまくった。こいつ以外とカラオケに行かないようにしよう、教えてくれてありがとうと思った。
中学2年で、Tを含めた3人でカラオケに行った時。私が女性ボーカルの曲を歌っている時に、すごく自然になんの嫌味でもなく「頑張れー」と言われた。頑張らないといけないのか、と思った。Tは笑っていた。
そうやって、自分のボソボソした低い声と、選曲の下手さと付き合ってきた。他人と行くカラオケがへたっぴで、もう行きたくなかった。一方で、ヒトカラはすごい行くようになったりした。
そんな私が友達と楽しめるようになったきっかけは、The BlueHearts。歌いやすくて、みんなが知っている曲がある。私は、友達とのカラオケでは「情熱の薔薇」を歌って楽しめるようになった。
カラオケ以外の場面でも私のことを支えてくれる。学校で嫌なことがあった時、家に帰った瞬間「人にやさしく」を聞いて泣き崩れたことが何度あったことか。バスに乗るたびに「青空」を思い出した。「夕暮れ」で黄昏た。自転車に乗りながら「1000のバイオリン」を口ずさんだ。ブルーハーツしか聴かなくなる1週間が定期的にやってきたりする。ブルーハーツは、すごい。
先日、大好きな脚本家の生方美久さんのエッセイを読んだ。
(GINGER【脚本家・生方美久のぽかぽかひとりごと】第2回 女の子は青コーナーへ向かう)
“青春”に青という字がつく理由は何か。そんなんブルーハーツにブルーってつくからに決まってんだろ、と書かれていて、本当にそう!だよねだよね!と思った。
で、JKの私はカラオケで青春をするためにブルーハーツを歌う。その曲を仮に知らない人がいたとして、知っている私はかっこいいし、友達にこんな良い曲を教えてあげるのはやさしいと思う。私がすごく音痴だったとして、それはロックでかっこいいだろう。
“青春”に青という字がつく理由はブルーハーツにブルーってつくからに決まってんだろ!友達とのカラオケは青春でしょう!
聴いてください!情熱の薔薇!