宵眼の女王=マリカ説 ~DLC発売直前のいまさら考察記事~
6月21日に、エルデンリング待望のDLC「Shadow of the Erdtree」が発売する。これはどやら本編に殆ど登場しなかったミケラを中心に描いた物語になるとのことであるが、個人的にはこのDLCの舞台となる「影の地」にも注目したい。
「影の地」は女王マリカが黄金律を狭間の地に敷く前に降り立った地とされる。つまり本編では殆どアイテムのフレバーテキストでしか語られなかった「宵眼の女王」がいた地である可能性が非常に高い。
実のところ私は発売当初から、この宵眼の女王はマリカではないのかという説を掲げていたのだが、ネット掲示板などではやや否定的な意見が多かった。しかし、DLCに際して色々な考察記事を漁ってみたところ結構この説に言及している人も多く、改めてこの宵眼の女王=マリカ説を推したくなってきたので今更であるがこうやって記事にしたいと思う。
次節からその説の内容となるのだが、思い立ってすぐ筆を取って一時間くらいで書きなぐったものなので、体裁は整っていないし、ゲーム中の一次資料も引用していないし、もしかしたら矛盾もあるかもしれないがご容赦いただきたい。もし気が向いたら、改めてちゃんとした記事にしたいと思う。
メリナの宵眼
宵眼の女王
陰謀の夜
ラニとメリナ
星の世紀
メリナの宵眼
出発点はメリナが宿した宵眼である。これは狂い火の王エンドで、メリナが見せるものであるが、そもそもメリナは本編中の至るところでマリカとの関連性を伺わせる発言をしているため、メリナがマリカの娘、あるいは眷属であることは強く示唆されている。そう考えると、メリナの宵眼はどこ由来のものかと考えるとマリカの可能性が高い。ではマリカと宵眼の関連性は?と考え始めたところで、この「宵眼の女王=マリカ」説に至ったわけである。
宵眼の女王
宵眼の女王関連のテキストでは、宵眼の女王は運命の死の属性を持ち、大いなる意思に見出されて神人となった。しかしマリケスに敗れてその後、マリカによる黄金律が成立した。 しかし、マリカも大いなる意思に選ばれた神人である。これは大いなる意思にそれぞれ異なる陣営がいたということなのだろうか。実際三本指という陣営も存在することから、その可能性は否定できないが、私はここで「宵眼の女王=マリカ」説を推すことでこの矛盾を解決しようと思う。
当初、大いなる意思はその能力を見込んで宵眼の女王を神人として見出した。これは宵眼の女王があらゆる種と交わることで生命を生み出していた地母神的側面があるからだ。しかしそれらの生命は、また運命の死によって死ぬ運命にあった。 黄金律という、生命の祝福を是とする大いなる意思にとっては宵眼の女王の前者の側面だけが必要だったため、マリケスに命令し宵眼の女王を討伐、彼女から運命の死の側面を剥奪することで女王マリカとして成立させたのではないだろうか。 つまり、運命の死とはマリカの別の一面でもあったと言える。
陰謀の夜
陰謀の夜の際に、ゴッドウィンが殺されたことでマリカは発狂してエルデンリングを壊したとされるが、私の考えでは、陰謀の夜自体の多くの部分がマリカによる企みであったと考える。これは首謀者であるラニが死のルーンの隠し場所を知っていたこと、陰謀の夜の実行者である黒の刃がマリカの縁者であることからも推測できる。 ではなぜマリカが、彼女が愛したとされるゴッドウィンの死を企てたのかというとそれは、やはりかつて彼女から切り離された運命の死という側面が影響しているのではないだろうか。 少なくともマリカにはラダゴンというもう一つの別側面も存在し、ラダゴンはマリカがエルデンリングを破壊した際に修復を試みていることから、同じ人間の別側面がそれぞれ矛盾した行動を取ることは既に実証されている。 つまり黄金律の女王マリカとしては黄金の王子であるゴッドウィンを愛していたのと同時に、宵眼の女王としては黄金律の具現ともいうべきゴッドウィンを憎んでいたとも考えられる。
このマリカの事情を首謀者であるラニが知っていたかはわからないが、おそらくラニの陰謀の動きに感づいたマリカがその計画に乗ったのではないだろうか。正直、ラニ自身がマリカのことをどう考えているかがあまり作中に出てきていないので、読み取れない。もう一人の母であるレナラについては憎からず思っている描写はあるが。
ラニとメリナ
ところで、この陰謀の夜のあと、ラニは盗み取った死のルーンによって自分の肉体を殺したわけであるが、私はその際に生まれたのがメリナであると考えている。 メリナとラニに何かしらの関係性があるらしいこと、メリナとラニの外見が似ていること、メリナが外見的に比較的若いこと、メリナが宵眼の眼を持っていることあたりを踏まえた推論である。
そしてこの陰謀の夜をきっかけに生まれたメリナがいう「母に託された使命」が、おそらくマリカが陰謀の夜を通して行いたかったことであろう。つまり、黄金樹を燃やして、黄金律に変わる新たな律を敷くことである。おそらく黄金律にとらわれてしまっていたマリカは、それを自身の手で行うことができなかったためラニやメリナを通して実行を企んだのではないだろうか。
星の世紀
ラニエンドともいえる星の世紀であるが、ここで敷かれた夜の律というのは生と死が循環し、そして何人にも侵されない場所に存在する律である。これはラニ自身が望んでものであるのは間違いないだろうが、かつて宵眼の女王であり大いなる意思によって強制的に黄金の女王にさせられたマリカ自身の願望も多分に含まれているのではないだろうか。星の世紀エンドはもしかしたらマリカ自身が望んだ結末なのかもしれない。