「本を語る」2024/6/10「いま生きる『資本論』」
❶[1BOOK]
「いま生きる『資本論』」
佐藤優著 (株)新潮社 新潮文庫
2017年2月1日 発行
❷「本を語る」
「それでは、いったいどうすれば、この苦境を克服することができるのだろうか?」
[思いついたこと]
「資本論」の見直しがブームになりましたが、その火付け役ともいうべき本は、斎藤幸平氏の「人新世の『資本論』」(集英社新書)だったと思います。堅苦しい経済学用語の並ぶその本がベストセラーになったということは、何を意味するのでしょうか。おそらく、「資本論」どころか、マルクスやエンゲルス、ヘーゲルという名前すら知らない人が、圧倒的に多い時代において、時々思い出したように、この手の本が売れたりします。かつて浅田彰氏の「逃走論」が流行したことを思い出しました。
[そして]
「本当に読んだんですか?」という疑問だけが残ってしまいますが、「読めない」と判断することも「4C速読法」の最初の一歩です。ただし、そこには「今は」という接頭語をつけてもらいたいですね。実は私自身、経済学は苦手で、うまく回避して大学を卒業しました。なぜなら、経済学を学ぶには「数学」が必須だからです。つまりは経済学というより数学を回避したというのが正しいかもしれません。1+1=2の算数ならまだしも、数学は「抽象化」の能力が重要で、世の中の事象を数式で表現するというのは、考えただけでクラクラしてしまいます。
[しかし]
この本は、現役学生に対する「資本論」の講義を文字起こししたものが元になっていることもあって、なかなかおしゃれな見出しがついています。例えば「恋とフェチシムズ」や「どうせ他人が食べるもの」「カネはいくらでも欲しい」「われわれは億万長者になれない」など。なんとなく興味が湧いてきますよね。おそらく「いまの」私だから、そのように思えるのだと思います。「これってどういうこと?」と思ったら、どうしてもその答えが知りたくなりますよね。それがチャンスです。この本を読む、絶好の機会なのです。
[だからこそ]
私は、冒頭の1行の答えが知りたくて、まずはパラパラ読んでみました。
「私は、予見される将来、少なくとも私が生きている時代に、資本主義システムが崩壊することはないと思っている。それだから、資本主義の暴発をできるだけ抑え、このシステムと上手につき合っていく必要があると考える。」
な〜んだ、明確な答えはないんだろうか?それとも、どこかで読み飛ばしてしまったのか?1冊の本に対して、①読むか読まないか②どんな読み方をするのか③どういう発信をするのか?を判断していくのも、「4C速読法」の手順なのです。そして、私は決めました。もう少し、この本に食らいついてみよう、と。まずは「音読」か「書き写し」から。