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娘が覚えていてくれた、2人で見た流れ星の話。

私は、フリーランスになってから、子どもたちによく仕事の話をするようになった。今日の晩ごはんでの話題は、今取り組んでいる取材について。さまざまなキャリアの方々に話を聞くインタビュー企画のため、子どもたちにも「こんな仕事があるんだよ、おもしろいよね」「こんなふうに働いているんだって、すごいね」と、私が見聞きして感じた熱量をそのまま子どもたちに伝えていた。

そのなかで、「高い生活費を支払うために、たくさんはたらいて、たくさんお金を稼ぐ生き方」と「生活費がそれほどかからないので、それなりにはたらいて、それなりに稼ぐ生き方」について話す流れになり。

「こういうのは正解ってないけど、たくさんはたらいて、たくさんお金があっても、家で過ごす時間がめちゃくちゃ短かったらちょっと寂しいかもね」と私が何気なく口にすると、娘がうれしそうに「でもパパは毎日家にいるもんね~」と言ってくれた。

会社員からフリーランスへ、私がはたらき方を変えたことについて、子どもたちからポジティブなコメントをもらえるとうれしい。私が独立を目指したそのきっかけをくれたのは、間違いなく子どもたちの存在だったのだから。

さらに娘は続ける。「流れ星にお願いしたから叶ったんだよね~」

流れ星?なんだっけそれ?と晩ごはんの餃子を頬張りながら尋ねる私に娘が教えてくれたのは、私が副業ライターをしていた時代の夏の日の夜、少しだけ娘と一緒に散歩をした日のことだった。

「『流れ星を見つけたときに、消えるまでに3回願いごとをしたら叶うんだけど、すぐに消えちゃうから絶対無理だよね』ってわたしが言ったらね、パパが『短い言葉にしたらいいんだよ』って。それでパパ、『自由、自由、自由』って言ったんだよ。そしたらそのときに流れ星、流れたんじゃん。忘れたの?!」

・・・マジか!なんだその映画みたいなワンシーンは!

私は両親や旧友に驚かれるくらい、過去のいろいろなことを忘れがちだ。このエモすぎるワンシーンも、娘に聞くまで完全に記憶から消えていたが、たしかにそんなことがあったような気もする。

家族時間よりも仕事を優先することしか選べなかった会社員時代。「はたらく時間と場所を自分で選ぶ」という自由を、たしかに私は求めていた。今こうしてフリーランスとなり、家族、特に子どもたちとの時間を優先できるようになったのは流れ星のおかげ。これからはそんなふうに美化して話してもいいかもしれない、と考えながら、もぐもぐと餃子を頬張る娘の顔を眺めていた。

おしまい

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